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1565 長者鼻=小豆島町吉野(香川県)バスはずんぐりむっくりした岬を峠越えでは越えて行かない [岬めぐり]

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 三都半島のほぼ中央部に位置する段山(だんやま)は、最高点でも220メートルほどで、これというピークはなく、全体がなだらかな高原状になっている。そこには真っ直ぐな道が何本も地図には描かれていたので、いったいここはなんだろうと思っていた。
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 バスのルートはこの山の北側を大きく迂回して、半島の東海岸に出るので、段山は遠望で見る長者鼻の付け根につながる山という認識しか持ち合わせないのだが、ネットで調べてみると意外にも「段山遺跡群」という文字に遭遇した。おやっと思ったが、これは実際に遺跡があるのではなく、三都半島の各所で展開されているアート活動のひとつで、架空の設定で作家が作品展示をしているというものらしい。
 休耕地を活用し、材料は金網とネットなどで表現された大きなものだというが、こちらはそれを見ることはなく、段山の下をぐるりとバスで回るだけ。
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 その段山から、西南西方向にゆっくりと流れ落ちる尾根があり、鉾のように突き出た長者鼻の出っ張りにつながっているので、沖の鼻や観音崎の付近からの遠望に目立っている。長者鼻には集落も平地も周回道路もなく、かといって断崖が連なるというわけでもない、いかにも内海風の穏やかにずんぐりむっくりした岬のようだ。
 バスが吉野の集落に入る前には、その吉野の海岸越しに、長者鼻が西へ向いて突き出している。
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 バスは吉野から東に向きを変えて海岸から離れて行く。半島の山に入り込んだところで今度は南に向かい、段山の東にある蒲野の集落と海岸に出る。
 地図で見ると、吉野からそのまま南に進む道もあって、この道は吉野からどんどん高度を上げ、120メートルの富士峠を越えて神浦へ降りて行く。地図だけ見ていた時には、この富士峠を越えるのなら、峠から権現崎や崩鼻も俯瞰できていいだろうなくらいに漠然と考えていた。
 ところが、バスは富士峠は越えて行かない。段山の半分くらいの高さまで登って降りなければならない山道の峠越えは、やっぱり無理なのだ。
 バスもできるだけ山道坂道は避けたいのだろうし、最短距離よりはできるだけ多くの集落を経由して行くというほうが、その使命からも優先されるのだろう。
 蒲野、目見ヶ谷、吉ヶ浦、市神子といった半島の東海岸の集落を拾いながら、バスは再び西海岸に戻り、神浦の港がある入江に出る。そこから、今度は長者鼻を南側から眺めることができる。こじつけだが、こうしてみるとどことなく長者の風格もある岬と言えそうだ。
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▼国土地理院 「地理院地図」
34度26分18.73秒 134度13分26.79秒
スクリーンショット 2019-01-28 16.45.26.jpg
dendenmushi.gif四国地方(2018/10/11 訪問)

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1564 吉野崎=小豆島町二面(香川県)吉野にはなくて二面(ふたおもて)にあるのにその名は吉野崎 [岬めぐり]

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 小豆島町の二面(ふたおもて)は、三都半島の北部、ウシの前足で言えば太ももに当たる部分で、東海岸と西海岸にまたがっている。吉野崎はその西海岸の二面の南部で、その名は南隣りにある字地名からきている。つまり、この岬は吉野崎なのに、吉野にはなくて二面にある。
 「ふたおもて」の名の由来もよくわからないが、半島の東西両面に面しているから、ということなのだろうか。案外に、そういうのが当たっていたりすることもある。
 境界線の境になることも多い岬では、その岬をどこから見るかでその名前が決まったり変わったりする。ここでは境界線が南にずれているため、さほど大きく目立つ岬ではない吉野崎の所在は二面になっている。
 その吉野崎は、二面の集落からは家々の屋根の切れ目に見えていたのだが、その写真はなかなかうまくタイミングが合わない。二面の集落では道路が海岸からは三筋も内側を通っているためで、わずかに屋根の間に見えたところでは、吉野崎とそこから2.3キロ先の長者鼻が重なっている。
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 南へ向かうバスの車窓から、二面の集落が切れるところで、川の河口を橋で渡る。そこで防波堤の向こうに突き出しているのが吉野崎だが、この後は道路が岬の出っ張りに沿って回り込んで行くので、岬ともわからぬうちに岬を通過してしまう。
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 吉野崎を過ぎると吉野の集落で、その南には段山という200メートルを超える山があり、そこから西へ流れ出す尾根の先が、長者鼻になっている。吉野からはバスは東に向きを変えると、段山の西にある80メートルほどの峠を越えて、半島の東側に出る。
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▼国土地理院 「地理院地図」
34度27分19.73秒 134度14分18.58秒
スクリーンショット 2019-01-18 16.16.03.jpg
dendenmushi.gif四国地方(2018/10/11 訪問)

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1563 あさぎ岬=小豆島町蒲生(香川県)国道436号線からは見えなかった岬は三都半島からの遠望で [岬めぐり]

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 小人の三角帽子を逆さにしたような小さなあさぎ岬は、飛岬よりも西側にある。その岬を、飛岬からは東、三都半島に入ってその西岸を南下中の途中で、項目を割り込ませたのにも理由がある。あさぎ岬は、結局この三都半島西岸から、飛岬越しにわずかにかろうじて見えるという程度にしか、確認できなかった。
 本来ならば、国道を東へ西へ向かう途中で見えてもおかしくないのだが、どうも建物などに邪魔されて、436号線を走りながらでは見えなかったのだ。
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 あさぎ岬は、せいぜい高度も高いところで20メートルくらいしかなく、もともとあまり目立つ岬ではないのだが、それにしても国道の位置など条件がうまく合わなかった。
 そこで、止むを得ず、観音崎や吉野崎のある小豆島町二面付近を走るところの車窓から、北西側を見渡したところで、これを捉える。二面の道路から弁天島、飛岬、そしてあさぎ岬が一直線に並ぶ。
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 あさぎ岬は4.4キロも離れているので、飛岬の向こう側に少し黒っぽく見える薄べったい出っ張りとして、やっとどうにかそれとわかる。その上に大きく高くあるのは皇踏山394メートルで、その左手下の低く切れたところが土庄町の中心市街地にあたる。
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 薄いあさぎ色にも見える池田湾の海を越えて、さらに左手(南側)に目を移していくと、高見山と大深山がボコボコと連なり、その先端が黒崎となるが、ここがウシの例えた形でいうと頭の部分になる。そこから南には高松沖に散らばる島々があり、その向こうに直島がある。
 その手前に、少し濃い目の島影が平たく見えるのは、土庄東港の大余島と中余島となる。
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▼国土地理院 「地理院地図」
34度28分49.89秒 134度12分10.49秒
スクリーンショット 2018-12-26 12.47.34.jpg
dendenmushi.gif四国地方(2018/10/11 訪問)

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1562 観音崎=小豆島町室生(香川県)例えていうウシの前足に当たるところが三都半島なんです [岬めぐり]

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 小豆島の形を何かに例えていうなら何だろう、三本足の鼎かなあ、いや四つ足の動物を横から見たようにも見えたりする。すると、ネット情報ではどうやらウシの形に例えるという記述がいくつかあることがわかった。ウシだとすると、向こう側の足は胴体に隠れていて見えないことになるが、その前足の部分に当たるのが、三都(みと)半島に当たる。
 三都半島と言われても、知らない、ピンとこないという人のほうが多いはずで、地図にも通常表記されていない。ただ、バスの終点の神浦の港には、地理院地図では「三都港」と明記されている。これだけが唯一の「三都」表記だった。
 ところが、「三都半島」で検索すると、実にたくさんのページがリストアップされる。そして、そのほとんどは「アートプロジェクト」に絡むものであった。
 三都半島アートプロジェクトというのは、小豆島町がここ毎年力を入れているイベントで、全国からアーティストを招聘して、半島に滞在しながらの制作などの美術活動を通じて地域交流を行なおうというものらしい。ははーん、直島の向こうを張ってということなのかな。
 2018年には、広島市立大学芸術学部のメンバーなどによる、「野生のハナ」と題したアート展覧会が行なわれていて、このハナには半島の隠喩としてのハナの意味があるという。
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 その三都半島の西側の海岸線沿いに走る道路を南に向かって下っていくと、沖の鼻に次いで観音崎がある。これは沖の鼻よりももっと小さな出っ張りで、西に向かって張り出した尾根の南端に当たる。
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 道路はその尾根を乗り越えて、二面の集落に入る。「二面」はニメンではなくてフタオモテと読む。二面の集落は北の観音崎と南の吉野崎の間に開けた、二本の川筋の堆積によってできた平地に展開している。
 そして、その南西側には長者鼻の大きな出っ張りが控えている。
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▼国土地理院 「地理院地図」
34度27分47.91秒 134度14分12.50秒
スクリーンショット 2019-01-18 16.15.32.jpg
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1561 沖の鼻=小豆島町室生(香川県)大規模な総合レジャー施設小豆島ふるさと村が付近に展開している岬 [岬めぐり]

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 池田湾は、土庄町の最南端である黒崎と、小豆島町の中央付近に突き出た釈迦ヶ鼻の間で、大きく開けた湾だが、その北東奥にある。港は西の飛岬と東の沖の鼻の間に挟まれていて、小豆島の主要港の一角を担っている。
 小豆島の港ではやはり土庄港がいちばんの中心には違いないのだろうが、高松との間の往復便数でいうと、池田港の一日8往復というのは、土庄=高松便の半分強を占めている。
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 池田=高松航路を運行しているのは国際フェリーで、想像してみるに関西地方から高松に行こうとする車両では、この池田港経由が関西方面からはほぼ斜めにまっすぐのルートになる。姫路港から福田港へ上陸し、国道436号線で池田まで陸走できて、池田からまたフェリーで高松へ、というルートが最短距離であるような気がする。料金的にも瀬戸大橋を迂回して戻るよりは、安くつきそうに思えるが、でんでんむしは車族ではないので確かなことは知らない。
 だが、場合によっては土庄港まで行かずにここ池田港から高松へ、という利用者も多いのではないか。
 そんな自分には関係ないことを考えている池田港から南を見ると、沖の鼻が東から飛び出している。
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 ここの岬の尾根の上にも、大きな建物が目立っていて、岬の先にはふたつの小島が浮かんでいる。弁天島と名前があるが、小さいながら22メートルもの高さがあるほうには鳥居マークがあるので、弁天社が祀られているのだろう。
 沖の鼻の出っ張りの東奥には室生北港があって、室生の集落がある。この集落を通り抜ける途中でも、湾の向こうには沖の鼻と弁天島が見える。この湾の北側の岬の出っ張りの付け根付近には、小豆島ふるさと村と道の駅があるらしい。
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 小豆島ふるさと村というのは、体験型・総合レジャー施設を銘打った公共施設であるらしい。その施設は、沖の鼻の全域に渡って分布していて、Mapionにも何も表記がなくて、当初はわからなかったのだが、実は池田港から見た岬の尾根の上に見えていた建物は、国民宿舎小豆島と別館の公共の宿ふるさと荘であった。
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 そのほか、ファミリーロッジや貸別荘やキャンプ場まで備えた大がかりな施設のようだ。沖の鼻の突端の右手には、何やらドームのようなものも見えるがこれもその施設の一部なのだろうか。でんでんむしも、こういうところと縁がなくなって久しい。

▼国土地理院 「地理院地図」
34度28分9.26秒 134度13分48.89秒
スクリーンショット 2019-01-18 16.18.45.jpg
dendenmushi.gif四国地方(2018/10/11 訪問)

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1560 飛岬=小豆島町蒲生(香川県)ひとまわり小ぶりな赤い町営バスで三都半島を南へ向かうところで反対側に見える岬 [岬めぐり]

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 池田港からは、フェリーが毎日8往復、60分で高松との間を結んでいる。そのターミナルで映画村からの帰途のバスを降り、ここから三都西線(みとにしせん)に乗り換えて、神浦西まで行く。小豆島の南側中央に大きく張り出している半島は、地図にはないけれどどうやら三都半島という名前があるらしい。
 その半島の名をとって、三都西線と三都東線のバスが走っている。この路線だけは、小豆島オリーブバスではなく小豆島町の町営バスとなっているが、小豆島のバスもなかなか複雑なようだ。
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 小豆島オリーブバスは、2009(平成21)年に地元出資のバス会社として設立され、その翌年からはそれまで小豆島内で路線バスを運行していた小豆島バスから路線バス路線の運行業務の移管を受けて運行を開始している。経営悪化による小豆島バスの一般路線バス事業からの撤退に伴なうものだったわけだが、そのなかでもこの三都半島を走る三都線だけが町営バスと注記されている。その理由はよくわからない。
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 もともと、この小豆島バスからの路線引き継ぎに当たっては、生活路線ではない主に観光路線は引き継がれなかったという経緯もあるが、三都線は生活路線のはずだ。小豆島オリーブバスの設立には、地元自治体も出資していたので、当然小豆島町も絡んでいるわけで、それなのにこの路線だけをわざわざ町営としなければならない理由はわからない。
 やってきたのはひとまわり小ぶりな赤いバスで、このバスは池田港ターミナルを出ると一旦西へ戻って、井上誠耕園らしく園前などに立ち寄ったうえで東に戻り、池田湾東岸を南に向かう。終点の神浦西で折り返してまた戻ってくる。
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 このときに、池田港の西に飛び出して見えているのが、飛岬である。
 飛岬は三角形の出っ張りの南端についている名前で、その先端は少し低くなっていて、そこにはいくつもの大き目の建物が地理院地図では表記されているが、例によって記名表記はないのでなんの建物だかわからない。Mapionでも何も描いていない。遠目ながら、大きな建物は一見ホテルか何かのようにも見えるが、Mapionにはそのような表記もないので違うのだろう。
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 それは何かを探っていると「小豆島大孔雀園」なるものが、かつてはこの飛岬にあったことがわかった。それは2008年末で38年の歴史に幕を下ろしたというから、一時は小豆島を代表するほど観光施設であったらしい。約200羽いたクジャクは、きちんと飼う環境と責任感があることを条件に引き取られていったという。
もともとこれを運営していた小豆島観光開発会社は、小豆島バスの子会社であったらしい。孔雀園の跡地は、その後いくつかの変遷を経て、小豆島でオリーブを生産する井上誠耕園が取得した。
 井上誠耕園の名前だけは、でんでんむしでも知っているのは、テレビCMそれも地上波ではないCSやBSで見たことがあるからだ。井上誠耕園は、2015年に一帯を「らしく園」と命名して食品加工工場を建設した、というのだが、そうしてみると孔雀園も井上誠耕園も飛岬の先端のほうではなく、付け根のほうにあったものだろう。
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▼国土地理院 「地理院地図」
34度28分27.15秒 134度12分59.11秒
スクリーンショット 2018-12-26 12.48.01.jpg
dendenmushi.gif四国地方(2018/10/11 訪問)

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1559 大手城ノ鼻(雨倉鼻)=小豆島町坂手(香川県)大手城ノ鼻は眺められたが雨倉鼻は陰に隠れて見えない [岬めぐり]

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 田ノ浦映画村線のバスは、帰りも同じルートを通って映画村から土庄港まで行くのだが、もう一つ西の半島も回らなければならないので、途中の池田港ターミナルで降りる予定だ。その前に、古江まで戻ったところで、バスは東に寄り道をする。坂手港をぐるっと回って、また古江に戻り、そこから醤油とオリーブを経て池田港に行く。
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 塩谷鼻を見るところでは、砂浜の海岸に出ることができず、墓地の上に上がってしまったので見えなかった雨倉鼻と大手城ノ鼻というふたつの岬が坂手にはある。しかし、もしたとえ映画村をすり抜けて海岸に出ることができたとしても、そのふたつの岬が、ちゃんと視認できたかどうかはかなり疑わしくもある。
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 その海岸からは、北東へ2.8キロの距離があること、またその岬の位置からして、正面から見ることになる。岬というのは、正面から見たのではそれが出っ張っているのかどうかさえもよくわからず、特定できない(明確に視認しにくい)ことが多い。おまけに、この天気である。
 そういうわけで、このふたつの岬はおそらくダメだろうとも考えていたのだが、坂手に寄るときのバスの車窓に写っていたかもしれない。
 古江から細いコブを乗り越えると、見晴というバス停がある。少し高いところにあるので、確かに見晴らしはよいのだろう。それもあくまでも晴れていればの話だが。
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 その見晴らしの付近をバスが通るときには、大手城ノ鼻が眺められる。だが、その西側にあるはずの雨倉鼻は、その陰に隠れていて見えない。雨倉鼻が大手城ノ鼻よりも若干北寄りに位置しているために、そうなってしまう。
 坂手からもう少し南へ行けば、雨倉鼻も見えることだろうが、そこにはバスが行かない。走っていない。
 坂手の南には、大角鼻を南端とする小さな半島が小豆島の南東に出っ張っているのだが、それはまた次の西側に控える大きな半島から見ることにしよう。半島には名前がついていない(地理院地図に表記がない)ので、それを指し示すのに不便だ。
 小豆島の南側には、大小4つもの半島がある。次にはそのなかでいちばん大きな、中央にある半島へ行ってみることにしょう。
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▼国土地理院 「地理院地図」
34度27分20.33秒 134度18分26.28秒 34度27分17.37秒 134度18分50.46秒
スクリーンショット 2019-01-15 16.44.32.jpg
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1558 塩谷鼻=小豆島町田浦(香川県)やれやれでんでんむしはいったいナニやってんだろうね [岬めぐり]

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 塩谷鼻は北西の權現鼻に対して、出っ張りの南に向かって飛び出している。權現鼻もウン崎も飛び地で、その所在は古江だったので、塩谷鼻がはじめて田浦所在の岬となる。
 「岬の分教場」とか「岬の村」というときの「岬」は、どの岬のことを指しているのだろうか。どうやら、それはウン崎でも權現鼻でもなければ、この塩谷鼻でもないらしい。分教場からはほぼ正面に見えるだろう權現鼻が、そうだろうとみる見方が不可能なわけでもない。しかし、どうもそれは個別の特定の岬を指しているのではなく、古江と坂手から大きく西へ張り出して、海を内海湾と坂手湾の南北に二分している、ちょっと曲がりながらでこぼこしながら伸びている、この半島全体のことを言っているのだろう。原作の「細長い岬」は、そう考えるほうが無理がなさそうだ。
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 權現鼻や対岸の飯神山が見えるところから、岬のくびれ部分を越えて反対側の海岸へ出る道が、どこかにあるはずだ。そう思って雨の中歩いてきたのだが、どうもそれらしい道はない。かろうじて、細い道が一本、ビニールハウスの横にあったので、そこを進んで丘に登っていく。
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 すると、そこは田浦自治会が管理する墓地だった。丘の上の平らな場所に、集落の歴史を刻んできたかのような、たくさんの墓が並んでいる。海岸に降りる道はなく、墓地で行き止まりとなっている。その間を進んで反対側の展望がなんとか効くところに出ると、木立の間に塩谷鼻がのぞいていた。
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 ちょうど先端部には灰色の大きな岩場の塊があって、それが鼻というよりも鳥のくちばしのような形になっている。そのくちばしの先には岩島があって、見ているうちにその向こうを漁船が一隻やってきて通り過ぎて行った。
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 あとで地図をよく見てみれば、この墓地がある標高14メートルの丘もそこに至る行き止まりの道も、ちゃんと地理院地図には描かれていた。
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 反対側の海岸に出る道を探すには、田浦のほうへ戻るのではなく、もっと先へ映画村の向こう側に行くべきだった。そこには映画村の西を砂浜の海岸へ抜ける道があった(「映画村」の文字に半分隠れていた。)のだ。
 また、よく考えてみれば、スピーカーの騒音には耳を閉じて、映画村の入場券を買って入っても海岸に出られたのだった。
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 それなのに、道のない反対側にきてしまったのは、聞いたこともないような歌を流し続けるスピーカーと、降り続く雨に負けてしまって、ゆっくり地図を取り出して、落ち着いて検討するという気持ちの余裕をなくしていたからだろう。現地へ行ってしまうと、その場の流れと雰囲気で、こういうこともとかく起こりがちだ。
 南東に向かって開けたその砂浜の海岸に出れば、塩谷鼻だけでなく、ずっと北東側の坂手にある雨倉鼻と大手城ノ鼻も、海岸から左手に見えたはずだったのだが、この墓地からではそれも見えない。
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 やれやれ、いったいナニやってんだろうね、とふと足元を見ると、そこにはでんでんむしがポツンといて、触覚を振りながらのろのろとしていた。雨の岬めぐりの道で、でんでんむしに遭遇するのは、これが初めてではない。
 バス停まで戻って、傘をたたみながら帰りのバスが来るのを待っていると、一段と雨が激しさを増してきて、コンクリートの道路に雨坊主をたくさんつくるほどになった。この雨では、あのでんでんむしも流されてしまうかもしれない。
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▼国土地理院 「地理院地図」
34度26分31.43秒 134度17分2.21秒
スクリーンショット 2018-12-28 10.04.45.jpg
dendenmushi.gif四国地方(2018/10/11 訪問)

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1557 權現鼻=小豆島町古江(香川県)「二十四の瞳」の映画に写った岬として有名?なわけはない…か [岬めぐり]

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 映画の舞台となった場所やロケ地が「聖地」などと称されて、わざわざそこを訪ねて行ったりすることが流行り始めたのは、いつ頃のことからなのだろうか。でんでんむしも一度、岬めぐりで訪れた人の気配もない片田舎の海岸で、どうやら日本人ではないらしいリュックを背負った青年が、一人でウロウロしているのを見かけたことがある。そこは「セカチュウ」のロケがあったという場所だった。最近では呉の「すずさんの家」なども、訪ねて行く人があるけれど、地元では当初住民は困惑しているなどと報じられていたが、その後はなんらかの態勢も考えられているのだろうか。
 名作の舞台がビジネスや地域おこしのネタになることは、今や誰もが知っていて、鵜の目鷹の目で狙っているむきもあるのだろうが、人を寄せて商売ができる条件が揃うケースは、やはり限られているのだろう。
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 「二十四の瞳映画村」というのが、成功しているのかどうかはよくわからないが、田ノ浦映画村線のバスの終点を降りると、目の前にそれがある。雨の中、そこに降り立つと人もいないのになんだか妙に騒々しい。なんと、映画村のスピーカーから間断なく何かの歌があたり一帯に大音量で流れているのだ。
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 昔の映画の主題歌かなにか知らないけれど、これには閉口した。と同時に、それだけでそこに入場料を払って入る気持ちを完全に潰えさせてくれた。
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 權現鼻は、岬の先端のくびれた場所にある映画村の西側に、飛び出している出っ張りの北の端になる。ここも權現鼻のある部分が島のようになっており、わずかに細く平らになったところで半島と繋がっている。映画村は、その平らなっ部分にあり、集落からも離れた辺鄙な場所にある。映画村の海岸からでは、少しその先端部分は陰になる。したがって、バスがウン崎から南下して田浦(地理院地図では「ノ」がない)の集落に差し掛かる付近から見る權現鼻のほうが、その全貌を示している。
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 岬の先端部が低くなって広がっており、地図で道路の様子などをみると、そこはなにかを栽培している農地か園地のように見える。見えるだけで、そこでなにをつくっているのかはわからない。わざわざ「權」という文字を使っているのにもなにかわけでもあるのか、とは思うが思うだけでなんら答えは見出せない。
 ここも前項のウン崎も、住居表示が古江になっているのも、何か不思議だ。この二つの岬のところだけが堀越と田浦と二つの地名を越えて、飛び地のようになっているのだ。その理由もわからない。
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 權現鼻の北西側には、小さな独立峰のような姿をした飯神山があり、その右手付近が竹生になる。そこに「大石先生の家」があったとすることには、通勤距離の点で矛盾が生じていることは先に触れた。
 しかし、壺井栄の原作にいう「片道五キロの本村の小学校」とは、旧苗羽小学校のことであり、「入り江の海を湖のような形にみせる役をしている細長い岬の、そのとっぱなにあった」「村の分教場」が、その田浦分校(旧田浦尋常小学校)のことだと、今では誰も疑いを持つ者はいないようだ。
 木下作品のロケにも使われた分教場だったという建物は、現在も權現鼻をほぼ正面に見る田浦の集落に保存されていて、教育関係者の見学もあるのだという。映画村の前には醤油樽をふたつ並べて転がしたバス停があり、ここから分教場までボンネットバスが走ることもあるらしい。映画村の中にも、何度目かの映画で使われたセットがおかれているという。
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 「なにかのどこか」であることは、やはり重要なのだろう。
 Mapionの地図では、田浦の集落の北側に史跡マーク付きで「岬の分教場」とあり、さらにそこから北に離れた丘の上にも同じく史跡マーク付きで「二十四の瞳学校碑」としてある。学校碑? それはいったいなんだろう。
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 そこは木下恵介監督の映画のロケ地のひとつで、大石先生とこどもたちが電車ごっこをするシーンに使われた場所らしい。「木下監督の生誕100年」を記念して、その生誕地である浜松市から舘山寺桜が贈られ植えられているというが、ごていねいにも官民共同プロジェクトとやらができて、城山というこの丘にロケ地記念碑まで建てられているようだ。
 映画の細かいところまでは思い出せないが、おそらくその電車ごっこのシーンでも他の場面でも、權現鼻もきっと写っていたに違いない。となると、「二十四の瞳の映画に写った岬」の碑を權現鼻に建ててやらねばならんかな…。
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▼国土地理院 「地理院地図」
34度26分52.66秒 134度16分43.42秒
スクリーンショット 2018-12-28 10.04.21.jpg
dendenmushi.gif四国地方(2018/10/11 訪問)

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1556 ウン崎=小豆島町古江(香川県)大石先生の家の三条件を満たす場所は現実にはどこにもない [岬めぐり]

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 木下恵介監督が、最初に壺井栄の「二十四の瞳」を映画化するにあたって、初めてこの物語の舞台を小豆島に設定し、ロケも行なったわけで、これは原作を元に映像化を試みようとする場合、どうしても必要なことだったろう。
 そこで、原作にいう「農山漁村の名が全部あてはまるような、瀬戸内海べりの一寒村」として、原作者の出身地である小豆島にまず焦点を絞ったのだろう。そして、原作のイメージから「湖のような入り江の向こう岸」が見えるような場所と、岬の分教場がある場所として、この内海湾の沿岸一帯を、物語の舞台に設定しなおしてイメージを確定したことになる。
 それは、まことに当を得たもので、多くのことが原作の記述とを彷彿とさせる。小豆島の島内の他のどこを探してみても、ここに代わる場所はないだろう。そしてそこに映画化の脚色を加えているわけで、ここから原作と映像化された作品が別のものとして誕生する。
 明らかに本の読者と映画の観客動員数の比較においては後者が多く、後からできた映画のイメージのほうが先行して人々の間に定着していくのも、避けられない当然のことなのだろう。
 したがって、実際にある場所を示してここがそうだと言われれば、そこを訪ねていく人も現れ、それがだんだんと現実であったかのように、強固なものになっていく。
 しかし、原作の小説もその映画も、どちらもフィクションなのであって、それの場所や条件を、現実に当てはめようとすること自体からして、およそ意味のない作業ということになる。前項で、その一部、大石先生の自転車通勤経路から、一本松の家の位置を割り出そうとしてみたのだが、そこでもう破綻が生じているのだ。
 一本松の家からは、分教場の岬が湖のような入り江を挟んで向こう岸に見えていることになっている。原作では、数か所にそういう情景描写もあるのだが、距離的計算から推測した位置、すなわち分教場から片道8キロのところは内海湾北東奥の草壁本町か片城の付近になってしまい、そこからでは半島の突端から南に折れ曲がった分教場の岬(權現鼻)は見えない。
 見えるのは、二つの湾を隔てる大きな岬の北東に位置するウン崎である。
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 分教場まで片道8キロ地点の草壁本町か片城付近から、国道を西へ戻って行くと、西へ行くにしたがってウン崎の右手に影の薄い細い岬が姿を現す。「分教場の岬」が見えるところまでは、だいぶ戻らなければならないし、「岬の分教場」が見えそうなところとなると、もっとずーっと戻らなければならない。そうすると片道8キロがどんどん伸びてしまう。
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 また、「岬の村から見る一本松は盆栽の木のように小さく見えたが、その一本松のそばにある家」と原作にはあるので、家からも岬の村が見えなければならない。
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 ウン崎から南に向きを変える道路に沿って南下すれば、分教場があったとされている田ノ浦の集落はすぐだ。ここを「岬の村」だとすると、それが湾の北側から見えそうな場所はかなり狭まってしまう。田ノ浦の集落が、ウン崎の出っ張りの陰に隠れるような位置になっているからだ。
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 そして、田ノ浦の集落から北北西を望むと、釈迦ヶ鼻を突端とする大きな半島の付け根にあたる竹生(たこ=地理院地図ではこうルビがふってある)という集落がある。そこはオリーブの丘からは西へ1キロ足らずの位置になる。
 木下監督は、どうやら現場のロケハンをするところで、この村から見えるところにある家の設定のほうを重視して、自転車の走行距離は無視することに決めたらしい。大石先生の一本松の家は、分教場からも見え、舟で漕ぎ出せば最短距離で行ける、その辺りにあるものとイメージしたらしい。映像のインパクトは強烈だから、どうやらそのイメージが一人歩きしているようで、それを前提にしたネット情報は多い。
 その一例を示せば、以下のようになる。

 竹生(たこう)という所に一本松があります。
 不朽の名作「二十四の瞳」に出てくる大石先生の自宅近くにあったとされる一本松です。
 昭和20年に台風で倒れてしまい、地元の人たちが2代目の松を同じ所に
植えました。隣には「一本松神社」もあります。
 大石先生はここから自転車で岬の分教場まで通っていたんですね。
 道の駅小豆島ふるさと村から車で約3分で行けますよ。
 実際に見てから「二十四の瞳映画村」へ訪れてみてはいかがですか!
 (「小豆島ふるさと村」のサイトから)

 因みに、竹生からだと、岬の分教場までは片道12キロもあり、8キロとする原作とは大きく離れてしまう。8キロでも、大石先生自身が「岬の村は目の前なのに、日がな毎日馬鹿念をいれて、入り海をぐるりとまわってかようことを考えると、くやしくてならない」と思うように、決して楽ではない。
 8キロでも、自分と自転車だけが通れる「魔法の橋」を入り江の上にかけてひとっ飛びしたくなるのに、12キロとなるととても女先生が毎日自転車で通って往復できるような距離ではないだろうし、こどもたちが連れ立って歩いて訪ね当てられるような距離でもないのだ。
 ただし、竹生には確かに昭和20年の台風で倒れる前には、一本松もちゃんとあったというわけで、こうなると「大石先生の家」としては「片道8キロ」「岬の村が見える」「一本松がある」の三条件が揃った場所は、フィクションのなかだけにあって、現実にはどこにもないことになる。
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▼国土地理院 「地理院地図」
34度27分37.86秒 134度17分3.79秒
スクリーンショット 2019-01-06 16.35.41.jpg
dendenmushi.gif四国地方(2018/10/11 訪問)

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