1415 弁天崎=三方郡美浜町竹波・菅浜(福井県)水洗い跡で汚れたままのバス車窓から美しい海岸を眺めつつ… [岬めぐり]
でんでんむしも、岬めぐりの計画をたてるときにはインターネットでバスや電車の時刻表と地図をチェックするが、それ以外の地域情報は、岬の項目を書くときに裏付けなどのために関連情報を確認する。ネット情報は活用はしているが、決して鵜呑みにはしない。
そうして見る情報のなかには、旅行先や観光地の情報をライターから集めているサイトもあって、そういうのはなにがしかの報酬も書き手に支払われるしくみになっているらしい。水晶浜について書いていたページもそうらしく、きれいだ楽園だとやたら持ち上げているので、かえって気持ちが(気色が)悪い。
そこで水晶浜としてあげてある写真の何枚かは、実は弁天崎のもので、細かいことを言えばこれは水晶浜ではなく、しいて言えばダイヤ浜のほうに近いが、それも浜ではなかったりする。
だが、多くのこうした観光情報は、細かいことは気にしない方針らしく、弁天崎の写真を水晶浜としているのは多い(なかには弁天崎の南の菅浜の砂浜を水晶浜と称しているものまである)ようだ。目的のためには手段を選ばないというか、ネット情報のいい加減さを示す一材料としては役立ってくれる。
逆に、“日本の水浴場88選”(いろんなのがあるんだねぇ)に選定されていて、有名になった水晶浜にあやかったほうが得だという判断もあるのか、竹波から菅浜までを全部水晶浜だとひっくるめてしまえ、という傾向もなきにしもあらず…なのか。まあ、好きにやってくだされ。
この西海岸に海水浴場が並び、それぞれ人気を集めるようになったのは、原発ができて道が整備された1971年以降だというが、バスでくる客より自家用車でくる人のほうが圧倒的に多いので、そういう人々は馬背峠(「1408 名子崎」の項参照)の下をトンネルで抜けてくるのだ。確かに、これは敦賀からは最短ルートで、トンネルを下って、まっすぐ海に出たところ、ちょうどそこがとにかく有名な海水浴場である水晶浜になるのだ。
どうも、この美しい海岸を走る福鉄バスは、運悪くやたら窓が汚い車両で、ガラスには水洗いした水滴の跡が、ガラス一面にてんてんと残っている。こういうところにも、バス会社の姿勢も伺われるのだが、いい加減な車体清掃のまま乾かして、客を乗せて走っている。外側だから拭くこともできない。
そこで、車窓写真でいい加減に撮っている当方としても、なるべく選んではいるがそのまま載せるしかない。(ひどいもんだけど、これがいい加減な現実だ。)きれいなのも混じっているが、それはフロントガラス越しで撮ったものだから。
弁天崎は水晶浜やダイヤ浜のある竹波地区と南の菅浜地区の境界線上にあって、小さな尾根の先に岩島が大きいのから順にぽこぽこと並んで海に消えていくという地形になっている。もちろん、その名はここに弁天社があるからで、バスの車窓からは南から岬を見たときに、赤い鳥居が見える。
ここには地理院地図では、“松淵”と斜体フォントで並記されている。あるいは松が生え渚に陰を落とし、幽邃な景観を醸しだしていた時期があったのかもしれない。道路脇に残った松も目立たなくなるほど減り、弁天崎を北から南から囲んでいる岩なども、昔の景色からみるとひとまわりも小さくなってしまったのではなかろうか。
広く開けた美浜湾では、外海からの影響も受けやすい。沿岸流の働きで、徐々にこうした景観も、砂浜もやせ細っていく傾向は、どこにも多くみられる。白いきれいな砂浜をつくっているのは敦賀半島の花崗岩で、これが風化し水に運ばれて海岸に蓄積した。水晶浜とかダイヤ浜とかいう名前も、白亜紀に形成された花崗岩と変成岩の岩脈から、結晶が割り出されてきたからなのだろう。
美浜町の名は、耳川が流れる役場付近の旧村にちなんで弥美(みみ)の「美」と砂浜の「浜」を合成したとされているが、そんなややこしいことを言わなくても、“美しい浜がたくさんある町”で、充分通用する。
同名の町が、もうひとつ愛知県は知多半島にある。(確か、海岸際に灯台があるところで、前に書いたつもりだった…とSo-net検索をしても出てこない。愛知県の項目を見てもない。あれれ? 野間埼灯台も行ったはずなのに、どうして項目がないのだろう…。)
▼国土地理院 「地理院地図」
35度40分26.37秒 135度57分59.37秒
北越地方(2016/07/18 訪問)
タグ:福井県
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