1389 ツル根岬=三宅村坪田(東京都)アカコッコ館からツル根岬を目指したもののこれが藪の中に突っ込んで道が消え… [岬めぐり]
大路池からツル根岬にかけての一帯も、もちろん溶岩の流れた大地なのだろうが、それは2500年前の大路池ができた噴火活動の時期かそれよりももっと前のことであろう。その後は大きな溶岩流はこの付近を襲っておらず、照葉樹林帯が一面を覆っている。
都道からみてもそこにあるはずのマールはさっぱりわからないが、その先端のツル根岬へは、地図でみると二本のルートがある。大路池から少し都道沿いに東に進んでから南に入る道と、「アカコッコ館」入口の前から南に入る道である。
さて、どちらがいいのか。アクセスの容易さと、ツル根岬の先端の崖により近いところまで破線の道が続いているという理由から、後者の道を選ぶ。
三宅村村営バスのバス停の標識にいちゃもんをつけていたのは、いちばんめだつ中央上を占めていたのが、バス停名ではなく大きな鳥の絵だったからだ。鳥だけではなくそのバックには三宅島全島の地図と、その上には「バードアイランド三宅島」の文字が周りを囲んでいた。
つまり、それくらい村が重視しているらしいキャラのこの鳥の名は“アカコッコ”。昔からニワトリのことを“コッコ”と呼ぶ幼児言葉があったが、どうやら幼児だけではなかったようで、その名からすると体も赤いのだろう。これだけ三宅村が肩入れしているこの鳥とは…?
鳥の分類も花や樹と同様よくわらないが、“スズメ目ツグミ科ツグミ属”の鳥で、“島赤腹”という名もあるように伊豆諸島の鳥である。1975年に国の天然記念物に指定されているが、雄山の噴火以降生息数が減少している三宅島では、村立の自然観察施設「三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館」を設立した。
大路池にほど近いそこには、日本野鳥の会のレンジャーらが常駐して活動をしている。入館料は200円だが、65歳以上は無料。なかなか立派な施設で、校外学習のための視聴覚設備なども備えているが、なぜかこれも中高年のおじさんやおばさんが多いバード・ウオッチャーのための観察室を眺めながら一休み、どうも足の具合がヘンなのだ。
実物がそう簡単に目の前に現れるわけはないので、念のためネットの写真と比べてみると、“赤い”部分の大きさがまるで違うのだ。なるほど、赤いのは腹だけで、漢字和名の“島赤腹”のほうが正鵠を射た命名だったのだ。
大路池の森は、確かに多くの野鳥がいるようで、いろんな鳴き声は降ってくるがこれもシロウト目にはなかなか捉えにくい。大路池の照葉樹林帯は、新澪池や粟辺・薄木まで広がっていたが、その西側の大半は、新鼻一帯で繰り返されてきた水蒸気爆発によって壊滅した。だが、自然による破壊とは比べものにならない影響を及ぼしているのが人間の経済活動である。
大路池の付近はもとは神社の森だったという。神様が自然を守ってくれたそれにも象徴される自然信仰が、経済優先の活動にどんどんおされてきた結果、地球規模の破壊がとめどなく続いていて、グローバル化が輪をかけるそれには歯止めがない。
アル・ゴアの『不都合な真実』や、11月11日生まれのレオナルド・ディカプリオが制作した環境ドキュメンタリー映画『The 11th hour』をCS放送で見て、改めてそのことを思った。『The 11th hour』にぞろぞろ出てくるような人々に、思いを共にするような政治家や指導者は、どこからも出てこないのだろうか。
地球規模で、新しい価値観を共有しなければならない時代になっている。そのなかで、従来の資本主義と経済活動の原理やしくみが、当然問われてくる。ほとんど経済の知識がないので、このところはもっぱら、同じSo-netブログの「本」のカテゴリで中身の濃い書評と紹介を続けておられるだいだらぼっちさんの記事で、『資本論』や商品経済のことを興味深く拝読している。
都道から入る道の角には、四角い新しい建物があり、丸いランプを屋根に載せた自動車などが停まっている。看板を見ると、どうやらここは2000年噴火の後に発生した火山ガスを測定する会社らしい。なるほど、噴火後の新ビジネスなのだ。
その前からどんどん南に行くと、自動車も入れる道が突然終わってしまった。なんの前触れもなく、なんの標識や、細道への連絡もなく、ムリに行こうとしてそのまま視界のまったくきかないヤブに突っ込んで、にっちもさっちも行かなくなってしまった。まったく展望はきかない。
やっぱり、東の道だったのかねぇ。しかたがないので、ツル根岬は東の坪田港からと、西の新鼻からの遠望で間に合わせておくことに…。
もう長いこと溶岩流出がないツル根岬の周りは、海食崖が発達しており、30メートルくらいの垂直な断崖が続いているようだ。
▼国土地理院 「地理院地図」
34度2分50.12秒 139度31分52.61秒
関東地方(2016/05/20 訪問)
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