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番外:大路池=三宅村坪田(東京都)なかなか簡単にはま〜るく収まらないま〜るいマールのことなど… [番外]

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 専門家の説明がシロウトにわかりにくい原因のひとつは、専門用語をいとも気軽に振り回し、それですべてが済んだかのような終わり方をするからである。専門家同士ならそれでもかまわないのだろう。また、同時にいろんな専門用語表現を使い分けるのかどうか知らないが、あっちの説明とこっちの説明で違う用語を平気で使ってフォローしないということがよくある。これがシロウトを惑わせる。
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 たとえば、大路池についても「約2500年前に出来た火口湖」という説明があり、また「マグマ水蒸気爆発で生じた円形の火口の周囲に少量の火砕サージ堆積物の低い環状の丘を形成したマール」という説明もがあるかと思えば、「爆裂火口」であるともいう。こうなると、火口とマールと爆裂火口は同じなんですかい違うんですかいと聞きたくなるが、そういうことは非常に多い。
 まず、「火口」とは「火口はマグマや熱泥や温泉水が、地下深部から上昇してきて地表を突き破ることで形成される」そうなので、水蒸気爆発でできるものも火口と言ってもいいらしい。したがって、大路池を火口湖と言うのには差し支えがないわけだ。
 次に「爆裂火口」とはなにか。火山の爆発でできる火口だが火砕丘をもたず、地面がえぐれたような凹みになるというので、そうすると火砕丘があるマールはそうではないことになるが、別の説明ではマールもその一種だという。こうなるとわけがわからん。しかも、火砕丘があるかないも、けっこう微妙だし…。
 しかもマールの説明の中で「火砕サージ」といわれると、それがまたわからない。雲仙普賢岳以降一般用語化した「火砕流」とはちょっと異なっていて、火山ガスの比率が高く、高速でなぎ払うように移動する現象だそうだ。その動きが水蒸気爆発火口の周辺をなぎ払うことで、周囲に円形の縁ができる、ということなのか。
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 この三宅島南部にはいくつものマールがあると書いていたのだが、マールには水がある場合もない場合もある。大路池には、その丸い凹みの南側に偏っていはいるが、水を湛えている。そのすぐ下の都道北側にも地理院地図でははっきりと水のないマールが描かれており、大路池の北東、坪田集落よりには大路池に匹敵するくらいの大きさのマール地形がある。そこも池ではないが、輪の中には小さな池と水流があり、道があり畑があり、都道に接するところには都立三宅高校がある。
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 おやおや、ここにきてwikipediaの“三宅島”の項には、こんな記述があるのを発見した。
 
 「…海岸付近ではマグマが海水と接して発生するマグマ水蒸気爆発による爆裂火口地形(マール)がいくつも見られる。大路(たいろ)池がある古澪(ふるみお)、新澪(しんみお)池跡、三宅高校のある八重間などもマールの例である。新しい溶岩が海岸に達しなかった場所は切り立った海食崖が続いている。
 
 なるほど、三宅高校のところは、八重間という名があるんだ。おおっ、それに「1388 新鼻」の項で、古澪について問題提起していたが、「古澪」もやっぱりちゃんとあったんじゃないか!
 しかも、その場所を「大路(たいろ)池がある古澪(ふるみお)」と特定している。この記述によると、古澪の上や隣に新澪ができたんじゃなくて、古澪からはまったく離れた別の場所であるところ(ここからは東に2キロ以上離れている)に新澪はできた、ということになるわけだ。
 さらにうろうろしていると、どうやらこの wikipediaの元ネタになっている(逆ってことはないよね)らしい「日本の活火山」サイトのなかにある「三宅島火山地質図」の解説にも、「海岸近くのマグマ水蒸気爆発で開いたマール (爆裂火口)を数多く見ることができる.大路[たいろ]池のある古澪[ふるみお],1763年に形成された新澪[しんみお]池(跡)などはこのようなマールの例である.」との記述があるのを確認した。
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 しかし、それは具体的にどこだ、ここだよとはっきり書いてくれないもんかねえ。案外、大路池と都道の間にある小さなマールがそれなのかも…?
 いやいや、まてよ。もう一度説明を読んでみよう。ここではwikipediaもその元ネタも「大路(たいろ)池が(の)ある古澪(ふるみお)」をひとつのマールと勘定しているわけだから、ということは、「大路池=(or ≒ )古澪」ってことになるんですか?
 これは大発見だ。しかし、まてまて、もうしばし…。
 そうであるならば、古澪の存在やそれが大路池という名になる経緯など、もう少しれっきとした由来説明があってもよさそうなものだが…。どこにもないんだね、これが。だから、なかなかすっきりとまあるく収まらない。
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 バス停を降りて、広い道を上りながら深い森のなかに入っていくと、道はまた急な下りの階段上になる。つまり火砕サージでできた縁の内側に入ったわけだ。
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 桟橋に立って正面をみると、丸くはなく左奥が少し奥深くなったような水面が左右に広がる。この水面は、マールの南半分にも満たない。北は緩い斜面になって、サージの縁に達し、そのまま真北にある雄山火口へと続いていく。
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 ああ、そういえば、マールのことを最初に書いたのは、男鹿半島だった。ここでもいろいろ書いているので、参照してくだされ。
 ま、いずれにしても、知りたがり屋シロウトの駄文に過ぎませんがね。
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▼国土地理院 「地理院地図」
34度3分15.72秒 139度31分33.45秒
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dendenmushi.gif関東地方(2016/05/20 訪問)

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