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1381 大崎=三宅村神着(東京都)1874(明治7)年の雄山噴火で火口北側に火口列ができ溶岩流が流れ下ったところが焼場 [岬めぐり]

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 「大崎」というのはよくある岬の名前なのだが、これは文字通り岬の大きさというか、その周辺における存在感でつけられている場合が多い。
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 いやー、三宅島のほぼ最北端の岬、大崎。湯舟グラウンド前バス停から、坂道を下り、診療所を横目に下って行くと、道を回ったところで正面に見えてくる。
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 まことに堂々たる大きさと風格ですよ。崖の高さは40メートルを超えそうで、手前の前ノ浜から西へ大きく回り込む岬の崖は山向こうの大久保浜まで500メートル以上に渡って丸く孤を描きながら続いている。
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 名前に恥じない、大きなスケールの岬と言ってよい。
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 大崎の東には、湯ノ浜の漁港がある。三池港などもそのようだが、三宅島の漁港は、海岸に押し出た溶岩を開削してつくったものが多い。といっても、島の周囲が全部溶岩なのだから、当然そうなるわけだが…。osaki-2.jpg
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 湯ノ浜まで下りきってしまうと、かえって大崎が見えなくなりそうなので、20メートルくらいのところで道を降りるのをやめ、引き返す。バスの時間もあるしね。
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 その道の途中から大崎を眺めたときに、道端に小さな祠の屋根が写っていた。大きな道から回り込む道が付けられていて、それがかわいらしい鳥居と社殿の前に出るようになっている。
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 神社を祀るにはいささかヘンテコな立地だなあと思いながら、正面に回って扁額を見ると、なんとこれが「飯王子神社・酒王子神社」とある。
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 思わず笑ってしまうが、この神様はどういう人…いや神様なんだろう。
 神様の世界もなかなか複雑にしてまたしばしば怪奇であり、興味本位でちょっと覗いたくらいではなにもわからないのだが、わかったこともいくつかある。
 まず、この二神は三宅島は神着に坐します御笏神社の末社である。御笏神社の祭神は佐伎多麻比咩命(さきたまひめのみこと)で、彼女は事代主命(ことしろぬしのみこと)の妻となって、椎取神社で6人(あれ8人だったかな)の王子を産んでいる(はずだったが、要調査→三宅村の公式記録では八人)。ただし、飯王子・酒王子がそのうちの二人かどうかは未調査で不明。
 島の南の富賀神社も事代主命とその妻子が祀られているはずなので、三宅島の神様は同じファミリーらしい。事代主命は三島神社の祭神でもあり、三島神社にも飯王子、酒王子の末社がある。
 御笏神社があるのは、ちょうど大崎からまっすぐ溶岩流でできた斜面を駆け上って都道を越えたところである。そこまでは行けなかったが、この神社のお祭りで、男女が面をかぶって舞う神事が、また古式を伝える興味深いものであるらしい。
 御笏神社は元からそこにあったわけではなく、東郷というところにあったものを、1516(永正13)年に神託があって、当時は島役所などもあったらしい現在地へ遷座したのだという。
 その神託から358年後…。1874(明治7)年の7月、三宅島雄山が噴火し、溶岩流が北斜面を流れ下り、御笏神社の旧社地であった東郷の集落45戸は、溶岩に埋没し全滅した…。(このときの死者は1名で、それが流人であったという記録もある。三宅島も流人の島だった。)
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 東郷の地名は現在の地図にはないが、「ジオスポット」の焼場(やけば)の記述で、それが現在の焼場地区その場所だとわかる。その案内板にある説明によると、このときの噴火では、雄山火口の北の端からいくつもの火口列が北へ下りそこから溶岩流がまっすぐに北へ流れたという。
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 そして、大崎の東で海に向かって5000平方メートルもの新しい陸地をつくった。現在、飯王子神社・酒王子神社、湯舟グラウンド、中央診療所、湯ノ浜港の東西を含む海岸一帯には、その跡がいまもたくさん残っているらしい。
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 話は戻りますが、飯王子神社・酒王子神社の位置はどうみても不自然なのだが、神社は北に向くように建てられる必要があったので、道路工事の結果こういう形になったとか…?
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▼国土地理院 「地理院地図」
34度7分28.99秒 139度31分20.21秒
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dendenmushi.gif関東地方(2016/05/19 訪問)

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