1380 下根崎=三宅村神着(東京都)このためにだけ道がある?岬の上はなんか不思議な場所だった [岬めぐり]
「下根崎」は“しもねざき”ではなくて、「あこんざき」と読む。地理院地図にもルビがふってあるが、土佐のバス停から少し戻ったところにある道標もローマ字読みがふってある。
どういう意味なのか、そうしてそういう読みになるのか、それは聞かないでね。でも、伊豆諸島一般に小さな岩礁の出っ張りを“根”と呼ぶことは共通しているので、漢字の意味のとおりに解釈しても可なのかもしれない。
その下の“2km”の標識は三宅村が設けた距離掲示だが、八丈島に習ったものだろう。だが、こちらのほうは三宅支所からの距離ということなので、支所がどこにあるのかがわからない旅人にとっては、ほとんど意味を成さない。マイルストーンとしても、わかりにくい。
標高70メートルくらいのところを巻いて走る、三宅島を一周する都道から、標識にしたがって下る道には、途中で分かれ道になるところにも下根崎への案内がある。そこからまた、約550メートルもゆるやかな下りの道を進むと、まもなく岬の上に出た。
そこは30メートルくらいの崖の上で、下のほうに下根崎の岩根が白い波を食んでいる。
しかし、そこでふと気がつく。確かにここが下根崎なのか?
道中あれだけ親切に標識をつけてきたのに、その目的地にはなんの案内も標識もないからだ。標識が欲しいわけではないが、あれっ?なんでだろ?と思う。地図で確かめるが、この場所に間違いない。
一周道路から降りてきた道は、とにかく一本道である。間違いようもない。岬の上で右折している道は、それも150メートルもいかないうちに行き止まりになってしまう。
その辺りには、人家もなにもなんにもない。ただ、岩の磯に白波が砕けて、ガードレールは赤錆び、崖の上の草木が風に揺れる。海も青く空も青い。
行き止まりの道から下には、コンクリートの階段がついていて、海岸に降りられるようになっている。
おそらく、釣り人たちがやってきて、竿を出すところなのだろう。
それにしても…。
なにか、不思議な感じのする場所、岬である。
それとも、かつてはこの場所になにか意味があるとき、意味があることがあったのだろうか。
“下根崎”で検索してみると、まずいちばんに出てきたのは、NHKの「とうちゃこ!」(にっぽん縦断 こころ旅)ページで、同様の項目がたくさんあった。2016年の3月、火野正平さんとそのスタッフ一行と自転車たちは、三宅島を走り、3か所で手紙を読んでいる。
そのひとつがここ下根崎で、昔女の子が2人この磯で泳ぎ、磯から外海に出てスリルを楽しんでいたが、ゴーゴーいう波の音がだんだんと怖くなったと、投稿者は手紙に書いた。
やっとの思いで岸に戻ったときには、抱き合って泣き、その日のことは2人の秘密にしてきた…、という。
抱き合って泣きヒミツにしてきた、というのがいかにも女の子らしいが、これ、わかりますね。似たような経験がありますから。
あとそれ以外で下根崎に関するもは、予想通り磯釣りの記事くらいで、ほかにはなんの情報もない。やっぱり釣り場として以外には意味はないのか。
すると、この行き止まりの道も、釣りに来る人のためにここまで引っ張ってきた、ということ?
やっぱり、なんか不思議な場所だ。
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