1358 オヨギドノ鼻=八丈町三根(東京都)道路からは岬も海も見えないし目印もないので地点標を参考に下ってまた上る [岬めぐり]
八丈町が設置している釣り場案内の標識に従って下って行く道は、どうも地理院地図では不分明であるが、帰りはまた元きた道を上って戻らなくてはならない。つまり、下ってまた上る、これが八丈島の岬めぐりの基本であるらしい。通常であれば、あまり距離を置かずに並んでいる赤崎とこのオヨギドノ鼻、それに次の中根ヶ崎は、海岸線を逍遥して行けば次々に現れるはずである。八丈島ではそうはいかない。
都道215号線に戻ると、今度は次のオヨギドノ鼻の入り口を探して西に戻る。運転手さんの言うとおり、歩いて帰るなら、あるいはケータイの電波が届くところまで戻るには、東に向かうほうが確かに近い。
だが、こちらの目的は岬めぐりなので、ここから西にいくつかある岬を拾いながら歩いて戻らなくてはならない。
見ると、道路脇には釣り場案内とはまた別に、八丈町の設置した地点標63がちゃんとあった。これが「八丈島観光地図」に記されていたものである。この数字は逆時計回りに進んでいくので、ホテルの下の80地点までは、8.5キロ歩くことになる。実際には、その手前で海岸に降りて遠回りでホテルに帰ったので、もっとたくさん歩くことになるのだが…。
この地点標は島中の主要道に設置されているが、地図上の平面距離ではなく、道路の昇り降りを加えた実測値で測られているらしいので、なかなか参考になる。それに、単調な道が延々と続く都道215号線では、家も道路沿いにはほとんどないので、およそ目印というものがない。
こういう道で、目指す岬を見つけるのは、それがなかなか難しい。第一に道路から海が見えないところが多い。たまに樹木が切れて展望が開けることもあるが、海は見えても海岸線が見えないのだから困るのだ。
また、こんなものも見つけた。
イタチかオコジョかというような小さい茶色いのが、道路のそばの石垣の間から出てきて、人を恐れるふうでもなく足元をちょろちょろしている。こういう石を並べただけの石垣は、八丈島の至るところで見受けられる。そこらにある手頃な溶岩を並べるだけでいいのだから、いちばん効率的。
地理院地図の実線や破線の道は、実地踏査されていないのか、まったく参考にならない。なんとか降りて行くとやはり迷い込む人も多いらしく、地主が建てたらしい道標があった。
オヨギドノ鼻という名も、まったく解釈もできず想像もつかないが、“オヨギド→”と書いてあるので、“ノ”が助詞であることはわかる。親切の意味とともに、オレの土地に勝手に入ってくるな、という主張も込められているようだ。
この道標を建てた人、私有地の主の家だろうか。海を見下ろす斜面を切り開いて、家や畑のようなものもある。いつもの素朴な疑問。この家の主は何を生業として暮らしているのだろうか。
余計なお世話というのではなく、とても気になりませんかねえ。
ツワブキのようなものが一面に生えた細い道をさらに降りて行くと、黒い溶岩の台地がざっくりと削り取られたようなオヨギドノ鼻の上に出た。
下の海岸には、白く波が砕け散っては渦巻いている。岬の特徴のひとつ、周辺に岩礁地帯が巻いているのだろう。当然、海岸には浜もなく道もない。それでも釣り人が行く道と、竿を出す足場になる岩はあるのだろう。
東の斜面を見ると、溶岩が陥没してできたような穴があちこちにある。
西の斜面を見ると、上の方に電柱が立っている。あそこが道路なのだ。火山の噴火でできた山のスロープを切り開いて道をつけたことがよくわかる。これくらい高いところでないと、道をつけられなかったということでもあろう。
▼国土地理院 「地理院地図」
33度9分30.14秒 139度46分17.94秒
関東地方(2016/04/15 訪問)
タグ:東京都
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