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1343 神在鼻=高松市神在川窪町(香川県)証拠はないんだけどやっぱりここも「こうざい」だったのではと疑っている [岬めぐり]

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 菅原道真の時代からは約220年も下って承久の乱になるわけだから、香西氏が香西を名乗ると決めたときには、この地域は「笠居」だったことになる。室町後期の頃までは、中讃岐の中心はこの笠居付近であったらしい。そこで考えられるのは、その「かさい」の読みを下敷きにして字をあてて香西という名にし、読みもちょっとひねって“ざい”と濁らせた、ということではないだろうか。
 国土地理院の地図表記からはすでになくなっている笠居の地名は、自治体である高松市によって今も保存されている。下笠居小学校と下笠居中学校が生島町に、市立下笠居西部保育所が亀水町(この読みがまたおもしろいのだが、それはまた後の話)にある。
 実は、1956(昭和31)年前までは、香川郡香西町と香川郡下笠居村が東西に並んで存在していたのである。ご多分に漏れず、合併でそれらが高松市に編入されて町の名もバラバラにされてしまった。
 ちなみに、香川郡香西町は現在の高松市香西本町・香西東町・香西南町・香西西町・香西北町の5町の地域であり、香川郡下笠居村の地域は現在の中山町・植松町・生島町・神在川窪町・亀水町の5町だったのである。
 地名の香西が香西氏からきていることは明らかなので、いつかのときに古いこの一帯の地名である笠居が、香西と下笠居に分けられたものだろう。
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 さて、でんでんむしはこれもどうも「こうざい」と関係があるのではないかと思っている神在鼻も、牛ノ鼻と同じく、旧下笠居であった神在川窪町である。この町は香西北町のすぐ西隣りで、串ノ山から続く峰を含む広い範囲だが、その名は海岸の神在と、南の川が流れる川窪のふたつをむりやりくっつけたものでなんのいわれもない。その町域の北端に大きく飛び出して、牛ノ鼻とは違ってこちらはかなり目立つ岬である。
 「しんざい」と現在では読ませることになっているので、出雲大社の神在(かみあり)とは関係がないことをことさら強調しているかのようだが、その名のいわれは不明である。
 海岸の神在の集落から先は道は行き止まりで、神在鼻は崖に取り巻かれている。
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 そこから眼を転じて、牛ノ鼻のほうを見ると、すぐ先には埋立地が伸び、その遠くに屋島がある。その台地から滑り落ちる長崎ノ鼻の先の海上に、女木島と男木島が浮かびその間は加茂ヶ瀬戸で隔てられているが、南端(右手)は女木島の帆槌ノ鼻で、北端が男木島のトウガ鼻。
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 さらに遠くには豊島が横たわり、手前には直島が現れる。直島の東端のように見えるが、それは手前にある柏島の東端でタテエボシ鼻だろう。直島から西はすぐ岡山県の玉野市になって、犬戻鼻、その左のほうで二本の煙突と赤茶けた地肌を見せているのは日比の精錬所だろうか。
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 神在鼻のギリギリくらいが玉野市の鼻繰鼻付近で、大槌島はここからは影になる。
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 神在からはまた神在口のバス停まで戻るが、その途中にある住吉神社は、そこがかつては岬だったのではないかという地形にある。海の神と船の神が揃っていることいい川窪という名といい、笠居の古い港はこの辺りにも広くあったのではないか。港を背景にした香西の街は、外敵からの侵入を防ぐ意味で複雑な道がごちゃごちゃとしていたようだ。古い町並みも残っているらしいのだが、引き返してそこを歩く余裕はない。
 室町幕府で重きをなした讃岐守護の細川氏の元で、香西氏が水軍を束ねてこの付近を拠点にして勢力を保ったのは、後に大内義興に仕えて備讃瀬戸と塩飽水軍を押さえ、朝鮮とも交易をしていた1531(享禄4)年頃が全盛期だったと思われる。その子孫は、戦国時代を備前の宇喜多や備後毛利の小早川、阿波の三好、土佐の長宗我部などとの接触のなかで、ついには羽柴秀吉の四国征伐で長宗我部方として敗れるに至り、歴史から姿を消した。
 元からの讃岐の国人であった香西氏と同じく細川四天王の一人といわれた香川氏は、細川に従って讃岐にやってきて主に西讃岐を支配したが、県の名は讃岐の国人の名ではなく外来の香川氏の名によっているわけだ。
 現在の高松市の中心街付近は、その昔は三角州に芦が茂っているようなところだったと思われ、讃岐のこの付近の中心は香西のほうだった。そう考えてみるとやはり水軍の出入りする目立つところの岬が「こうざい」を意識した変遷もあったと考えるほうが、少なくとも菅原道真が神様に祀られたので神在になったという説よりは納得がいく。…というのは史料によるものではなく、状況証拠の積み重ねによるもので、あくまでもでんでんむしの憶測に過ぎない。
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▼国土地理院 「地理院地図」
34度22分22.10秒 133度58分35.44秒
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dendenmushi.gif四国地方(2015/10/31 訪問)

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タグ:香川県 歴史
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