1316 牧鼻=七尾市能登島向田町(石川県)ここがどうして飛地になったのかああだこうだと想像してみても… [岬めぐり]
能登島の移動もすべてバス次第なので、無関のあたりを走るバスの前方遠くに見えていた牧鼻と、水族館のあるマン崎へは、翌日早朝の曲(まがり)線のバスに乗ってやってきた。
前日には、南線を大橋駐車場まで戻り、いったん和倉まで引返してホテルに泊まっていたが、和倉温泉東口から乗った曲線でまた能登大橋を渡り、北上してこの路線の終点までやってきた。
“曲線といっても南線に比べるとほぼ真っすぐ”に、島をふたつに分けるように七尾から往復している幹線である。もちろん、線が曲っているからソノ名があるわけではないのであって、北にある曲町の名をつけて「まがり線」と呼んでいるだけだ。
能登島には、ほかに前日に乗った“西を通っているのに南線”と島の東側を通る祖母ヶ浦線があるのだが、そのふたつはいずれも曲線から乗り換えて分岐するようになっている。
つまり、同じ七尾市内とはいえ本土の七尾市街地から能登島に渡る公共交通機関はこの能登島交通のバスだけで、それも島の中央を横断している曲線一路線だけなのだ。
島の北海岸のほぼ中央付近で、少し西に傾きながら飛び出している牧鼻は、80メートルほどの高さの尾根の先端である。
この岬は、植木鼻から見ようとしたが植林に遮られて、その西からは見ることができなかった。では東側から…というので曲線の終点はのとじま水族館まできた。水族館の上の高台にある駐車場から、東側面後方からの牧鼻の姿が見える。ここから岬の先端までは,1.5キロくらいはありそうだ。
先端は低くなっていて、岩磯や岩礁がくっついているようだ。
地図でみると、そこまで行く道がないわけではなさそうだが、とくに行かなければならないという理由もないので、ここは水族館の上からの眺めで充分としておこう。
岬の出っ張りの上には、50メートルくらいのところに家が固まっているところがあり、そこまでは自動車道が通っている。
その集落の所在地は能登島向田(こうだ)町で、牧鼻と同じである。先に紹介した七尾市の行政区別世帯数人口統計をみると、この能登島中央の北部地域は、向田地域として括られている。つまり、向田こそがこの地域の中心らしいが、牧鼻の出っ張りは、ずっとその外れにあり、向田の中心集落からは、北西方向に3.5キロも離れている。
しかも、その間には能登島曲町という別の地域と集落が挟まっていて、出っ張りの付け根を占拠している。
要するに、牧鼻とその上にある向田集落だけは、向田の中心から離れた飛地のようになっているわけだ。
七尾市の一部になっている今では、単なる僻地の字名が異なるだけであるから、そのこと自体になんら意味もなければ支障があるわけではないのだろう。だが、能登島が独立した行政機関の町であった時代から、それは変わっていないはずであろう。
では、どうしてそんなことになっているのか。それにも深ーいワケがなければなるまいに…。ところが、これがまた皆目わからない。想像をめぐらしてみても限界があるが、たとえば考えられることとしては、いつの時代にか、向田地区の一部の人たちが、集団で当時未開の地であったこの岬の上に集団移転したのではないか、というのがある。
もちろん、これはでんでんむしの勝手な憶測に過ぎないが…。
(この件については、実際はどうやら飛地でもなんでもなかったらしいことが、次項で判明する。だからこれだけ書いておいて誤解しないようにね…というのも、われながら無責任なようにも思うけど、まあ真相は次項でね。)
手前にみえるのはのとじま水族館の屋根で、牧鼻の向うに見えるのは穴水町の能登鹿島付近にあたるはずである。
▼国土地理院 「地理院地図」
37度9分16.52秒 136度58分4.46秒
北越地方(2015/09/15 訪問)
タグ:石川県
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