1275 ツバ崎=珠洲市真浦町(石川県)輪島市から半島北端の珠洲市へ入って最初の岬も垂水の滝も雨の中 [岬めぐり]
珠洲市の観光案内所が仲介してくれた宿は、真浦も輪島市と珠洲市の境界に近い観光ホテルという名の旅館だった。曽々木口まで迎えの車が来てくれて、昔の記憶にもある幅の狭い曽々木の集落を抜け、八世乃洞門をくぐったところが市の境界で、山を背にして海に向かって建つ宿はすぐその先だった。
小さめの器がたくさん並んだ夕食の膳で6種類の海藻のしゃぶしゃぶをいただく頃には、雨がバシャバシャと降り始めた。
その雨は翌朝も続き、この日は半日ずっと雨だったが、その間はずっとバスに乗って半島を西から東へ、北から南へと回り込むつもりだ。
宿の前から海岸に出ると、ツバ崎が雨の中にけぶっている。この岬は、真浦の漁港と集落の北に飛び出ている。その下を逢坂トンネルで国道249号線が突き抜けていて、写真でもいかにもトンネルというかまぼこ型をした白い穴が、ポッカリ開いている。
しかし、このツバ崎で岩の下をくぐるのは、長い逢坂トンネルとは別の旧道のほうのトンネルで、100メートル足らずしかない短いものだ。だから向こうまで突き抜けて白い穴になっている。
真浦の集落とバス停までは800メートルくらいあるし、雨の中でもあるし、ツバ崎はここから見るだけにして宿からすぐ斜め前にある垂水のバス停でバスに乗ることにする。
が、その前に、雨の中だが、駐車場付近にあるらしい市境を越えてちょっとだけ輪島市側に戻り、垂水の滝を見ていくことにしよう。
この滝は、市境の尾根の南にある200メートルほどの低い山の間から、短く流れ出しているので、晴れた日が続いているときだと、水は少ないだろう。だが、夕べからの雨なので、水量に不足はないだろう。
八世乃洞門も新旧があるが、旧道と旧洞門は完全に封鎖されている。その封鎖されている旧道の口に垂水の滝はある。
そこに建っている看板には、「垂水の滝は山から流れ落ちた水が直接海に注ぐという、全国でも珍しい滝です。」とあった。そうなのか。新潟の青海川駅の滝もそうだったけど…。
そのほか、看板には風が強いと水が霧状になって吹き上げられる逆さ滝だとか、荒れた海の波が岩に砕けて水泡が生じる波の花だとかについて説明している。
この看板はFAO(国連食糧農業機関)が認定する「世界農業遺産 能登の冊山里海」のものであった。この頃は、どこもかしこもなんとか遺産ばやりで、つい先頃もユネスコ事務局の世界記憶遺産に中国が申請した南京虐殺が登録され、日本政府与党が拠出金を停止すると反発しているとニュースが伝えられたばかりだ。
ユネスコもアメリカが金を出さなくなって、日本の拠出金の比重が大きくなって大株主でいるにもかかわらず、まったく影響力が及んでいないという、相変わらずの外交ベタで足下をすくわれている。ユネスコといえば、ずいぶん昔から日本の国際関係の中で他のどんな機関よりも公明正大で大きな存在であったような気がしていたが、どうやら現在のブルガリアかどこか出身の事務局長か誰かが、親中国に取り込まれているというなま臭いウワサも伝わっている。
それとはまた別のことなのだろうが、白米の千枚田も“”農業遺産”と言っていたから、そこもこの滝を含めた曽々木海岸も、ひっくるめて「能登の冊山里海」としているらしい。
世界遺産の類いもやたらいろいろあって、かなり混乱してきたようであるな。
滝の下から岩場の海岸に“波の花遊歩道”があり、ここから南西へ窓岩の曽々木海岸が続く。
さて、振り返って北側を見ると雨の駐車場の奥には数軒の食べ物屋などの観光施設があって、この小さな垂水の滝はそれらをみんな養っている。偉大なものだ。
垂水から狼煙行きのバスに乗り込んで、真浦からと逢坂トンネルを出て、振り返ったところのツバ崎。この名前も、なんかありそうではあるけれど…。
▼国土地理院 「地理院地図」
37度28分33.41秒 137度5分31.26秒
北越地方(2015/09/13 訪問)
タグ:石川県
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