1270 ゾウゾウ鼻=輪島市鵜入町(石川県)そうぞうしてみると「西保海岸」のゾウゾウ鼻の名前と景色は… [岬めぐり]
この名がどうしてついたかというと、まず思い浮かぶのが、「ゾウの鼻」のように突き出た岬だから、といったことだろう。岬の姿がそう見えることは想像できないので、まず、そんな「ゾウの鼻」形の岩が突き出ている、といったところか。
「ゾウゾウ」と繰り返しているのは、そんな岩が複数あることを意味しているのかどうか。バスの車窓からはそれを見ることもできないので、確かなことはわからない。
しかし、“ゾウゾウ鼻”で検索すると、めずらしくたくさんの項目が並んで出てくる。情報となるような記事内容はなにもないが写真だけは多くあって、それらをみるとやはりそんな岩が何本か突き出ているようだ。
ほかの岬については、ほとんど出てこないのに、ここだけたくさんFacebookやらなんやらで取りあげられているのは、この県道沿いでは唯一といっていい、展望台と駐車スペースがここにあるからだろう。
県道を東へ進むバスの前方に、道路脇のコブとその上に立つ木組みのやぐらが見えてくる。そこには“寄り道パーキング ゾウゾウ鼻 Zouzoubana”という妙に大きくて立派な標識まである。
その横にはまた「千畳敷」も…。ここから前に書いていた地理院地図の十畳敷とはだいぶ距離があるのだけれど…。やはり千畳敷は十畳敷とは別にあるのだろうか。
とにかく狭い曲がりくねった、運転にも気の抜けない県道38号線を走ってきたドライバーにとっては、ひと息入れたくなる貴重な場所になっているらしい。
そこで、みんなここで車を降りて展望台に上り、写真を撮るのだろう。だから、ここだけネット情報の項目だけは多い、ということになっている。
“見晴らし展望台”の下は急な斜面が海に落ち、岩に白波が寄せる光景が望めるのだろう。
車窓からも、ちょっとだけそんな景色の一部を垣間見ることができた。地図でも確認すると、展望台の下がゾウゾウ鼻であることは明白なのだが…。
気になるのは、その展望台まで行く前の西寄りの道路際にも、ゾウゾウ鼻の板の標識が立っていたことだ。ゾウゾウ鼻が二つあるということはないだろうから、これはもしかすると「ここからゾウゾウ鼻が見えますよ」という意味の標識なのかも知れない。だが、見たところそこらから展望があるようにも思えず…。
念のためにMapionを見ると、いくつか並んでいるゾウゾウ鼻の岩の出っ張りのひとつに「∴ 西保海岸」と表示してある。Mapionの「∴ 」表示がかなり独特な基準によっているらしいことは、前に沖縄本島の項目の中でも触れたことだが、これは地理院地図にはない。
そもそも、「なんとか海岸」といった呼称は、日本地図的スケールでいえばまず「三陸海岸」、それに強いてあげれば「日南海岸」以外にはすぐに浮かんでくるものはなく、あまり広く定着しているわけではないように思える。
だが、もっと細かくみれば、日本中海岸に取り込まれているわが国では、沿岸各地にそれぞれ海岸はあって、史跡名勝でも何でもなくとも、なかにはその景勝を特別に名付けて呼びたいと、たくさんの「なんとか海岸」ができる。それも自然なことであって、この「西保海岸」もそうしたひとつなのだろう。
基準もなく公でもないとなれば、ばらつきが生じるのも当然なことで、能登半島でいえばこのさらに東に行くと、「名舟海岸」や「曽々木海岸」は地理院地図には表記しているのに、この「西保海岸」だけは記していないのだ。地理院地図の「∴ 」は、これまでに国などによって指定された史跡・名勝・天然記念物などについているので、「∴ 」印は曽々木海岸にだけで、名舟海岸にはついていない。
その「西保」という名前だが、これも地名も地図に表れることがない。バス路線名が「西保線」と聞いても、そりゃいったいどこのことだと、なかなかわかならない。
わずかに前々項の「1268 瀬ヶ岬」の項で取りあげていた小学校の名前が「西保小学校」であったことと、このMapionの「西保海岸」くらいしか出てこない。そのほかでも、郵便局と公民館には「西保」の名があるので、これも消えてしまった地名なのだろうか。
▼国土地理院 「地理院地図」
37度24分0.04秒 136度50分35.42秒
北越地方(2015/09/12 訪問)
タグ:石川県
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