1258 田塚鼻=柏崎市大字笠島(新潟県)最後まで残っていた新潟県の岬やっとこれで完結できたかな… [岬めぐり]
2007/04の訪問時に、なぜ田塚鼻だけ項目がなかったかといえば、聖ヶ鼻から米山駅まで戻って、そこから乗った信越本線の上りが、上輪の集落からすぐに長いトンネルに入ってしまったからだろう。聖ヶ鼻の米山第一トンネルに続いて、米山第二トンネルという1.5キロ近い暗闇を走る。笠島を出てすぐまたトンネルで、この辺りはトンネルが続く。
田塚鼻は北西向きに斜めに尾根が突き出たようになっていて、両側が削り取られた断崖になっている。柏崎市のサイトによると、牛ヶ首という名もあるようで、車窓からは見えない牛ヶ首の西側断崖には、市指定文化財・天然記念物になっている「層内褶曲」の露頭があるのだという。
これは、上下に平行する二層の地層の間に褶曲地層が挟まれている状態をいうのだそうだ。およそ500万年前の新第三紀・鮮新世の海底で堆積したもので、海底での地滑りが原因で生じたものが再び隆起したとされ、米山周辺の地層ではほかにもいくつか見られるらしい。
念のために、2007年の写真から再録してみると、聖ヶ鼻から2.5キロ離れている田塚鼻は、上輪集落と丸い出っ張りの向こうに小さくしか見えない。だが、拡大してよく見ると確かに二層になったような筋がわかるのだが、この写真ではムリだ。聖ヶ鼻の項でもそのことには軽く触れていたのだが、田塚鼻と牛ヶ首が同じ場所だとは気がつかなかった。いつもちゃんと事前の下調べをして行かない“行き当たりばったり方式”なものだから、いいかげんなことになってしまう。
ま、それはそれでいいじゃないの…という、しごくゆるーい方針なのだ。
笠島駅で降りて、裏の小高い丘に上って行くとそこが墓地になっていて、そこから田塚鼻の東側が斜めに見える。こちら側は断崖も緑に覆われ、荒々しさが隠されているが、この断崖の伸びる先には岩島がいくつも列を成して連なっていて、断層の見えない線が引かれているように見える。
丘を降りて笠島の海岸に出る。それには、駅の西のはずれで、線路をくぐる通路を行かなければならない。海岸に出るのはここと、東側にももうひとつくらいあるのだろうが、車は大きく東を迂回しなければならない。
テトポットと堤防に囲まれた海水浴場らしき砂浜があって、シーズンを前にしてブルドーザーが砂をならしていった後のようだった。
港の西にある弁天社のある岩島から、田塚鼻を眺める。この岬の最高点は50メートルほど。やはり岬の先端部は岩がむき出しになっていて、硬い岩幾重にも層をなしているのがわかる。
岬の付け根のところには、トンネルの穴がふたつ、ぽっかりと口を開けている。左手の大きい方が現役の信越本線のトンネルで、右手の赤い煉瓦でついた小さいほうが使われなくなった古いトンネルである。
新幹線が開業すると、旧線はいろいろな憂き目をみることになる。北陸本線や信越本線も、北陸新幹線の開業であちこち変わっているが、とりあえずこの直江津=柏崎間に限っては影響がない。そして、この区間は信越本線で海岸線を線路が走るただひとつの区間(犀潟=鯨波)がある。
で、ここになぜトンネルが新旧二つあるのかと言えば、1967(昭和42)年から1969(昭和44)年頃に大々的な複線化工事が行なわれ、そのときに線路やトンネルの付け替えが実施されているからだ。古いほうのトンネルが小さいのは単線だったからなのだ。北陸本線でも同様のことがあったはずだ。
この付近では、新潟中越地震のときにも大きな被害を受け、最後まで復旧開通が遅れた場所でもある。旧トンネルにも崩れたりしたところがあったようだ。後で知ったのだが、多くの旧トンネルは塞がれたりしているのに、この旧トンネルは歩いて通れるらしい。そしてこれを抜けた反対側には、牛ヶ首の層内褶曲が見られたらしい。
ただし、旧トンネルのなかには当然ながら電気はついていない。真っ暗闇なのだ。そりゃちょっとムリだな。
▼国土地理院 「地理院地図」
37度20分9.26秒 138度27分41.28秒
北越地方(2015/07/02 訪問)
タグ:新潟県
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