1250 荒崎=酒田市飛島(山形県)集落もなく道もない島の西海岸にぽっこりと飛び出た広い岩だな [岬めぐり]
“玉乗りアシカ”の頭から背中、そして尻尾にかけては、その海岸線に道はない。飛島の西海岸は比較的緩やかな段丘状になっているが、すべての浜を岩礁と岩島が覆っている。東側のほうが急な崖が多いので、島の断面図を描くとしたら、「へ」の字を横に裏返しにしたようになるだろう。
一本だけの舗装道路が島の中央を北の八幡崎から南の蛭子前崎まで通っているが、その道も裏返し「へ」の頂点に近いところを縦断している。
そこから西の山のなかには、遊歩道が整っているが、結構デコボコも多いので、アップダウンや階段によるところも多い。
アシカの背中の下のほうには、こぶのように飛び出たところがあって、そこに荒崎という名がついている。
山の中の道には、標識が完備しているので、迷うようなこともないが、要は海岸線に道がないので、荒崎が見えるところへ行くにも、山の中を通って海岸に降りて行く道を選んで行く。この辺りでは、海岸線までは60メートル降りてまた登ってこなければならないことになる。
しかも、その山中の道からはほとんど展望が利かない。薄暗い道は、かなり複雑にうねうねと続いている。
どうにか荒崎が見えるところまでで、OKということにしておく。
トンカチの頭のように海岸線から飛び出た荒崎は、平坦な岩だなが奥行き100メートルくらい、幅は260メートルくらいに渡って広がっている。
その北の先端は、いかにも岬らしくとんがって突き出ているが、この岩だなが丸ごと荒崎なのだ。
波の浸食作用でできた海食台が、隆起によって海面の上にでてきた、とでもいうような岬である。その付け根には、市の天然記念物に指定されているという植物群落があるらしい。
また、荒崎の出っ張りの左右に広がっている(らしい)海岸には、“漂着海浜植物繁茂地帯”とマップには表示してあった。また浜にはたくさんの貝殻があるようで、“貝殻で出来た浜”という表記もあった。
飛島での過ごし方は、釣りはもちろんあるが、ダイビングのスポットもあるらしい。ウオーキングとして山道を歩けば、さまざまな植物観察やバードウオッチングも楽しめるというが、どちらかといえば地味だ。
やはり、西海岸一帯に集落もなく、港もなく、したがって道もないという状態になっているので、通りすがりのイチゲンさんの目から見ると、その魅力の開発も半分できていないような印象も受けた。
ただ、西海岸に集落が発達しなかった理由というのもあったはずで、それから想像すると、この海岸に自転車が走れる道程度でも、それを通すことも、維持管理していくことも、ムリな相談なのかも知れない。
山道から中央縦断の舗装道路に出ると、そこから南にかけては自転車でも楽ちんな下り坂がずっと続く。
まあとにかくそんなわけだから、アシカの背中から尻尾にかけては、ほとんど視界に入らない。
坂を気持ち良く下っていくうちに、もう柏木山の横を過ぎてしまったようだ。トビシマカンゾウの自生地も、マップにある灯台もまったく気配もわからぬうちに過ぎてしまった…。
▼国土地理院 「地理院地図」
39度11分40.73秒 139度32分22.04秒
東北地方(2015/06/30 訪問)
タグ:山形県
おはようございます。
飛島というと宮本常一さんの文章を思い出します。
北前船で栄えた話ともらい子の風習だったと覚えています。
どのようなところだろうと思っていた場所なのでdendenmushiさんのブログで様子を知ることができありがたいと感じています。
by ハマコウ (2015-08-18 06:55)
@周防大島出身の宮本常一が離島にのめりこんでいくのは、対馬からだと佐野眞一は書いていますが、離島振興法の成立にもおおいに関係があったと知って驚きます。田中角栄の台頭が始まる頃でしょう。
橋を架け港をつくることだけでなく、地域振興の柱をつくり島の内部に生産基盤をつくれと主張していた宮本は、単なる民俗学者ではなかったとのだろうと思います。
へんぴな村々を結ぶ地域の循環型交通網の整備を訴えてもいたようで、それにも実感として大賛成なでんでんむしですが、いま現在の岬めぐりからの実態はどんどん宮本常一の考えていたこととは、反対の方向に進んでいるような気もします。
ハマコウ さんの飛島イメージを崩さなければいいのですが…。
by dendenmushi (2015-08-18 08:03)