1211 加地味崎＝名護市久志（沖縄県）Mapionなどにはあって地理院地図には表記がない岬のひとつ

　実際にここをバスで走ったのは北から南に向けてだったので、説明の順序とは逆向きになってしまう。こういう場合、経路はどう書いたらいいのだろう。が、とにかく金武岬をはるかに見ながら沖縄自動車道を走って、その北に続く次の岬へ行くには、高速道を宜野座ICで国道329号線のバスに乗り換えなければならない。

　宜野座も、国頭郡宜野座村である。宜野座村の東端で、名もない小さな湾から東は、名護市久志になる。その名護市の西端にささやかに出っ張っているタンコブのような岬がある。これが加地味崎なのだ。この名前もちょっと変わっている。
　ところが、地理院地図では、この岬の名前表記がない。ときたまある、Mapionなど他のネット地図には記名があるのに、国土地理院の地図ではそれがないという例のひとつである。
　どういう判断で、地理院地図に記名表記をつけなかったのかは、わからないが、ミスでしたというのではなく、おそらくはそれなりの理由があるのだろう。

　宜野座側の海岸から見ると、湾内はちょうど引き潮で干潟が広く展開していて、その向こうに長く延びた平坦な岬が横たわっている。これは辺野古の岬で加地味崎ではない。加地味崎はその途中にちょんと切れているのだが、目印も何もないので横から見ると、その先端がわかりにくい。
　それくらい低い小さな岬なのだ。その先端付近の向こうの丘になにやら白っぽいものが見える。これが何なのか結局正体はよくわからないのだが、太陽光パネルのようにも見える。実はそういうものがここにあっても不思議がないので、そう思えただけかもしれない。

　この岬は東西に小さな川が流れ込んでいるので、その堆積が湾内の浅瀬に陸地をつくってきたものだろう。その西側の橋付近が宜野座と名護の境界線にあたる。

　東側の川のある湾のほうから眺めた加地味崎も同じで、今度は宜野座の岬名はない丸く大きく出っ張ったところの手前に、その先端部が重なっている。

　こういう目立たない、岬としての存在感が薄いので、地理院地図では名前をつけなかった？　そんなこたあないだろうね。
　Mapionでは、加地味崎の東に「久志若安司の墓」として史跡マークをつけているが、地理院地図はこれも無視している。はてこれはなんだろう、“ヤスシ”さんって誰だろう。

　ネットにはまったくといっていいほど情報がないが、そこで気がついた。「安司」となっているが、これは「按司」なのではないか。
　「按司」は12世紀のグスク時代からあった支配者の役職名で、琉球王朝ではだいたい皇子や王族などを任じ地方に派遣されてきた。
　だから、大方そういうものであろうとは推察できるが、名護には名護按司がいたので、「若」もついている久志の「安司」には、曰わくがありそうだ。だが、名護市や辺野古のページにも、墓の名前だけでなんにも説明がない。

　久志若安司の墓がある久志から県道を北東に行ったところには、「みらい　1号館」という青い看板を立てた建物があった。
　これは辺野古・豊原・久志の三区からなる久辺地区のまちづくりで、「名護市マルチメディア館からステップアップした企業の移転先として、また情報通信産業特別地区・金融業務特別地区への進出企業を受け入れるインテリジェントビルの役割を担って」いるのだという。
　だからね、太陽光発電があってもおかしくないが…。こんなところで（といっては失礼ながら）マルチメディアとは？、と一瞬首をかしげたのだが、それもなんとなくありそうかな…と思ったのは、国立沖縄高専と基地の存在である。

　久志と辺野古に挟まれた豊原という地域が、久辺地区の中心であるらしく、小中学校や保育園、公民館などが集まっている。そして、この付近の道路も、広くてきれいだ。この付近は、少し高台になっているので、海は遠く下にある。

▼国土地理院　「地理院地図」

沖縄地方（2015/04/06　訪問）

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