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1171 大釜崎(白崎)=下閉伊郡山田町船越(岩手県)この岬もタブの大島も四十八坂海岸も浪板海岸も大津波を受け止めて… [岬めぐり]

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 船越半島と吉里吉里半島の間にあるのが船越湾であり、大釜崎は船越湾北岸の岬である。
 直線上に8キロも続く海岸線が、山と海の狭いところを国道45号線と現在は不通になったままのJR山田線とともにほぼ南北斜めに走っている。普通、湾奥は丸くなっていたり砂浜になっているところが多かったりするが、その形状の点では船越は異色である。湾にはあまり奥行きがないうえに湾奥の海岸線はほぼ直線に近く、湾口も3.8キロと大きく開いている。
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 そこでまた、前項と前々項での記述に考えが戻ってきてしまう。
 それは、山田湾の津波は、二波目が南の船越の低いところを乗り越えて山田町の中心市街地を襲った、ということである。それには、この湾の地形が大きく原因していると思われる。
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 東南から押し寄せた津波は、船越湾ではまず北岸の大釜崎にぶつかったことだろう。この一帯では、小谷鳥の一部を除いて、ほとんど人家らしきものがなにもない。大釜崎から北の船越半島は、険しい断崖が続いている。
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 湾の北部中央岸寄りには、タブの大島と黒島、弁天島などの小島があるが、いずれも無人島である。それらを洗った津波は、湾奥の直線的な海岸にぶち当る。湾が浅いので、ここも北側3分の2は荒々しい断崖がもろにそれを受け止める。
 そこから北へは水路が細くなって、船越漁港のある田の浜と大集落の山の内や船越の間(船越半島と本土のジョイントになっている部分)を、嵩を増し勢いの衰えぬ津波が流れ通っていった…。
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 …と、これは地形からの想像で、(こころのなかで手を合わせながら)勝手にイメージしたものにすぎないので、あしからず。
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 釜石へ行くバスが、山の内の集落を後にして、湾が見えてくると、まず目に入るのは弁天島と荒神社のある出っ張りである。そして、すぐにその向うにタブの大島が現われる。南北1キロにも満たない、幅も500メートルとない小さな島だが、名前のとおりにタブノキが密生している。
 湾内の小島ではよく見られるが、こうした島は暖かい黒潮が洗うこと、本土と隔絶されていて、人間の手が入らないことで、自然の植生と特徴が保たれるという共通点がある。タブノキ自生分布の北限であるここには、ウミツバメなどの繁殖地にもなっているという。
 ここに「タブの」というのが名前にわざわざつくようになったのは、山田湾にも大島(オランダ島)があったからだろうか。
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 この島が、船越湾の風光をつくるうえでは大きな役割を果たしているようで、海岸からの視点によって、さまざまに姿を変える。
 大釜崎は、タブの大島の向うに、遠く霞んでいる。
 船越半島には、北端の小根ヶ崎があり、そこから南に3.8キロの断崖の間には白崎という岬もあるのだが、それは陸からでは見えない。
 細かなでこぼこがある海岸の北部は、四十八坂海岸と呼ばれている、その命名から急な昇り降りを繰り返す、昔の旅人にとっては交通の難所だったことが想像される。
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 断崖があり、岩には松が生え海面に影を落とす。打ち寄せる波は白く泡立ち岩を洗う、それもまた海岸美の典型のひとつであろうが、今では国道で難なく通過できる。展望台などもあるらしいが、津波のことを思わずに景色を愛でることができるようになるには、まだ相当の時間が必要なのだろう。
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 この海岸線の真ん中あたりに、下閉伊郡山田町船越と、上閉伊郡大槌町吉里吉里の郡界であり町界となる境界線がある。その境界線の南に続く浪板海岸とあわせて、陸中海岸国立公園のポイントのひとつであった海岸がここである。
 陸中海岸国立公園が指定されたのは、1955(昭和30)年のことである。それをよく覚えているのは、その記念切手の発売日に郵便局に並ぶことを始めた頃で、初めての国立公園切手だったからだ。このときの図柄が、5円が縦長で青色の北山崎、10円が横長で赤茶色の浄土ヶ浜だった。
 まさにその当時は“陸中”そのものだったのだが、北にも南にも範囲が広がり名前がふさわしくないという改名議論が起こっていた。
 そこへ大震災で、2013年からは、青森県の種差海岸と八戸市鮫町の2地区を編入したうえで、「三陸復興国立公園」に名称が改称されることになったらしい。ここへくるまで、そのことを知らずにいた。ohkamazaki-7.jpgohkamazaki-8.jpg
 大釜崎とタブの大島は、長く開けた船越湾岸では広範囲にわたって眺められるが、その南限は吉里吉里の海岸であろう。
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▼国土地理院 「地理院地図」
39.418759, 142.03534
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dendenmushi.gif東北地方(2014/11/05 訪問)

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タグ:岩手県
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