1135 千本鼻(入崎)=佐渡市高千(新潟県)二つの名前をもつ広々とした岩が何本もある岬に押し寄せる波 [岬めぐり]
バスを降りたのは、入崎(にゅうざき)。バス停にNYUZAKIとあるので、“いりさき”ではないんだとわかる。鋭い人からは、その前にバスの案内アナウンスでわかるだろう、と突っ込まれるかもしれないが、このバス、乗客がでんでんむし一人だったので、停留所のガイドも表記も止めていたのだろうと思う。では、どこで降りたらいいかわからんではないか。
それもごもっともなんだけど、乗ったときにあらかじめどこまで行くのかを聞かれていたので、「いりさきというんですか、千本鼻のところまでお願いします」と申告してあった。それで、「はい着きましたよ」と降ろしてくれた、てなところですね。
千本鼻と入崎と2つの名前をもつ岬は、夫婦岩のように縄をかけて結ばれた2つの大きな岩がそびえ、この出っ張りとは別に、もうひとつ低い岩場の連続する岬とがある。
千本鼻の名は、大小の岩が何本も立っていたところからついたものか。
高千(たかち)の集落の北側に飛び出ている尾根の上には、アンテナ塔と灯台が並んでいる。灯台の下にお墓が並んでいるのは、ここが集落の外れであることを示している。
木下順二が「夕鶴」の元となる民話を採取したとか、安寿と厨子王の佐渡の舞台はここだとか、いろいろの言い伝えもある藻浦崎や、平根崎のある佐渡海府海岸を遠くに見る、千本鼻の南西側はMapion では入崎海水浴場となっている。
その護岸のところには高千海岸の侵食対策事業として、この海岸に人工リーフを埋めてあるという説明がコンクリートにはめ込まれていた。
千本南と呼ばれる南側の海岸は、確かに海水浴もできるかもしれないが、砂礫の海岸は痩せていて、しょちゅう波に削り取られているようだ。とくに冬場の荒波は、ものすごいだろう。道路まで波に洗われ、交通が止まり民家が高波に襲われることもあるらしい。
そこで、大きな波もサンゴ礁で砕けてその勢力が削がれる現象からヒントを得て、この沖合の海底に人工のリーフを設置した、というわけだ。ここでは、護岸から90メートルの沖合に3メートルの深さに30メートルの人工リーフを4基設置した結果、約6メートルの波も4.5メートルに抑えることができたのだそうだ。
また、海浜の利用を考えて切り立った護岸ではなく、階段状にして海岸の侵食を防止したと、その説明は誇らしげに書いていた。
道路から、縄が掛けられた2つの大岩までは、300メートルほど離れていて、そこまでの岬一帯には広い空間がある。ここには、Mapion はキャンプ場と記してある。しかし、ここでキャンプするのも大変だろう。よほど、天候が穏やかなときでないと…。
大岩の間には弁天社のようなものがあるので、ひょっとすると、3つ目の名前ができたかもしれない。
岬の北側には、藻浦崎と同じようにかどうかはわからないが、岩礁地帯が広がっていて、その少し沖合に背の高いのと低いのと2つのピークが目立つ岩島がある。これが帆掛島だろう。
少し赤みがかっているこの付近の岩も、柱状節理というより板状になった岩が重なった露頭もあったりするが、佐渡ジオパークマップにはなにも記述がない。
千本鼻の東側には、小さな湾が北に向いて開いており、その向こう側に高千漁港と北野田浦の集落がある。
この小さな湾にも、絶え間なく波浪が押し寄せている。ここには岬の先端から連なる岩礁があるので、これが人工ではない自然のリーフになっているようだ。
道路の間際まで波が砕け散る湾の中は、絶えず白波が泡立っている。
▼国土地理院 「地理院地図」
38.198104, 138.325953
信越地方(2014/05/17訪問)
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