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1933☆『思い出の索引』★でんでんむし@アーカイブス☆わたしたちが生きてきた時代とは… [年表]

 われわれはどこから来て、どこへ行こうとしているのだろうか…。
 この年表は、主に三種類の元資料(以前から愛用の三省堂・小学館版二種に新たに河出版をプラス)を突き合わせながら、でんでんむし自身が理解できるように、主な歴史の動き、流れをだいたいでいいから、改めてなぞってみようという目的のためにつくっている。
 その年がどういう年であったのかを、ざっくりとつかみやすいように、読みやすいようにあえて日付を省略し、同年内での時系列順にも拘らないことにしている(本邦初、前代未聞の年表!)。
 また、数多あるその年のできごとのどれどれをピックアップするかも、かなり恣意的かつ感覚的で適当ではあるが、バランスは失してはいないので偏りはないつもりである。

1933mark.jpg昭和8年 癸酉(みずのととり)
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◯独シュライヒャー内閣総辞職、ヒトラーが独首相に就任、ナチス連立で政権を獲得。
◯国際連盟総会がリットン報告を承認し、スチムソン主義(満州国不承認)を採択。
◯国際連盟総会が日本軍の満洲撤退勧告案を42対1で可決。松岡代表退場。
◯独ベルリンでナチスが国会議事堂放火。大統領緊急命令でワイマール憲法の人権規定を停止。共産党の弾圧を開始。
◯米、金融恐慌が広がる。全銀行の4日間閉鎖と金輸出禁止を緊急命令。
◯独総選挙でナチスが288議席獲得。共産党の非合法化、ナチス党旗のハーケンクロイツを独国旗とする。
◯米F.ルーズベルトが第32代大統領に就任。ニューディール政策始動。炉辺談話開始。
◯独国会で全権委任法を441対94で可決。ナチスの独裁体制固まる。
◯独、ユダヤ人の営業・就職を迫害。公職から追放。
◯独、労働組合を禁止、ストライキ・ロックアウトを禁止。
◯独、他の政党を解散、ナチスを唯一の政党と宣言。
◯ナチス・ドイツとローマ教皇庁のパチェッリ枢機卿(後のローマ教皇ピウス12世)との間でコンコルダート(政教条約)締結。
◯伊・ソ連、ギリシャ・トルコが、それぞれ不可侵条約。
◯独、ジュネーブ軍縮会議と国際連盟からの脱退を声明。
◯米、ソ連を承認。米で14年ぶりに飲酒解禁。
◯独、アインシュタイン、トーマス・マンらがアメリカやスイスに亡命。
◯キューバでバティスタによる軍事クーデター。事実上の独裁者となる。
◯エルサレムでアラブ人による反ユダヤ大デモ。

◯日中両軍が山海関で軍事衝突。日本軍が山海関を占領。
◯関東軍が熱河作戦を強行。熱河省の承徳を占領。
◯関東軍が長城線を越え河北に侵入(後に撤退、再侵攻)。
◯満州国が非承認国に対して門戸閉鎖。
◯関東軍が通州を占領し、北平に迫る。中国停戦申し入れ。
◯中華ソビエト政府が、反日、反帝、反国民党を指示。
◯蒋介石らが廬山会議で抗日3か年停止を検討。
◯蒋介石が南昌で第5次共掃戦(共産党掃討戦)を準備、開始。
◯福建人民革命政府を樹立、紅軍と反蒋反日で協定。
◯国際連盟が対中国技術援助を決定。

◉日本軍が山海関で支那軍と衝突。
◉京商科大学教授大塚金之助、元京都帝国大学教授河上肇が検挙される。
◉長野県で教員赤化事件。教員が思想問題で多数(65校、138名)検挙。
◉閣議で国際連盟の勧告案に反対し、熱河討伐を決定。
◉作家小林多喜二が治安維持法違反容疑で逮捕。東京・築地署に留置され特別高等警察の拷問により虐殺。
◉関東軍が熱河作戦開始。
◉政府が国際連盟脱退の詔書を発布。
◉関東軍が長城線を越えて華北に進撃。関東軍に長城線への帰還命令。関東軍が長城線へ撤退完了。
◉鳩山一郎文相が滝川幸辰京大教授の罷免を小西重直総長に要求。滝川教授の休職を決定。これに抗議して法学部長ら38人が辞表。(滝川事件)
◉中国国民党との間で塘沽協定を結ぶ(満州事変の終結)。
◉神兵隊事件。大日本生産党員らのクーデター計画発覚。
◉内田外相が辞任、後任に広田弘毅。
◉関東軍が満州経済統制計画を発表。
◉松岡洋右、政党解消連盟を結成。

・この年に亡くなった人にはこんな人も…。堺利彦。小林多喜二。吉野作造。巌谷小波。古賀春江。宮沢賢治。新渡戸稲造。片山潜。村山龍平。山本権兵衛。フリードリッヒ・ザンデル。

◎大島三原山で女生徒が相次いで投身自殺。この年だけで100人が自殺を図り、自殺の名所になってしまう。
◎陸軍省が少年航空兵制度の実施を発表。陸軍少年航空兵の定員170名に対し、9731名が応募(倍率57倍)。
◎第1回関東地方防空大演習が実施される。
◎桐生悠々の信濃毎日新聞記事「関東防空大演習を嗤ふ」が 問題化。
◎山陰本線の京都=幡生間が開通し全通。
◎三陸地方大地震(M8.1、死者3008名)、津波の高さは30メートル。
◎大阪市営地下鉄の御堂筋線、梅田=心斎橋間が開通。日本初の公営地下鉄。
◎丹那トンネル(7800m)が貫通。着工から15年2か月。死者63人を出す難工事。
◎米ネッスル社が藤井練乳を買収して日本市場進出。
◎バーナード・ショウ、ブルーノ・タウトが来日。
◎色刷になった「小学国語読本」(サクラ読本)が人気で品不足に。
◎自動車製造株式会社(後の日産自動車)設立。豊田自動織機も自動車部をつくる。
◎皇太子明仁親王の誕生。サイレンで一般に告知。旗行列に提灯行列、祝賀行事も多数。

◎ダミアの『暗い日曜日』のレコードが、厭世ムードを助長すると発禁。
◎尾崎士郎『人生劇場・青春編』が都新聞で連載開始。
◎古川緑波、徳川夢声、大辻司郎らが「笑いの王国」、東京浅草で旗揚げ公演。エノケン一座とともに人気に。
◎島田啓三のマンガ『冒険ダン吉』少年倶楽部に登場し人気に。
◎第19回全国中等学校優勝野球大会、中京商が延長25回の激闘の末、明石中を1-0で下す。
◎神宮球場の早慶戦で慶応の水原三塁手が、観客が投げ込んだリンゴを早稲田の応援席に投げ返す。こじれて騒動になるリンゴ事件。
◎エンタツ・アチャコの早慶戦漫才が大受け。
◎東京有楽町に日本劇場開場。入場料は50銭均一。
◎のらくろのお面が数か月で500万枚も売れる。その他ののらくろキャラ商品も続出。
◎アメリカ帰りの高岡商高教授がヨーヨーを紹介。1個10銭で月産500万個の大ヒット商品になる。これを買えない子のためにゴム風船に水を入れたものもヨーヨーとして売りだす。こちらは1個1銭。

■流 行:鉄カブト型の婦人帽・東京音頭の盆踊り・軍国映画
■映 画:邦:滝の白糸・夜毎の夢・丹下左膳。洋:キングコング・制服の処女(監督以下出演者全員女性の独映画)・巴里祭
■ 本 :谷崎潤一郎/春琴抄・山本有三/女の一生・内田百閒/百鬼園随筆・中央公論社/非常時国民全集
■ 歌 :サーカスの唄・島の娘・十九の春・東京音頭
■ことば:転向・非常時

dendenmushi.gif(2014/08/30 でんでんむし蛇足の記)
 42対1、世界で孤立を深めていく日本が、やがてドイツやイタリアのファシズムと組むことになってしまうのは、このときからみえていたのだろう。
 松岡洋右などは堂々と政党否定の主張を展開するが、当然、ドイツでのこの年の一連の動きを意識していたものだろう。
 最近でも、自民党の閣僚が「ナチスの手口に学べ」と言ったとか言わないとかあったが、こういうのがその手本になる手口なのだろうか。
 大陸の関東軍は勇ましく、国内でもこれを讃え支援する勢力が、力を増していく。こうるさい知識人も次々槍玉にあげてきたし、共産党の弾圧はかなり熱心に続けてきた。獄中から幹部を転向させることにも成功、もはや表立って疑問を出したり、反対する声はどこからもあがってこない。
 わずかに、桐生悠々が「信濃毎日新聞」で書いた「関東防空大演習を嗤ふ」が目につくくらいである。これも書いていることは至極もっともな指摘ばかりである。たとえば、敵機による空襲があれば木造家屋の多い東京は焦土化してしまう、その被害規模は関東大震災に及ぶだろう、空襲は何度も繰り返されるだろうし、灯火管制は近代技術の前にはおよそ意味がない、といった指摘にはなんらおかしいところもない。灯火管制などは市民を不安にさせるだけで、有害だとまでいう。
 これに対し、自分のメンツだけが大事な陸軍は、腹を立て怒ることしかしない。在郷軍人が動いて不買運動を起こし、ついに彼は退社に追い込まれてしまう。
 せめて、このときの桐生悠々の指摘を、軍部が戦術的・戦略的にどう受け止めて対応すべきかを真剣に考えていれば…と思わずにはいられない。
 桐生悠々は、あちこち渡り歩いた反骨のジャーナリスト人生を、太平洋戦争開戦の3か月前に68歳で終えている。それは、彼にとってはむしろよかった…。
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タグ:年表
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