1117 長手崎=佐渡市木流(新潟県)バスが通っていないところにある岬は遠くからということで… [岬めぐり]
佐渡の南西端は、半島が西へ向いてしゃくりあげているような形になっていて、海岸線は最西端の沢崎鼻からは北へそして東へと岩礁地帯がでこぼこと巻いていく。長手崎は、その北へ向いた凸凹海岸のほぼ中央付近にある小さな岬である。
これもまた、周囲には似たような出っ張りがいくつもあるのに、ここだけに名前が付いている。その岩礁地帯が終わると、北北東に伸びる素浜という砂浜が4.4キロも続いている。
長手崎へはバスが通っていないので、なんとかそこが見えるいちばん近いところを通る路線と、バス停を探さなければならない。
小木へ戻って、そこから小木線のバスに乗ると、羽茂本郷を経て山を越え、西の海岸へ近づいていく。そこに羽茂小泊というところがあり、小泊というバス停がある。
バスが通っているのは、まだかなり山の上のほうだが、ここから海岸へ降りていくのがいちばんで、それ以外のルートはなさそうだ。
この佐渡の岬めぐりは、両津から始まって地図で時計回りに海岸をめぐって項目を立てている。だが、実際に動いた動線は、あちこちしていて、ここも、沢崎鼻を訪れた日の前日に、真野新町から小木線に乗って、この小泊までやってきた。
真野から梨の木越できるバスが午後しかなかったので、それまでの午前中に佐渡島南部の西海岸を回っておこうという計画になり、それで実際の順番が変わってしまった。いかに合理的に要領よく路線バスを乗り継いでいくことができるか、それもまたでんでんむし的岬めぐりの醍醐味なのである。
バスを降りた羽茂小泊は、標高100メートルくらいの緩斜面に田畑が広がり、人家は主にバスが通る道路(国道350号線)の付近に多い。羽茂(はもち)地区は羽茂本郷周辺だけでなく、ここから下っていく海岸の羽茂亀脇までと広い。
小泊の田圃の奥の森のほうをさして、由緒ありげな須恵器窯跡の在処を示す標識がある。農作業が続く田圃の脇に立つ標柱の文字を読めば、向こうの森には白山神社があり、そこには石臼塚という古墳らしきものや市が文化財に指定している能舞台もあるようだ。
こんなところに能舞台! 佐渡には驚かされる。
ここもまた歩いてみればおもしろそうなところだ。だが、午後の梨の木越のバスに間に合うように真野まで戻らなければならない身では、ここでうろうろすることもできない。
そこで、海岸への道を探して、山のなかの道を降りて行くと、途中から雨が落ちだしてきた。
羽茂亀脇の海岸に出ると、西に多く張り出した台地状の岬が見えてくる。これは、南西方向に7キロ以上は離れている、黒島の飛び出しである。
長手崎は、この先端から手前に1.7キロほど戻ったところにあるのだが、斜めに見ているので、先端の少し左手の海岸にあたるはずである。
しかし、いかさま遠すぎるうえに天気と光線の具合もよくなく、ぼんやりと霞んでしか見えないので、これが長手崎と特定するのは正直むずかしい。
まあ、このあたりということでOKとすることにしよう。
この岬の名前が「長手崎」。ここからほぼ真北に15.7キロほどの海上を、長い手を伸ばすことができれば、そこは「長手岬」である。なんか、ここにだけ名前がついている理由は、案外そこなのかも?
▼国土地理院 「地理院地図」
37度50分23.95秒 138度14分12.34秒
信越地方(2014/05/15訪問)
タグ:新潟県
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