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でんでんむし@アーカイブス★むかしの人は言いました=その18 臨時特別連載「道歌」 [番外DB]

 まことに人間とはややこしいめんどくさいものでありますが、多くの場合人が己が口から発する言の葉ことばによっていろいろなもめごとの種が蒔かれてしまいます。では、よけいなことは言わずに、徹底的にただ黙っていればいいかというと、そういうわけにもいきませんよね。
 また、ことばを尽くして真の相互理解に達することもあります。しかし、それはまた現実の世界では、滅多にうまくいきません。日常でもよかれと思っていろいろことばを多くすると、思わぬ副作用が生じたりすることもあります。
 昔から人間というのは変わらないもので、「道歌」のなかでも人の言の葉、人の口端、人の口についてはたくさんの教訓を垂れています。
 この項冒頭の一首などは、「なにもいわずに いよすだれ そのよしあしは」と二重のかけことばという歌作の伝統を踏まえながら、なかなかの教養をも示しているのです。
 「伊予簾などかけたるうちかづきて、さらさらと鳴らしたるもいとにくし」(『枕草子』「にくきもの」の段)とか、「やをら、のぼりて、格子の隙あるを見つけて、より給ふに、伊予簾はさらさらと鳴るも、つつまし」(『源氏物語』の柏木の巻)などと、古来から名高い伊予産の簾を、さりげなく使っています。
 現在でも、愛媛県上浮穴郡久万高原町の露ノ峰の標高700メートル付近の山腹に自生する笹を使って、町の天然記念物とする一方で、地域の高齢者が中心になってすだれづくりの伝統も守ろうとしているようですよ。「道歌」もなかなか勉強になります。

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18 mark.jpg わざるもまた…

世の中は なにもいわずに いよすだれ そのよしあしは 人に見え透く

浅き瀬は 波風高く 聞こゆれど 深き浦には 音はなきなり

人まえに 思案もなくて ものいうな 言いていわぬに おとることあり

何事も われ知り顔の 口たたき 詰めたる樽は 鳴らぬものかな

言うべきを 言わざるもまた 言わざるを 言うも道には かなわざりけり

善きことは 大いに広め 悪しきをば 見ざる聞かざる 言わざるぞよき

雑談に 心の奥の 見ゆるかな 言の葉ごとに 気を使うべし

つつしみを 人のこころの 根とすれば ことばの花も まことにぞ咲く

空言は ことに妄語の 罪ふかし 我が身もまどい 人もそこなう

月も日も さやかに照らす かいぞなき この世の人の うわの空言

むつかしや ねといくどいや 無用なる ことをばたずねき かであるべき

偽りの なき世なりせば いかばかり 人の言の葉 うれしからまじ

恐るべき 槍より怖き 舌の先 これが我が身を つき崩すなり

かりそめの 言の葉草に 風立ちて 露のこの身の 置き所なし

ご主人の 内のことをば 外に出て よしあし共に いうなかたるな

三寸の 舌で五尺の からだをば 養いもする 失いもする

たれ込めて 己にただせ 世の中の ほめる言葉も そしる声をも

虎に乗り 片割れ船に 乗るとても 人の口端に 乗るな世の人

人のこと 我にむかいて 言う人は さこそ我がこと 人にいうらん

人ごとを 我にむかいて いう人は さぞ我がことも 人にいうらん

世の中は 虎狼もものならず 人の口こそ なおまさりけれ

今日ほめて 明日悪く言う 人の口 なくもわらうも うその世の中

涼しいけりゃ 涼しすぎると 人の口 戸はたてられぬ 夏の夕暮れ

天地の 開けぬ先に 歌うらん 卵の中の にわとりの声

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dendenmushi.gif(2014/04/19 記)
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タグ:道歌
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