1073 野原崎=八重山郡竹富町高那(沖縄県)西表島最東端の岬では冷たい北風の吹き付けヨナラ水道も黒い [岬めぐり]
「あのおじさん、こんなところで降りてどこへ行くつもりなんだろう?」と、車内のいくつかの眼が言っているような気もする。超満員の路線バスから一人だけ野原崎で降りると、そのあたりはなにもない道路のカーブで、駐車スペースと東屋だけが目立つだけである。
どこへ行くのでもない、ひとりはぐれの岬めぐりは、ここではバスを降りたところが目的の地。
野原崎で降りるということは、バスがマラソン人を呑み込んで満員になる前に、あらかじめ運転手さんに言ってあった。西表交通の路線バスは、南の豊原から北の白浜まで、県道215号線で島の東側を半周する一本だけで、本数もバス停も少ない。なんにもない野原崎には、バス停もない。だが、あらかじめ言っておけば、バス停がなくても降ろしてくれるのだ。
野原崎は、大原方面から北上を続けてきた道路が、ここで90度西へ向きを変える、島の最東端に当たっている。そこでバスを降りると、とたんに冷たい風が北から吹き付けてくる。なにもない場所では、よけいに風が感じられるのだろうか。東屋はあっても四方壁がない屋根だけなので、まったく風除けにはならない。これでは雨が降ってきても、雨やどりの役にもたたないだろう。
丸く飛び出る岬の先には、無人島がある。地図では「ウ離島」とある。八重山では“離島”には“パナリ”という読みが当てられていることが多いが、ここでは頭に“ウ”がついているので“ばなり”と読みが振ってある。
周囲を岩礁でかこまれたこの小島が、つい先頃、中国人が購入するとかなんとかで、一部でちょっとだけ話題になり、注目を集めた島だっただろうか。
岬からその沖へ眼をやれば、もうひとつ平べったい島が、小浜島の北側にはかなげに浮かんでいるが、これが加屋真島。こちらのほうは地図に一軒の建物や道が記されているので、無人島ではないのか。
その奥にある島影は石垣島で、左手の於茂登岳から離れてあるバンナ岳・前勢岳が右手にある。
この間の海域が、石西礁湖の北側で、北に向かって徐々に水深が深くなっている。遠目にも白い波の帯が広がっているのがわかる。
この風と波のために、上原航路は欠航になったのだ。
この前日には、上原港との間を往復したのだが、そのときからやはりかなり波が高かった。
目の前にあるのが小浜島で、大岳(うふだき)があり、その手前がアカヤ崎 になる。
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小浜島の南には、細崎が細く伸びているが、ヨナラ水道 は今回もまたきれいな青い海ではなかった。細崎の遠くには黒島がかすかにその平たい姿を見せている。
野原崎の位置関係は、だいたいそんなところだ。
岬の後ろには、古見岳から流れてきた山の端が迫っていて、その南麓一帯が牛の放牧場になっていて、そこはもう由布島のエリアになる。この日は、野原崎で折り返して大原港へ戻り、マラソンが終わると混んで大変なことになることが明白な大原航路で、さっさと石垣島へ帰ってきた。
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野原崎から北西に12キロまでは、岬がない。
一時期、温泉が湧いたというので施設もできたが、なぜか間もなく枯れてしまったようだ。それもいまや廃墟になりつつあるようなので、この間には集落もバス停もない。
ホネラ川、ホーラ川、ユチン川、ヨシケラ川、ゲーダ川、クーラ川、ナダラ川、そしてヒナイ川と、不思議なカタカナ名前が地図に刻まれるこの島の北東部の海岸地域は、車で通り抜けるだけ。そして、船もここを大きく迂回して上原港に向かうだけ。
初めてこの道をバスで通ったときには、狭い道を木々の枝葉をはらうようにバスも走っていたが、道路は少し広くきれいになっているようだ。
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今回は、やはり上原航路が欠航になった次の日に、大原から八重山観光フェリーのバスでここを通った。船会社のバスも地元の物資配送に協力していて、雨の中なにがしかの荷物と一緒に運ばれていったが、この道はまたイリオモテヤマネコの交通事故死が多いところでもある。
▼国土地理院 「地理院地図」
24.364783, 123.939282
沖縄地方(2014/02/08〜9訪問)
タグ:沖縄県
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