SSブログ

1066 ヌービ崎=八重山郡竹富町波照間(沖縄県)空っぽの波照間空港と無人の観測ステーションのそばで [岬めぐり]

nu-bizaki01.jpg
 なにやら、赤白に塗り分けられた、鉄塔が立っているのが見える。そこがちょうど、ヌービ崎のある場所の近くで、そこが波照間島の最東端にあたる。そこを目指して、一応道ではあるが相変わらずでこぼこの道に自転車のペダルを漕ぐ。やはり電動は楽だ。
nu-bizaki07.jpg
 海側には木が茂って城壁のように壁をつくっており、片側はサトウキビなどの畑や牧場が広がるばかりだが、遠くにフェンスと滑走路の端が見えてくる。これが、今は運用されていない波照間空港の端。
 でこぼこ道は、使われていないが相変わらず厳重に囲われた滑走路の横を北東へ続く。塔と白くて四角い小さな建物があるところに出た。道はここで行き止まり。
nu-bizaki04.jpg
 その建物には、日本語の看板などは何一つなく、「CGER」の文字とマーク、それに「MONITORING STATION-HATERUMA」と壁に凹文字がある。佇まいが、お役所らしくなくどこかおしゃれである。(その周辺は荒れた感じでまったくおしゃれではないけれど)
 これは、独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センター(Center for Global Environmental Research: CGER)の地球環境モニタリングセンター波照間ステーションというもの。
 40メートル近い観測塔は、そこから大気を採取するためのものだ。あまり地上に近くては、人為的に左右されるので、そのくらいの高さだと“大気”といえるのだろう。場所も人間の生活エリアからは、なるべく遠いところがよい。そうなると、ここは最適である。(あれっ、今は飛行機が飛ばないからいいけど…)
 そして、その大気を分析して温室効果ガス濃度などを観測しているのだ。
 これだけの施設が全部無人で運用されており、詰めている人間は一人もいない。これと同様のものが、根室の落石にもあるらしい。これもおそらく岬のいちばん端にあるのだろうが、落石岬は遠望だけだったので…。
nu-bizaki05.jpg
 そこから海に出ようと考えたが、わずかな踏跡もしばらくすると消えてしまい、緑のきれいなクサトベラとモンパノキがぎっしりと生えている見事な植生の海に阻まれてしまう。この植生は、高那崎でも似たようなものだったが、こちらは地盤が岩ではないのだろう。
 この場所で標高10メートルはあり、ここからゆっくりと海までそれが続いていて、海岸は地図で見ると岩ばかりである。
nu-bizaki03.jpg
 ヌービ崎のほうは盛り上がった植生に遮られて、海岸線の岬らしいところがちょっとしか見えない。
nu-bizaki02.jpg
 反対側は高那崎だが、ちょうどその上あたりから見たほうが、ヌービ崎はよくわかるのだった。
nu-bizaki06.jpg
 クサトベラは湘南の海岸で見るのよりは、ずっとやわらく、緑の色も鮮やかだ。だから“クサ”なのか。
 モンパノキは、波照間を代表する木なのだろうか。以前やはり自転車(その当時は電動はない)で島を走り回っていたとき、一軒の土産物屋があった。集落からも外れたところだが、ここまで日本の中心から外れてしまえば、いっそ大きな違いはないのだろう。扱っているものもいまどきのちゃらちゃした修学旅行のこども相手のような土産物屋ではなく、ちょっとクセをもった店で、いかにも都会からやってきた旅行者狙いの店で、その名が「モンパの木」だった。
 初めて波照間空港に降りた時、一日一便の飛行機の着陸・離陸の時間に合わせて、人が集まってきて荷物の積み下ろしやなにかで忙しく立ち働いている。そのなかに、その店の主人も混じっていた。
 ヌービ崎のモンパノキの海と飛行機のこない滑走路を眺めていて、そのことを思い出したので、帰りに自転車屋のおねえさんに聞いてみると、その人も店も健在であるというが、今回は寄る余裕がない。
 波照間空港は、もともとは救急緊急用の飛行場としてアメリカの援助で1972(昭和47)年に民間航空の運航が始まった。現在地に地方管理空港に基づく空港として運用を始めたのが1976(昭和51)年だという。
 調べてみると、南西航空(現日本トランスオーシャン航空)が石垣空港線に飛ばしていたのはDHC-6であるとわかった。「1063 浜崎」の項 で書いたときには“10人乗り”としていたが、DHC-6は19人は乗れるらしい、主翼が胴体の上についた双発機だった。
 だが、南西航空が撤退してから後、琉球エアーコミューター(RAC)が飛んでいたが、それも2008(平成20)年からは細々と続いていた不定期石垣空港線も運休に至る。以来今日まで、飛行機のこない空(から)港になってしまったままなのだ。けれども、別棟には車も止めてあって吹き流しも泳いでいる。飛行機は来なくてもここには人が詰めているようだ。
nu-bizaki081.jpg
nu-bizaki082.jpg  
 動いているモニタリングセンターは無人で、飛行機のこない空港には人が必要なのだ。まあ、世の中得てしてそういうものでもあるのだが…。
nu-bizaki09.jpg
 あっ、予備のバッテリー、充電されていないじゃないか!! そんな! 2000円も出したのに…。お陰で、帰り道の坂は苦労させられましたよ。ま、世の中得てしてそうしたもんですかナ。

▼国土地理院 「地理院地図」
24.061671, 123.810508
nu-bizakiM.jpg
dendenmushi.gif沖縄地方(2014/01/23訪問)

にほんブログ村 その他趣味ブログ
その他珍しい趣味へ 人気ブログランキングへ
タグ:沖縄県
きた!みた!印(37)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

きた!みた!印 37

コメント 2

ぱぱくま

クサトベラの海、キレイですよね。
僕もこの艶やかな緑が好きです。
バッテリーの切れたアシスト自転車は重たそうですね・・^^;
by ぱぱくま (2014-02-16 22:57) 

dendenmushi

@きれいですよね、これは。ほんとに海みたいです。
電動自転車が電動でなくなったら、重い。使い方がよくわからないせいもあるんですが、電池を外したら軽くなるかとやってみました。そのうち坂が下りになったので…(笑)。
by dendenmushi (2014-02-18 16:29) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました