1065 高那崎=八重山郡竹富町波照間(沖縄県)「日本最南端の」だらけの島の南は岩だらけで岬も岩 [岬めぐり]
波照間島にあるものは、まずたいていのものに「日本最南端の」という形容がつけられる。日本最南端の郵便局に日本最南端の交番、日本最南端の小学校・中学校に日本最南端の保育所、日本最南端の病院に日本最南端のホテル…などなど。
これらはみんな、島の中央のいちばん高いところに集まっていて、この集落が日本最南端の集落ということになる。
小さくそこだけに固まった最南端の集落から、ちょっとはみ出ると、もうあたりは島をぐるりと取り囲んでいるサトウキビ畑と未開拓の木が茂る荒地ばかりである。その間を大きな広い道が周回し、またその間を細い道が走る。
この島が「日本最南端」を名乗れるのは、有人島でという限定があるが、無人島ではいくら日本最南端といってみたところで、人間が誰一人いないのではおもしろくもなんともない。
だから、やっぱり日本最南端はココなのである。
この島の最南端は、東西に1キロちょっとの幅で続いている断崖絶壁の凸凹のどれかになるはずである。国土地理院の地図で、それらしいところを適当に測ってみると、北緯24.045751,東経123.793127付近となる。
それは島の中心から南東へ約2.25キロほど行った、断崖絶壁の端あたりになる。そこは久成崎(くなりざき)という名前が書いてある情報もあるが、国土地理院は採用していない。また、経緯度の表記もあるのだが、その数値がどうも信用できない。そこで、あえて適当ながら数値測定を試みた。
その実際の日本有人島最南端から、北東に300メートルほどのところに、「日本最南端の碑」やらなんやらかんやら、いろんな石碑がいくつもめじろ押し(というほどでもないか)に立っている。周囲は木一本ないそこは、全国から持ち寄られた石が並べられている。
この付近ではいちばん盛り上がった、少し離れたところに建つ東屋から眺めていると、カラスが一羽飛んできた。なにかテントのようなおにぎりのようなのが、いくつかある最南端の碑ではただひとつ公式のものである。終戦50年にあたる1995(平成7)年に、竹富町が建立した日本最南端平和の碑がそれ。
下の断崖は火山性の穴と凸凹の多い黒い岩でできているようで、大きな穴も開いている。この断崖へ太平洋から打ち付ける波が砕ける。
碑が立つところから(あれっ、カラスが二羽に)、振り返って反対方向、つまり東側に目を転じるとなにやら天文台のようなドームを載っけた建物がある。これは星空観測ドームという、わりと空虚な印象があった空間だが、南十字星も見える波照間島は、空気がきれいなうえによけいな明かりがないので、星空を見るにはもってこいの場所として、売りだしたことがある。これはその時の遺産らしいのだ。
その星空観測ドームの東側に、広く大きく展開するのが、高那崎である。そちらに向かって借りた電動自転車を走らせる。断崖寄りに未舗装の凸凹道が細く続いているのだが、道とは言うものの、至る所に岩が埋まっていて、自転車で通り抜けるにも難儀する。
最南端の断崖絶壁が、どこまでも延々と続いてきて、そのテーブル状の大地の上は岩が岩の間に埋まって、そのなかに根を降ろす方途を見つけた植物だけが生い茂る。
その間の道では、岩の露頭がますます多くなる。ガタガタポンポンと跳ねるように走って行くと、岩盤に断層でできた段差があって、航空母艦の舳先のようになっているところがある。ここが、地図上で高那崎の表記がついているところだ。
▼国土地理院 「地理院地図」
24.049958, 123.804892
沖縄地方(2014/01/23訪問)
タグ:沖縄県
最南端踏破、おめでとうございます。
我が国の最南端はこういう風景だったのですね。
by ナツパパ (2014-02-14 15:11)
@もう三回目なんで、そういう感激もないのですがね。だから、今回は最南端の碑などの写真もなし、なんですよ。
どういうわけか、これまでの写真がないので、岬めぐりの写真を撮って項目にあげるのが目的で、やってきました。
さすがに最南端らしく、なにもないのがいいですね。
by dendenmushi (2014-02-14 17:41)