1063 浜崎=八重山郡竹富町波照間(沖縄県)波照間島の西の先にある岬ははたして脇役か主役か [岬めぐり]
いつも八重山の冬は曇った日が多く、雨もよく降るが、またすぐに止んだりする。黒く雨に濡れた道路が、しばらくすると何事もなかったかのように白く乾いている。
めずらしく快晴の日が続いたので、波照間島まで行ってきた。ここも何度目かの訪問なのだが、古い岬の写真が行方不明だったのと岬めぐりの方針が定まっていなかったため、これまではへんなこじつけをしながら「004 波照間=日本最南端」の項」しかなかった。
そこで、今回は波照間島の岬ももれなく項目として拾っていこうというわけだ。といっても、波照間島の岬は4つしかない。
初めて石垣島から波照間島へきたときには、石垣空港から郵便飛行機のような小さな10人乗りの飛行機で、海面の少し上をブンブンとプロペラの音をさせながら飛んできた。乗客はでんでんむし1人だけで客室乗務員などもおらず、あとはパイロットだけといういささか心細いフライトだったのを思い出す。
だが、その空路アクセスは、いつからか廃止されていた。波照間開運も一時倒産したと聞いていたので、現在では安栄観光の1日数便の高速船のみである。
その時泊まった民宿の名前も、今のガイドから探すことはできない。これは西表でも同様で、やはりこの南の端でもビジネスを継続させていくだけでもたいへんなのだ。
波照間島の港は、フェリー用と高速船用とにわかれて、ターミナルは整備されている。小さい島でも歩いて回るのはちょっと無理で、交通信号がひとつもないというのがウリ?だった島にはバスなどあるはずもない。
といって、レンタカーも大袈裟すぎる。というわけで、ここではもっぱらレンタバイク。もちろん、でんでんむしはレンタサイクル。
島のホテルが港の近くにプレバブ小屋を二棟建ててやっている店?で、電動自転車を借りる。この島は、こう見えて結構坂登もあるのだ。電動でなければ年寄りにはきつい。予備の電池もちゃんとつけてくれて、1日2000円也。
それに乗って、まずは西浜からの浜崎を目指す。ぐるりを断崖で囲まれている波照間島では、砂浜は比較的少ない。西浜と東の空港の、いや空港跡の、いや元空港の先と、北と南にもわずかにあるが、どちらにしろ人が容易に行ける砂浜はここしかない。
そういうわけだから、波照間島を訪れる観光客が必ず行くところとしては、こことあと最南端の碑があるところくらいなのである。
ああ、そういえば思い出した。いつだったか、この浜で島始まって以来?の殺人事件が起こったことがある。被害者も加害者も、島の外からやってきた。悲しいことだが、西浜の名はこれで全国に知れ渡った。
島でひとつの製糖工場の煙突を過ぎて道を下ると、ハテルマ・ブルーの海が邪魔者もなく眼下いっぱいに広がる。
あれ。今気がついたが、国土地理院の地図では「北浜」として「にしぱま」と読みが振ってある。「西」なのに「北」とはこれいかに。Mapionでは、「西の浜」で「ニシ浜ビーチ」と併記してある。GoogleMapは…これもZENRINなのだから見てもしょうがない
昔、この浜で賢いカラスに自転車の籠に載せた荷物を開けられたことがあったが、今もその子孫なのだろうか、カラスは元気である。
ここでは、白い、だが波打ち際がちょっとだけ赤味がはいった浜のほうが主役である。岬の方は、そのおまけのように、その名も“浜”の“崎”なのである。
いやいや、まてよ。その解釈は、正しくないのかもしれない。
地理院地図が正しいとすると、やはり主役はその先に岩礁をともなって丸くやわらかく優雅に飛び出している浜崎のほうなだ。
なぜなら、浜崎の南に続く浜には「南浜」として「ぺーぱま」と読みが振ってある。これで、浜崎をはさむふたつの浜が、それぞれ北と南にあるということがはっきりする。同時に、その中心にあるのが浜崎ということになるわけだ。
浜崎は、ふたつのきれいな浜をしたがえた岬なのだ。
▼国土地理院 「地理院地図」
タグ:沖縄県
コメント 0