1049 野母崎=長崎市野母町(長崎県)想像していたイメージとはだいぶ違っていた長崎半島の先端部 [岬めぐり]
脇岬が文字通りのワキであれば、シテは当然この野母崎となろう。この野母崎は長崎半島の先端ということで、なんとなく勝手なイメージを膨らませていたところが、それとはだいぶ印象が違うものだった。
その原因のひとつは、口ノ鼻に続いてここも海岸を走るバスからの遠望で、しかも雨がしきりに降るなかとあって、いかにもそれらしいという写真も撮れず、そういう姿も見ることができなかったからである。だが、それだけではなく、この岬の地形的な特徴からして、なかなかそうなまやさしいものではないからである。
陸から普通に道路から野母崎が眺められるのは、樺島や脇岬の山に登ることを除けば、この脇岬の海水浴場一帯が、ほとんど唯一のポイントといっていいだろう。
野母崎の町に入っても、そこから野母崎を見ることはできないのだ。
権現山という200m足らずの山の周囲に、ポコポコと6つか7つくらいのピークが寄り集まって、ひとつの大きな山塊をつくっている。その南端に張り出しているのが野母崎で、山の東側には北から深い入江が入り込んでいるため、ほとんど島のようになっている。
入江の出入り口は50メートルちょっとしかないほど狭まっている。その入口を入るのは船にとってはむつかしいこともあろうが、逆に入江の中の安全を保証しているのかもしれない。入江の南では200メートル幅の町が北と南の港をつないでいる。その細い街だけが、権現山山塊と長崎半島をつないでいるのだ。
この入江が、自然の良港となって、その周囲に町が発達しているわけだが、それがまさしく権現山と野母崎を大きな風除けのようにして、その陰にひっそりと収まっている。
野母崎の市街地は、国道499号線からも外れているので、バス路線もここが終点ではなく、脇岬への行き帰りの途中で、国道からそれて立ち寄る形になっている。
北側の大きな入江が古くからの野母崎港で、南側は新しく築港が進んだ新港のようだ。バスは、新港のあたりでくるりと一周りして、国道に戻っていく。
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権現山は、その昔には遠見番所、つまり航行船舶の監視所が置かれていたところで、お天気が良ければ絶好の展望所であろう。ここと東に向かい合う口ノ鼻の行者山の一帯を、長崎県では「野母半島県立公園」に指定している。“長崎半島”ではなく“野母半島”としているのは、とくに南部だけを限定する場合と使い分けているのだろうか。
野母崎でも、北の入江の入口付近には、水仙公園だとか温泉施設とかをつくってはいるが、さほどこの地域が観光地としての吸引力があるようでもないらしい。
野母崎は長崎半島の先端ということで、かねてからどんなところだろうとあれこれ勝手なイメージを膨らませていた。その印象とは、ずいぶんギャップとずれがあったとしても、それは野母崎の責任ではない。
もっとお天気のよいときに、出直してこいということだろう。
旧野母崎町が長崎市に編入された2005年には、同時に西彼杵地域の多くの町が行動を共にしている。既に訪問してきた三和町とバスで通ってきた高島町、さらにその北に続く香焼町、伊王島町、時津町の西に当たる外海町がそうである。
長崎や長崎半島を知るためには、そのところは重要な点であろう。
バスは、499号線を引き返して、西海岸高島町に向かう。
▼国土地理院 「地理院地図」
32.571129, 129.740753
九州地方(2013/11/03訪問)
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