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1050 インゲリ鼻=長崎市高浜町(長崎県)県指定天然記念物の岩の海岸中央にある岬からは軍艦島まで4キロ [岬めぐり]

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 長崎の岬めぐりに入ってからというもの、行く先々で大村藩だの、佐賀藩だの天領だのと、その昔の行政支配区分を気にしてきたが、どうもこの辺りのそれは複雑に入り組んでいて、茂木村は御料所(長崎奉行支配の天領)、為石村は佐賀領、野母村・高浜村は御料所、蚊焼村・深堀村は佐賀領といった具合である。
 それらについても、なかなか明確な記録がなくて、つかみにくかったが、「高浜町について」というページ は、地元のある個人の方が詳しい歴史的な記録を残しておられるもので、たいへんこの地域のことを理解するのに参考になった。こういう記録が、それぞれの町や村にあってしかるべきだ、あってほしいというのはでんでんむしの主張であり願望なのだが…。
 高浜村は江戸時代後期の1768(明和5)年から幕末までは、長崎代官高木作右衛門の支配地であった。この期間だけで100年間もあるので、高木家での世襲があったものだろう。1588(天正16)年からの約200年間は、天領(または公領)として、代官や近在の領主の管理に委ねられてきた。
 それ以前はというと、1255(建長7)年から334年間の長きにわたって、深堀家の治める深堀領であった、というのだ。深堀って誰?、というのはもう少し後に深堀村が出てくる予定なのでそれまで待ってね。
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 野母崎から499号線が半島の西海岸に出ると、角力灘という名がある海に出る。田ノ子島は大潮の干潮時には歩いて渡ることができる細長い岩礁地帯を伴っているが、そこから北はもう高浜町で、南越(なんごし)、古里を過ぎるとインゲリ鼻がある。この岬は、釣り場としては有名らしいが、その名の由来などはいっさい不明である。
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 110メートルの弁天山から滑り落ちる岬は、その南側に砂浜や田圃を抱え、その奥に街の中心がある。そこから東へ1キロも行くと二ノ岳の鞍部で、現在でも3つくらいの池がある。
 古い記録では、どうやら弁天山はかつては島だったらしい。時代が明確でないがその頃、大雨が降って二ノ岳の池が満水になって溢れ出し、土石流となって西の麓を流れ下った。それによって集落が全滅し、島だった弁天山は陸続きになり、入江を埋め浜と平地をつくったのだという。
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 インゲリ鼻の南北に長く続く海岸線は、山の下を道路が走り、すぐ海が迫るという岩が目立つ海蝕棚のような海岸が多い。なんでも、ここらも昔は砂浜があったのだが、沖で砂の掘り出しが続いたためになくなったのだそうだ。
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 そして、なぜ沖で砂を掘ったかというと、端島(軍艦島)をつくるためだった。なんとまあ。
 近頃、例の世界遺産云々もあって、クルーズも人気上昇中の軍艦島は、雨の暗い角力灘にぼんやりと浮かんでいる。インゲリ鼻から軍艦島までは、4.2キロ。高浜町が野母崎町になる前は、この島も高浜の領域だった。
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 インゲリ鼻の北側では、夫婦岩や綱掛岩といった、地図上にもその名がある岩がある。これらが、長崎県の天然記念物に指定されたのは、“野母変質はんれい岩”という、九州では最古にあたる約4億8000万年前の岩石だからである。
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 長崎市のホームページでは「野母崎の変はんれい岩露出地」として、以下のように説明している。
 
 長崎半島(野母半島)の先端、野母崎の北部約4キロメートルの海岸は、波に侵食を受けた海食崖の景観を呈し、暗緑灰色の硬い岩石が露出している。この岩石は、地質学的には「野母変はんれい岩複合岩体」と呼ばれるもので、玄武岩質のマグマが地下深部で徐々に冷えてできた、輝石(きせき)や斜長石(しゃようせき)を主成分とする「はんれい(斑糲)岩」が造山作用等に伴う高圧により変成を受け、地殻変動によって地表に露出したものである。この地域の変はんれい岩の放射年代を測定した結果、約4億8千万年前という非常に古い生成年代を示すことが判明した。長崎半島や西彼杵半島に広く分布する「長崎変成岩類」の年代が約6~9千万年前であるのと比較すると、その古さが際立ったものであり、プレート境界に沈み込んだ古い地殻の断片が露出している可能性がある。
 
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 ただし、この地域が全部長崎市になって、夫婦岩や綱掛岩のあるところは野母町でも高浜町でもなく、以下宿町・黒浜町となっているので、「野母崎の北部約4キロメートル」という範囲指定や、「野母崎の変はんれい岩露出地」という表題も、あまり適切ではないと思う。
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▼国土地理院 「地理院地図」
32.610429, 129.779822
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dendenmushi.gif九州地方(2013/11/03訪問)

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タグ:長崎県 歴史
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