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858 長磯岬・親子熊岩=久遠郡せたな町大成区長磯(北海道)しみじみと親子の情愛を感じさせてくれる岩 [岬めぐり]

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 ポンモシリ岬をカーブで回り込むと、道は西向きから北北西に進路をとり、すぐに町境を越える。岩場が崩れてできたような岩磯が続くうちに、道路沿いに集落が延び、漁港がある。ここは、せたな町は大成区の長磯というところである。
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 「長磯岬」というのが、この漁港のあたりにあるという記述も町のページにあるのだが、国土地理院の地図にも、その他のネット地図にもその表記はない。こういう岩の崩れた跡のようなところがそうでないとすれば、それは漁港の堤防をつくるために利用されてなくなってしまったのではないか。それで、地図からは岬表記がなくなってしまったのではないか、という推理も成り立つ。こういうことは、めずらしくないのだ。
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 それでも、あえて長磯岬があるものとして、ここに項目を設けたのは、ひとえに「親子熊岩」についてふれないわけにはいかないからである。“番外”にするよりは、岬に準じるものとして扱うべきだと思った。
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 そう。先に通ってきた八雲町の熊石地区で、さんざん宣伝してきた「熊石」は、実は「熊石町」ではなく「せたな町」にあったのである。
 どうして? なぜそんなことに? それがわからないのだ。
 誰も、なにも、教えてくれないのである。
 ひょっとしたら、この大成地区と熊石地区は、同じ町だったのではないか。もし、そうなら説明はなんとかつくというか、こじつけは可能かも…。だが、せたな町の成り立ちをみていくと、その説も成立しない。
 「せたな町」も、そんなに誰もが知っているわけではない。2005(平成17)年に、北のほうから順にいうと、旧瀬棚郡瀬棚町と、旧瀬棚郡北檜山町と、旧久遠郡大成町の三つの町が合併してできた。大成町だけが郡が違った。ここでもまた、合併のいざこざを残さず、三方が丸く収まるようにとお役人が知恵を絞った。
 どういうことかといえば、まず、町名は旧瀬棚町の顔を立てたが“ひらがな”にした。町役場は真ん中の旧北檜山町に設置した。そして、郡名は旧大成町が属していた久遠郡を名乗ることにした。大岡裁きである。
 三つの旧町名は、区の名としているので、八雲町のように「熊石」連呼の必要もない。いずれにしろ、これらも熊石が熊石町ではなく隣町にある理由の説明にはならない。
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 海岸に巨石が屹立する姿は、人々をして感じさせる何かがあるらしい。本州や瀬戸内海では、こういうものがあればまず“めずらしいもの”のほうに入る。ところが、北海道では地質の関係か、こうした立石は、結構あちこちで目立っている。この大成の海岸には、それがいくつも連続していて、夫婦岩、たぬき岩、マンモス岩だとか名前がつけられている。だいたいが、こういう類いのものは、かなり無理矢理で、いわれてみるとそんなふうに見えないこともないが…といった程度のものが多い。
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 この親子熊岩のように、いかにもそれを表現するために、造形の神様がノミをふるった、としか思えないようなものは、極めてまれであろう。
 昔むかし、飢えに苦しむ親子の熊が海に落ち、それを哀れんだ海の神が親子の姿を岩に変えた…というとってつけた伝説などは、自然にできたこの岩の前では陳腐でしかないとさえ言える。
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 バスの乗客は、またしてもいつのまにか一人だけになっていた。
 運転手さんが、わざわざバスの速度を落として、「ほらほら、これが親子熊岩ですよ」と教えてくれる…。やっぱり、この地域ではジマンのひとつらしいが、こういうものがあろうとはまったく知らずにきた。
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 なるほど! こりゃぁ、なかなかの傑作であります。親子熊の形をした岩の周囲は、車を停めて見ることができるように、駐車スペースまで設けられているが、路線バスは停めるわけにはいかない。
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▼国土地理院 「地理院地図」
42度9分8.34秒 139度54分46.07秒
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dendenmushi.gif北海道地方(2012/09/02 訪問)

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きた!みた!印(38)  コメント(5)  トラックバック(1) 
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コメント 5

ハマコウ

本当に親子の熊に見えますね
子熊が特にかわいく感じます
by ハマコウ (2012-10-14 07:09) 

みぃにゃん

小熊が親熊にすがってるようにみえますね!!
自然にこれが出来たのはすごいことですね!!
by みぃにゃん (2012-10-14 12:41) 

dendenmushi

@ハマコウ さん、 みぃにゃん さんも、そう思われますか。なかなかねぇ、うまくできたもんですよね。どこからみても、そのままですよ。
やっぱり母熊なんでしょうけど、頭に生えてる草が、なんかどこかでみたマンガのようでおもしろいし、甘えているような小熊のしぐさがいいですね。
by dendenmushi (2012-10-15 20:11) 

かんな

過去記事にコメントするのもなんですが、「クマウシ」、アイヌ語で「魚を干す竿のあるところ」が熊石の語源だそうです。
by かんな (2018-11-06 23:44) 

dendenmushi

@かんな さん、コメントありがとうございます。過去記事でも最新記事でも構いませんよ。
by dendenmushi (2018-11-07 09:13) 

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