771 大崎=西牟婁郡白浜町(和歌山県)観光地白浜のほぼ終点に展開する大岸壁群は圧巻 [岬めぐり]
三段壁が、田辺市の礫坂から乗ってきたバスの終点で、観光地白浜のほぼ終点といってもいい。昔の鉛山村に相当する地域と思われる大字地名のつかない白浜町は、この先まだ空港近くまで続いているのだが、岬もバス路線もここで一段落する。
白浜の大きく張り出した半島の最西端は、千畳敷の瀬戸崎であるから、そこから南への海岸線は少し東寄りになっていく。そのすぐに現われるのが、大崎の巨大岸壁群である。
大崎の表示は、地図上では三段壁の北側の岩の出っ張りにつけられているが、三段壁の上からはその先端の頭しか見えない。が、そこは瀬戸崎からも見えていた。
展望台などがある三段壁の上には、土産物屋などが並び、その中にある弁財天からエレベーターで洞窟に降りることもできるようになっているのだが、へそまがりのでんでんむしはこういう観光施設がどうも苦手なので、できるだけ近寄らないようにしている。
切り立った断崖絶壁を、こうして眺めるだけで充分なのだ。これは、そうして向き合っていると、なかなかの圧巻だという感じが湧き上がってくる。この日は海が穏やかであったが、これで波が立つとまた少し様相も変わってくるであろう。
いうまでもなく「大崎」は、付近でいちばん目立っている特徴的な出っ張りであることを主張している名称であるが、三段壁から続いている大きな岩の飛び出しは、その名にふさわしい。
この断崖は、高さが60メートル近くもあり、大崎全体の大岩壁の長さは、実に2キロメートルになんなんとしている。
大岸壁の中央部の三段壁。さて、これは「かべ」ではあるまいから、「へき」か「べき」か、いったいどう読むべきだろう。「さんだんべき」と呼ぶのが大勢のようだが、見たところ、なんにも三段バラになっているような場所は、崖のどこにも見当たらない。
ウイキペディアでは、「魚の群れ(鯨との説もある)を見つけるための監視場(見段・みだん)があり、これが転じて三段壁(みだんべき・見段壁→みだんぺき→さんだんべき・三段壁)と呼ばれる様になったという説が有力」としている。
いわゆる、“転じて”というやつだが、これこそ見事な“三段論法”。
命名の由来には、こういうのもよくあることながら、“見”が“三”に置き換わることになんの必然性もなく、単に、“ミ”という音だけであるというのが、いささか「なんで?」という疑問が残るところだろう。
疑問といえば、もうひとつ。白浜温泉は、道後、有馬とならぶ三古湯に数えられるくらい古いという説がある一方で、実際に記録があるのは大正年間に温泉開発が行なわれてからがほとんど、というのが実情で、大きな情報のギャップがあることだ。
先の文化年間に編纂された『紀伊続風土記』では、白浜温泉をどう書いているのだろう。そんな疑問が膨らんでくる。また、KEY SPOTの現代語訳を探ってみると、ちょうど温泉のあるはずの鉛山村のところだけが Not Found になっていた。ほかの現代語訳ではないほうの情報によると、ここは古くは鉛を掘り出していたらしいく、もともとの古い温泉は、現在の湯崎地区の海岸に湯壷があったようだ。温泉については、こういう記述がある。
凡四方温泉ある所多く山渓幽僻の地なるに此地は海濱にありて風景絶勝なれば四方の浴客日に集り歳に増して今は村中六十余戸皆浴客の旅舎となり飲食玩好歌舞の類に至るまで都会の地に羞ざる様になれり
海辺の温泉は、当時はめずらしかったようだ。
三段壁の南側に続く断崖の、はるか向うに飛び出している岬が見えるが、これは椿温泉付近であろう。
三段壁から椿温泉へ行くには、ここから海岸沿いに行けばいいようなものだが、直通バスは少ないので、いったん白浜駅まで戻らなければならない。この先海岸に沿っては、空港の南から富田川の河口まで、公共交通機関がないし岬もないのである。
白浜駅前から椿温泉へ行く明光バスは、日置行きとなる。白浜から周参見まで、紀勢本線は海から遠い山の中を走る。国道42号線はそれに比べれば海寄りを通っているが、ここから南の和歌山県の岬は、険しく大きく張り出したところが多いので、なかなか岬めぐりは簡単ではない。
この後はバスと電車のダイヤ任せで、この日の宿の周参見まで辿り着けばよい、という計画である。とりあえずは、同じ白浜町内の椿温泉付近には、いくつかの岬があるので、まずそこまで行ってみよう。
4月から、お役所は新年度。国土交通省・国土地理院の電子国土ポータルの地図も、模様替えしています。
▼国土地理院 「地理院地図」
33度40分2.54秒 135度19分54.79秒
近畿地方(2011/10/05 訪問)
タグ:和歌山県
おはようございます。
ご訪問 & (^^)v ありがとうございました。
by hirochiki (2012-04-02 06:53)
悠久の”岬めぐり”
奈良県吉野郡十津川村 玉置山
隆起して かって海だったところが 頂きになってます。
陸の「岬」でもあります。
海に生きる方の 信仰の対象にもなってます。
枕状溶岩隆起地です。
http://www.ne.jp/asahi/network/tamaki-yama/structure.html
ご訪問 ありがとうございました。
by 太郎さん (2012-04-02 09:18)
素晴らしいところですね。
意味と空と岬、単純ながら見入ってしまう構図です。
実際に行ったら迫力満点なのでしょうね。
by ナツパパ (2012-04-03 19:38)
@hirochikiさん、太郎さんさん、ありがとうございました。
ナツパパさん、また行ってみたいところが増えましたか。
by dendenmushi (2012-04-04 06:24)