723 高島岬=小樽市祝津(北海道)赤い岩の崖に赤白のだんだら灯台がある岬は祝津なのに高島 [岬めぐり]
北は雄冬岬から西は積丹岬まで、湾の幅は80キロにも及ぶ石狩湾は、大きくて開けているため、海岸線を歩いていて湾として意識することはあまりない。その海岸線の西側で、ひときわ目立つ出っ張りがある。
小樽市街の北側にあって、371メートルの赤岩山と279メートルの下赤岩山と二つのピークを中心とする半島だが、これも半島としての名は地図にはない。便宜的にオタモイ岬として全体を指すこともあるようだが、ここの岬は北東端の高島岬とその南にある茅柴岬の二つだけ。
半島の北側は、赤岩山からオタモイ海岸、そして窓岩・立岩にかけて、200メートルもある断崖が続いているが、その西の端で下赤岩山の尾根が下ってきたところが高島岬である。
小さく突出した崖は37メートルあり、多少のでこぼこがあるためにその崖を横から見ることができる。これもいわゆる柱状節理というヤツで、斜めになりながらそれぞれが頭を競っているようなその層が、なかなかおもしろい。
岬の北西側には、水族館の一部でもあるらしい施設があり、その沖にはトド岩という最高点2メートルの岩島がある。ZENRINソースのネット地図でも、その形だけは描いている。
トドがいるのだろうかと見てもよくわからないが、海鳥がたくさん群れている様子は伺える。また、この対岸の崖が赤いのは、そこから西に続く赤岩山の崖を想像させてくれる。
日和山灯台という赤白のだんだら灯台がある。「日和山」というのは、天候や魚群の観測をする高台によくついてきた名前である。近頃、みんながよく見聞きした「日和山」は石巻市のそれ(「番外:想い出すのは想い出すのは北上河原の…という歌があった」の項参照)であったろう。小樽の日和山は灯台の名のみだが、これが実は納沙布岬灯台に続いて北海道では二番目に点灯(1883(明治16)年)した灯台だと、燈光会の看板にはあった。赤と白に塗り分けられているのは、決して観光客の目を楽しませるためではない。
今回の北海道シリーズでは、弁慶岬と出岬とここ高島岬が赤白のだんだらである。灯台は海上保安庁の規定により、原則として塗装は白となっている。しかし、「背景又は地理的な条件等により、白色では視認が困難である場合においては、白色と赤色又は白色と黒色をそれぞれ交互に帯状に塗色することができる」と例外規定があり、それが適用されている。
また、だんだらの帯幅についても、白色と赤色又は白色と黒色をそれぞれ交互に帯状に塗色する場合の赤帯及び黒帯の幅は、地上から構造物の頂部までの高さをほぼ奇数等分した値になるように塗色する」と決まっている。それが、付属する建物まで適用されている。
この形式で塗装された灯台は、北海道や東北地方に多く、福井以西の西日本では11か所を数えるのみである。やはり霧の深いところ、発生しやすいところには、こういうのが多くなるのだろう。
小樽の観光案内ではよく出てくるポイントが、ここには二つある。
そのひとつは小樽水族館であり、もうひとつが小樽市鰊御殿である。これにオタモイ・赤岩の海岸が加われば、高島岬のある出っ張りも、小樽観光エリアとしては大きく広がるのだろうが、いまのところは北海岸は人を寄せつけないままで、小樽市街からは遠く離れている。運河や硝子屋や裕次郎記念館などが主なポイントの小樽の観光客も、ここまでやってくる人はそう多くはないのだろう。
小樽駅前から出る水族館行きのバスは、海岸沿いに真っすぐ水族館を目指すわけではなく、北西に向かって赤岩山の下にある新興の住宅地を縫って回り道をして走っている。その住宅地の北西側先端は、オタモイ海岸の崖の上まで迫っているようだ。
このバス路線は、観光客よりももっぱら市民の日常の足としての利用度が高いように思われた。
小樽市鰊御殿は、灯台のすぐ下にあり、その赤い屋根越しに、南にある茅柴岬が見えていた。
その茅柴岬の向こう側、祝津の南側が小樽市高島なのだが、それなのになぜ高島から離れた祝津のここが高島岬なのだろうか。
▼国土地理院 「地理院地図」
43度14分18.03秒 141度0分56.91秒
北海道地方(2011/07/18 訪問)
灯台があるというのは、この岬が大切なポイントだと言うことなのですね。
柱状節理、面白い形ですね。
by ナツパパ (2011-11-23 18:29)
@溶岩が冷えて固まるときに、こういう隙間と割れ目ができるのだそうですが、ほんとにおもしろいです、」
by dendenmushi (2011-11-25 06:08)