581 片江鼻=小浜市加斗・岡津(福井県)まあねタマにはこういうこともありますよ [岬めぐり]

いちおう「片江鼻」として項目は立ててみたが、ここは“内心忸怩たるものがある”とかいう、決まり文句を使いたくなるところだった…。ま、いいか。
甲ヶ崎まで来てもらった朝の運転手さんは、大変恐縮しながらも、わざわざ呼んでもらったことを喜んでくれた。大阪で勤めていたが故郷にUターンしてきたといった話をしながら走る運転手さんの車で、内外海郵便局のところから小浜駅まで戻ってきた。この辺りでも、仕事を探すのは容易ではないという。

小浜の駅舎も、木の柱は肌が荒れ、ペンキは剥げてささくれ、かなりの風格と年輪を感じさせるが、二両編成の電車のそばで談笑する若い人たちも、やがてはこの駅から旅立っていくのだろうか。
ワンマン電車が普通になって、この頃やっと慣れたが、乗るドアと降りるドアが決められていたり、自分でボタンを押さないとドアが開かなかったり、しかも駅によってはその限りでなかったりする。
「電車」と書いたが、厳密には「気動車」といわなければならないものも多い。しかし、そういうことにこだわるマニアではないので、「電車」ということにするが、この小浜線も「気動車」だった。気動車でいつも不思議で、しかし本音はどうでもいいので放置している疑問がある。

車両の中央部の窓がふさがれて、そこにカバーで覆われたような構造物がよくある。エントツなのか?と思ったりするが、気動車に排煙装置が必要なのだろうか。気動車だから排気装置があるのだろう。小浜から舞鶴へ向かうこの車両には、そのエントツはない。そのかわりその幅だけ、窓がなく壁になってしまっている。中央座席のそこに座ると、窓がない。やはり、変である。

窓のある、進行方向右側の座席から、デジカメを構えてシャッターを押す。
線路からは少し遠いが、丹後街道が走る開けた海岸に、片江鼻と蒼島(あおしま)が見える…。遙かには、大飯原発のある大島半島の先端と、松ヶ崎。

蒼島は、暖地性植物群落として、1951(昭和26)年に国の特別天然記念物に指定されている。なんでも、それまで九州遠賀川を最北限とされていたナタオレノキをはじめ、「92種類の草木が自生繁茂し、そのうち暖地系のもの40科、77種に及んで、一大暖地性植物園の奇観を呈し、植物学上驚異の島である」という。

それは、小浜市教育委員会が製作した“若狭小浜 デジタル文化財”というページに詳しい。
南方系の樹木の種子が、黒潮に乗って流れ着くというパターンは、高知や和歌山の岬めぐりでは、アコウがおなじみである。ここは、対馬海流が運んできたのだろうが、千島海流の影響も受けるここでは、アコウはここにはないらしい。
無人島で、上陸するには教育委員会と警察の許可が必要なのだそうだ。

蒼島はよく見えているのだが、問題は片江鼻。小浜市の加斗(かど)と岡津(おこづ)の境界を仕切っているのは、てっきりこれだとばかり思ってシャッターを切っていたのに、帰ってよく見ると、これは片江鼻の東の小山であった。片江鼻は最初の一枚にちょろっとだけ…?。
片江鼻は、この邪魔をしている小山を過ぎたところで見えるはずだったのだが、結果的に見えなかったのか、その写真が一枚も撮れていなかった。これは、大失敗。ほんとは、ここも降りて歩いて見たかったところなんだけど…。
▼国土地理院 「地理院地図」
35度29分24.66秒 135度40分16.54秒




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