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559 琵琶ヶ崎=上水内郡信濃町大字富濃(長野県)湖の名前と岬の名前と集落の名前 [岬めぐり]

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 野尻湖に「芙蓉湖」という別名が与えられているのは、その形が花に似ているからということなのだろう。湖の東部がいくつもの岬と入江によって大小さまざまのでこぼこがあることから芙蓉の花に喩えたのか、それとも湖全体の形から想像したのか、それはわからないが、こういった名前をつける人は、なかなかに想像力が豊かでなけばならない。
 それに、ナスカの地上絵ほどではないが、かなりの高度から眺めてみないと花の形までは思い浮かばない。そう思って、改めて地図を見ると、野尻湖の周囲は西の立が鼻付近を除けば、すべてぐるりを山に取り囲まれていて、しかも東部では山から直接湖面に達し、そこからまた急激に水深が深くなっている場所が多い。
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 砂間が崎の東に隣りあう琵琶ヶ崎もそうであり、竜宮崎も樅ヶ崎も岬の下の湖底は35メートルもずどーんと落ち込んでいる。標高が654メートルの湖の湖の最深部は38.5メートルだから、ほぼ一気に湖底の深部に達している。
 ここの湖の岬の汀が海の岬と雰囲気が異なるのは、そのせいもあるのかも知れない。そのため、湖岸には平坦部がまったくなく、したがって湖岸道路もなく、当然海岸のような絶え間なく厳しい波浪の影響を受け止めている波打ち際も岩場も浅瀬も生じない。
 だから、木々の緑のすぐ下が、青い湖面につながっている。湖の岬に共通する雰囲気があるとすれば、その原因はそんな条件によるのであろう。
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 琵琶ヶ崎という名は、いずれは琵琶の形に似ているとか、そういう説が出てくるのだろうが、岬の形が琵琶の形になっているわけではない。しいていえば、湖底に向かって一気に滑り落ちる北東側の小山からのスロープの姿が、丸く膨らんで見えるので、おそらくはそんなところだろう。
 野尻湖の名の由来は、確かな説が流布されているようだ。昔は、“信濃尻湖”といっていたのが、つまって頭の“しな”がなくなってしまったのだ、といわれている。“尻”には、“終末・末端”的な意味があるので、信濃の北の奥まったところにあり、すぐ越後との国境という位置にある湖の名前としては、この説は妥当性がある。
 西の、唯一開けたところが、この湖の“湖尻”であり、地名は“野尻”となっている。湖水はここから流れ出していくはずだったが、揚水発電所ができているので、その取水口と水路管を経由して国境線の関川に流れ、日本海に達する。
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 揚水発電では、雪解け水の豊富な時期に揚水し、農業用水の必要な時期など季節に合わせて、水量の調節を兼ね合わせて発電している。その関係で、毎年3月ごろには湖の水量が大幅に減ることになる。
 ナウマンゾウ(前々項では「ナウマン象」と書いていたが、動植物の名はカタカナ書きという原則に戻す)の化石が発見されるのも、そうした時期のことだったのだろう。実は、発掘調査も、湖底が緩い傾斜で水深浅い西部の立が鼻周辺が、湖水が発電に使われて干上がるその時期を選んで行なわれるらしい。
 これは聞いてみるだけでも、なかなか大変なことが行なわれていると、理解できる。一方で、この野尻湖の成因については、堰止め湖ということになっているが、その原因と過程にいくつか説があり、どれが正しいのか学術的に究明されていないともいう。人間には、わかることできることと、わからないことできないことがある。それもまた、自然なことだ。
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▼国土地理院 「地理院地図」
36度49分6.14秒 138度13分33.95秒
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dendenmushi.gif北信越地方(2010/05/22 訪問)

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タグ:長野県
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