448 小浜崎=下閉伊郡岩泉町小本(岩手県)古い港細長い港の出入り口に [岬めぐり]
山の中から60キロになんなんとして、岩泉町の町内を西から東へ流れ下る小本川は、その河口ではなかなか複雑なことになっている。
海に注ぐ前に、大きく北へ曲って鍵型になっているうえ、水門で仕切られ、川の中洲や島を利用しながら長い堤防で仕切られた、細長い港がある。ただ、この港は古いものらしく、港湾の中心は河口の南にできているより大きな小本港に移っているようだ。
古い細長い港のほうも、ちゃんと中には船が停泊しているので、使われていないわけではない。
その出入り口は龍甲岩(たっこういわ)という、ちょっと大きな岩島に遮られているので、かなり狭いところを向きを変えながら航行しなければならず、ある程度小型の船でないとここは使えない。
この港が海に向かう先端が、小浜崎である。例の“オバマ騒ぎ”のときにも、ここが話題になることはなかったので、読みは「おばま」ではなく「こはま」なのだろうか。
ここもまた深い霧の中にあって、その姿は判然としない。ちょっとした凹みには、コンクリートの構築物の名残りがあるところをみると、ここでもなにかの港湾施設が試みられ、結果としてそれが成功しなかったことを示している。小浜崎と龍甲岩の間の、狭いところを船が出入りし、激しい波浪もまたこのわずかなスキマから押し寄せるが、その威力もきっとあなどれないのだろう。
すべて霧の中で、さっぱり周囲の様子も定かでないので、いくら文字で説明しようにもわかりにくい。岩手県のホームページに港湾課の 「小本港の概要」というページがあり、ここに航空写真があったので、それを参照してもらうと一目瞭然である。
小本は河口の山の陰に細長くへばりついて東からの風を避けてきた古い町と、河川敷にできた新開地とからできているようだ。
ボーリングの技術が進歩して、いまではだいたい数千メートルも掘れるから、それだけ掘ればなにか出てくる。小本の河川敷にも温泉があり、その名も“小本温泉黄金八大龍王の湯”という。なにしろ車に乗っていて、おまけに霧の中。汗もかかないので、ここでは温泉に入ろうという気も起きなかった。
45号線とクロスするきれいな道455号線ができていて、これが三陸鉄道北リアス線の小本駅を経由して、小本川に沿いながら山に向かっている。
岩手県の地図を見ると、盛岡と宮古を結ぶJR山田線は、途中の茂市から閉伊川の支流に寄り添って北上する路線がある。JR岩泉線という中途半端なこの線路は、途中の岩泉の山の中で終っているのだが、この線は着工当時には小本まで延伸され、ループの輪が閉じるはずだった。計画通りにいっていれば、その線路に沿って走ることになったが、その計画は挫折したままで、輪は切れたままになっている。
果たせなかった鉄道の夢を追って、小本川を遡り、龍泉洞に寄り道をすることにした。
39度51分13.42秒 141度58分38.26秒
東北地方(2009/06/30 訪問)
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