SSブログ

440 小曲岬=南都留郡富士河口湖町浅川(山梨県)富士山は遠目に見るのが美しいが… [岬めぐり]

 「富士河口湖町」という町名は、長いだけでなくどことなく取って付けた不自然さが残る。いつからこんな名前になったのだろうと調べてみると、当然ながら、これにも合併話のもつれやほつれが、いろいろに絡まっている。
 2002年に周辺3町村が先行合併したときから、富士河口湖町になっているが、2006年に旧上九一色村(一時期ニュースを賑わせた名だ)を分村して、その南部を富士河口湖町に編入して現在の町域になっている。
 その町域が、すごいことになっていて、西湖から精進湖、本栖湖の南部まで、富士山北麓を取り巻く富士五湖のうち、山中湖を除く四湖を全部すっぽりと含んでいるのである。
 違和感の最たるものは、本栖湖の東とその南側まで町域に含みながら、「河口湖」とあえていう不自然さであろう。だがそれも、この地域の中心は、あくまでも旧河口湖町であることの主張と勢力の強さの反映なのだろう。
komagari10.gif
 昔、ここに初めて来たときには、駅から湖岸まで随分歩かされて遠かったのと、湖岸でボートを借りて遊んだという記憶がある。
 河口湖町のもともとの町は、富士急の駅から河口湖の東南岸にかけてであり、ホテルや土産物屋や湖のレジャー施設も、かつてはこの辺りに集中していた。
komagari12.gif
 小曲岬は、そうした古い観光地河口湖のはずれの出っ張りで、尾根がひとつ、東から湖に向かって突き出している。道もそこではトンネルになって、通り抜けている。ここだけ「岬」という名前負けしそうなことになっているのも、観光地として人を集めてきた歴史と無縁ではないような気もする。
 富士山観光はもちろん、割と昔から釣りなどでも有名だった河口湖町は、綾小路きみまろやさるまわし劇場まで加わって、観光には力を入れてきた。
komagari14.gif ところが、近年の“世界遺産騒動”では、それがいささか裏目に出た。
 最新情報では、どうやら町も富士山の世界遺産登録のために、五湖(町内四湖)を構成資産に含めることでまとめたらしいが、一時は世界遺産になると観光活動や新たな観光資源開発が制限されるとして、河口湖は富士山の登録申請には、五湖を含めないでやってくれと要望していたくらいなのだ。
 普通どこでも「世界遺産に入れてくれ」といって騒ぐのだが、ここでは「入れないでくれ」といって騒ぎになったのだから、めずらしい。
 へそまがりのでんでんむしとしては、それもひとつの見識かなと、感心していた。
 しかし、結局、山梨県の“五湖を構成資産に含めない世界遺産申請はありえない”という正論には抵抗できなかったようだ。
komagari07.gif
 この「世界遺産」というヤツ、なりたい、してほしいと騒ぐのは、もういい加減にしたら…というのは、でんでんむしの個人的な主張である。
 ユネスコの審査認定のほうも、だんだん厳しくなっているようで、選考に落選してガッカリなどというニュースも聞かれるが、それでいいのだ。そのためになんであれ、ムリをするようなことではない。平泉や鎌倉までいちいち世界遺産にしていると、およそキリがないですよ。
 しかも、世界遺産のお墨付きを欲しがるのは、より観光客にアピールするためというのは、本末転倒もいいところだ。
komagarimisaki04.gif
 もっとも、富士山については、なんといっても日本のシンボルであり、日本人のこころにも広く永くかかわってきた、特別な存在であることには間違いない。そのため、当初から申請はしてきたが、当初から認定基準を満たしていないと判定されてきた、といういきさつがある。なんでも、最初の審査に漏れたのは、“富士山のごみ”が原因であったとか。
 そして、そのことは、日本人の自然との接し方が、どこか間違っていたのではないかという疑問を、突きつけられているように思えてならないのである。
 観光地河口湖には、昔と相変わらずヌケたところがある。最初に来たときにも同じような経験をした記憶があるが、今回もまた大橋から町を通って河口湖駅に向かおうとして、道がわからずうろうろしてしまった。大通りを行けばよいのかも知れないが、それは大回り。町の中を突っ切って歩こうとすると、道は迷路状態で、しかも案内標識というものがひとつもない。
 人に聞きながら、なんとか河口湖駅に辿り着いた。大きな自動車道路は何本もできているが、人が歩く道は何十年もこの状態で通しているということは、観光客というのは車でやってくるもので、街の中をうろうろして欲しくない、という意思表示なのか。カングリが好きなでんでんむしは、そんなことまで考えてしまう。
komagarimisaki06.gif
 世界遺産になるかならないかにかかわらず、富士山は美しい。だが、それもほとんどの場合、遠目に見てそう思うだけで、その抱えている深刻さにまで目が届いていないことは事実であろう。いつか、どこかで、そうした問題が一気に噴出して、小曲りどころか大曲り・大転換を迫られるときがくるのかもしれない。
 ことしもまた、7月1日には“富士山の山開き”のニュースが伝えられていた。頂上まで登ったのは、ただの一度に過ぎないけれど、ありがたいことに一度でもその経験があるということは、毎年そのニュースに接しても、感じ方が違うように思え、少なくとも一年に一度の自己満足はあるだろう。

▼国土地理院 「地理院地図」
35度30分24.16秒 138度46分18.05秒
komagariM.gif
dendenmushi.gif甲信地方(2009/03/26 訪問)

にほんブログ村 その他趣味ブログ
その他珍しい趣味へ 人気ブログランキングへ
タグ:山梨県
きた!みた!印(8)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

きた!みた!印 8

コメント 2

Krause

不具合、ご迷惑をおかけします。以前のブログでもいろいろな不具合が発生し、こちらに引越したのですが・・・。今後ともよろしくお願いします。
左のスキンの地図帳のボタンは、どのようにつくられたのでしょう。とても良いデザインですね^^。
by Krause (2009-07-03 06:50) 

dendenmushi

@Krauseさんは、当ブログの最も古い読者のお一人です。今回、新ブログに移行され、新ブログに切替えられましたが、それまでずーっと「地域ブログ」のベスト5の常連さんでした。
 左の「地図帳」などのバナーは、Adobe Illustratorで作図したものをjpgデータに保存し、それを「a href=」で囲んでリンクボタンにしています。
 デザイン制作は、わたしではなく、専属のデザイナーですけど…。
by dendenmushi (2009-07-03 08:09) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました