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439 八木崎・桑崎=南都留郡富士河口湖町・大石(山梨県)溶岩の流れを想像できる場所 [岬めぐり]

 堰止め湖の一般的な特徴は、その水深が浅いことではないかと、これは勝手に想像していた。河口湖の水深は、いちばん深いところでも15メートルほどしかない。ところが、河口湖からは足和田集落をはさんで1キロちょっとしか離れていない隣の西湖は、70メートルを超える深さがあるというのだ。
 これは当然、堰き止められる前の地形によるので、平均的な特徴とはいえないことは理解できるが、なかなか自然の造形は、見えない部分でもいかんなくその謎の深さも示してくれる。
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 河口湖町の小立、勝山、そして船津という付近の湖岸は、そんな大地の変化を、素人目にもわかるように展示している。でこぼこで、平たくて、ぎざぎざの出っ張りが5、6か所ほど並んでいる。いちばん大きいそのひとつには、「八木崎公園」という名が地図には記されている。
 比較的浅い窪地(谷間)の流れが、富士山からの噴出物によって堰き止められる。その溶岩が押し出されてきて、なだらかな傾斜地をつくると、今度はそこへ長い年月をかけて土砂が積もり、それもまた雨とともに押し出されてくる。岩と水の間には、長い間に湖岸の植生が養われてきた。そこへ、人間の手も加わって…。
 これと同様の地形は、河口湖大橋の東側にも、小規模なものが残っていて、前項の写真にもそれが見えている。地図に千畳ヶ岩とあるのも、そうである。富士山から噴出した溶岩なのか、それとも後世における雨水と土砂などの流入によるものか、おそらくはその両方がからんでいるのではないかと想像できるような姿だ。
 富士五湖の場合、堰き止める材料は溶岩性の噴出物で、水を通しやすいので、湖の水位が連動して変化する。そこから、つながっているという説が有力になったのだろう。
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 これがまた微妙で、藤木ノ鼻とは逆で、エキサイト地図にはあるのに国土地理院の地図ではそれがない。「八木崎」というからには、ここがそういう名で言い習わされた岬であることは、想像に難くない。
 そしてまた、岸辺に立つ白い水位標識をみると、自然の驚異はまだ終わることなく続いているのだということを、思い起こさせる。
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 河口湖の南岸、つまり富士山の裾野がなだらかに北に流れてくるスロープは、溶岩などが流れて湖に達しました、といわんばかりの地形が続いている。ここの森のなかには、でんでんむしがかつて所属していた業界組織関連の保養施設があって、何度か利用したことがある。初めて最後の富士登山も、そこを基地として登ることができた。富士スバルランドや胎内樹型(これもなかなかおもしろい。立木が溶岩に覆われ、中の木の形だけが洞(うろ)となって残ったもの)にも近いところだったが、それもとうになくなっているので、今の地図からはその場所を探ることもできない。昔はなかったと思われるようなゴルフ場がいくつもできているから、それに呑み込まれてしまったのだろう。
 同じように呑み込まれても、こちらのほうは、洞も残ることはない。
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 こうした湖の南岸から、向かい側の北側の湖岸は、また違う景色が展開している。北の湖岸は、山の尾根がいくつも湖面に吸い込まれるようになったところが多い。とくに、河口湖北側の湖岸も西湖寄り、うの島の東には、溺れ谷のようになった形がはっきりとあり、その東端のポッチだけには、桑崎という名がついている。
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 長崎と、桑崎やうの島の間には、大石という二本の川と谷間の扇状地があり、田畑や人家が広がっている。一見交通不便に見えるこのあたりにも、民宿がたくさんあるようだ。客が車で勝手にやってくる時代は、さほど場所を選ばないのか。いや、正面に湖越しに富士山が眺められるそここそは、選ばれた場所なのだろう。
 当然ながら、八木崎公園のある側にも、ホテルや民宿やボートなど観光施設がたくさんあって、富士山の観光資源としての存在を改めて知る。

▼国土地理院 「地理院地図」
35度30分47.30秒 138度45分19.34秒 35度30分51.57秒 138度44分20.47秒
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dendenmushi.gif甲信地方(2009/03/26 訪問)

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タグ:山梨県
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