358 鎧崎=鳥羽市国崎町(三重県)ここが志摩半島の最東端にあたるところ [岬めぐり]
国崎町は、南に向いて開いた漁港と、その後背地の少し高くなったところに、集落が密集している。そのいちばん奥まった高い場所に小学校があり、あとは神社とお寺がひとつずつある。それ以外は全部山地である。もうひとつ、小学校から1キロほど北の、集落からは離れた山の頂きにも神社があるが、これが伊勢神宮の神事にかかわるものだろう。
鎧崎という岬は、そこからちょっと離れて周囲をたくさんの岩島に囲まれた小山で、灯台と電波塔のようなものがあるので、北側半分は護岸されて道があるが、南側半分は岩壁で覆われている。
ここもまた石鏡と同様に、周囲とはまったく隔絶された場所であるといってよい。小学校から降りてくる民家の間の道ばたには、こんな看板があった。いかにも古ぼけた、はげかかり文字は消えかかった看板があるのを見ると、この町にも観光客などがやってくるような時代があったということなのだろうか。
石鏡からここまでは、パールロードから離れて、誰も通らない山の中の曲がりくねった細い道を、7キロ近く歩いてきた。この道は、いちおう県道らしいが、観光道路ができるまでは、この道だけが半島の沿岸を南北に結ぶ唯一のルートだったのだろう。
ところどころに、田畑や別荘らしい白いコンテナのような建物が見えるが、人の気配はまったくなかった。
国崎の公共交通機関には鳥羽のバスセンターからのバスが、日に数本あるだけである。この路線は、南の相差から近鉄志摩線の松尾駅を経由する、生活路線として、ほそぼそと命脈を保っているのみらしい。
港のそばにあるバス停には、こんな看板もあって、海女が海に潜って鮑をとるという行為自体が、伊勢神宮の重要な神事になっていたことがわかる。伊勢志摩の海女の本場は、石鏡や国崎のこのあたりだったのだ。
次の鳥羽行きのバスまで1時間以上もある。南へ歩いてもいいのだが、あまり歩いておもしろそうな道でもないし、ここまですでに延々歩いてきたので、そこらの海岸で波を眺めながら時間をつぶすことに。
遙か南には、菅崎が見える。安乗崎はその陰になっているはずだが、さらにその遠くには大王崎まで望むことができる。望遠レンズのなかには岬が水平線から浮き上がったように見える。蜃気楼ではあるまいが、なにかの気象条件がそう見せているのだろう。
晩秋の夕日が山に隠れ、急速にわびしさを増してくる頃になってやってきたバスからは、数人の中高生がぞろぞろと降りてきた。
この日はもう日が暮れて、鯨崎に寄っている時間がなくなったので折り返して、相差の町の細い道をくぐり抜け、近鉄松尾駅まで行き、志摩磯部から的矢のホテルに向かうことにした。これがまた、長い山越え道で、松尾駅に着いた頃にはもう暗くなっていた。
▼国土地理院 「地理院地図」
34度24分48.01秒 136度55分38.46秒
東海地方(2008/11/19 訪問)
鎧崎という岬は、そこからちょっと離れて周囲をたくさんの岩島に囲まれた小山で、灯台と電波塔のようなものがあるので、北側半分は護岸されて道があるが、南側半分は岩壁で覆われている。
ここもまた石鏡と同様に、周囲とはまったく隔絶された場所であるといってよい。小学校から降りてくる民家の間の道ばたには、こんな看板があった。いかにも古ぼけた、はげかかり文字は消えかかった看板があるのを見ると、この町にも観光客などがやってくるような時代があったということなのだろうか。
石鏡からここまでは、パールロードから離れて、誰も通らない山の中の曲がりくねった細い道を、7キロ近く歩いてきた。この道は、いちおう県道らしいが、観光道路ができるまでは、この道だけが半島の沿岸を南北に結ぶ唯一のルートだったのだろう。
ところどころに、田畑や別荘らしい白いコンテナのような建物が見えるが、人の気配はまったくなかった。
国崎の公共交通機関には鳥羽のバスセンターからのバスが、日に数本あるだけである。この路線は、南の相差から近鉄志摩線の松尾駅を経由する、生活路線として、ほそぼそと命脈を保っているのみらしい。
港のそばにあるバス停には、こんな看板もあって、海女が海に潜って鮑をとるという行為自体が、伊勢神宮の重要な神事になっていたことがわかる。伊勢志摩の海女の本場は、石鏡や国崎のこのあたりだったのだ。
次の鳥羽行きのバスまで1時間以上もある。南へ歩いてもいいのだが、あまり歩いておもしろそうな道でもないし、ここまですでに延々歩いてきたので、そこらの海岸で波を眺めながら時間をつぶすことに。
遙か南には、菅崎が見える。安乗崎はその陰になっているはずだが、さらにその遠くには大王崎まで望むことができる。望遠レンズのなかには岬が水平線から浮き上がったように見える。蜃気楼ではあるまいが、なにかの気象条件がそう見せているのだろう。
晩秋の夕日が山に隠れ、急速にわびしさを増してくる頃になってやってきたバスからは、数人の中高生がぞろぞろと降りてきた。
この日はもう日が暮れて、鯨崎に寄っている時間がなくなったので折り返して、相差の町の細い道をくぐり抜け、近鉄松尾駅まで行き、志摩磯部から的矢のホテルに向かうことにした。これがまた、長い山越え道で、松尾駅に着いた頃にはもう暗くなっていた。
▼国土地理院 「地理院地図」
34度24分48.01秒 136度55分38.46秒
東海地方(2008/11/19 訪問)
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