357 弁天崎=鳥羽市石鏡町(三重県)いじかの小さな漁港には『兄弟船』のいく岬 [岬めぐり]
「石鏡」を「いじか」と読むのも、難読地名といってよい。ことのついでにお先走りをすると、ここから南へかけて「国崎」「相差」と、漁港をもつ集落が、それぞれかなりの間隔を置きながら点々と続いていく。
これも、地元のことを知っていないと一見さんではなかなか読めなかろうが、「くざき」「おうさつ」というのである。
この鳥羽の東海岸は、北端の鍋釜落から志摩市の菅崎まで、直線距離で9キロほど、でこぼこの海岸線が南北に連なっているが、そのほとんどは山地で、港と町ができているのは、その三か所のみである、というのもなかなか興味深い。
と同時に、東京など狭いところにごちゃごちゃと折り重なって人間が住み固まっているのが不思議で、日本もこんなにゆったりと広いのに…と思ってしまう。
弁天崎は、仏島という岩の島を伴い、石鏡港の南の端を守る堤防の役目を助けている。鳥羽志摩もここから南にかけては、海女の活躍しているところでもあるらしいが、岩場が続いているということは、そうした漁法で生計を立てることが、まだ可能なのである。
パールロードという観光道路は、「スペイン村」(これもすごい名だ)へ行くバスが通ることになってはいるが、何しろ朝と夕方の一日二便のみで、ほとんど役に立たない。それでも石鏡の交通手段としていくつかの系統で、ここまでまたは経由のバスを走らせている。先ほど乗っていたバスは、石鏡港を経由しながら「スペイン村」まで行く路線で、これは日に3本ある。周りをそれなりに高い山で囲まれ、東は海に面しているため、周辺からも孤立した状態にあるこの町と鳥羽を往来するため、そのほかには朝2本、夕2本のバスも通っているが、これが通勤通学の足なのだろう。
そのパールロードの脇、神島と伊良湖岬を望む場所に、「潮騒の丘」と題した大きな看板が立っていて、その冒頭からして「当地鳥羽市石鏡町は、NHK紅白歌合戦でおなじみの演歌歌手鳥羽一郎、山川豊の出身地です。」とあるのがなんともほほえましくもおかしい。
なにはともあれ、鳥羽一郎・山川豊なのである。そうか、芸名からして三重県の鳥羽であることも推量できないでもないが、彼らが“楽な暮らしをさせたくて”と歌う“たったひとりのおふくろさん”が住むという港町は、ここだったのか。なるほどねえ。
見ていると、弁天崎の南から、白い漁船がやはり白い航跡を残しながらやって来て、みるみるうちに港へ回り込んでいく。その後には後続の漁船が同じ航跡を辿ってやってきた。
これも兄弟船のように思えてくるのも、またおかしい。
海岸線沿いには道がないので、石鏡港へ降りるとまた上ってこなければならない。そのまま、パールロードをしばらく下ると、そこから細い脇道にそれて国崎の鎧崎へ向かう。その途中で振り返ってみると、もう弁天崎そのものは陰になってしまうが、まだ石鏡の岬が見える。
▼国土地理院 「地理院地図」
34度26分43.08秒 136度55分21.00秒
東海地方(2008/11/19 訪問)
これも、地元のことを知っていないと一見さんではなかなか読めなかろうが、「くざき」「おうさつ」というのである。
この鳥羽の東海岸は、北端の鍋釜落から志摩市の菅崎まで、直線距離で9キロほど、でこぼこの海岸線が南北に連なっているが、そのほとんどは山地で、港と町ができているのは、その三か所のみである、というのもなかなか興味深い。
と同時に、東京など狭いところにごちゃごちゃと折り重なって人間が住み固まっているのが不思議で、日本もこんなにゆったりと広いのに…と思ってしまう。
弁天崎は、仏島という岩の島を伴い、石鏡港の南の端を守る堤防の役目を助けている。鳥羽志摩もここから南にかけては、海女の活躍しているところでもあるらしいが、岩場が続いているということは、そうした漁法で生計を立てることが、まだ可能なのである。
パールロードという観光道路は、「スペイン村」(これもすごい名だ)へ行くバスが通ることになってはいるが、何しろ朝と夕方の一日二便のみで、ほとんど役に立たない。それでも石鏡の交通手段としていくつかの系統で、ここまでまたは経由のバスを走らせている。先ほど乗っていたバスは、石鏡港を経由しながら「スペイン村」まで行く路線で、これは日に3本ある。周りをそれなりに高い山で囲まれ、東は海に面しているため、周辺からも孤立した状態にあるこの町と鳥羽を往来するため、そのほかには朝2本、夕2本のバスも通っているが、これが通勤通学の足なのだろう。
そのパールロードの脇、神島と伊良湖岬を望む場所に、「潮騒の丘」と題した大きな看板が立っていて、その冒頭からして「当地鳥羽市石鏡町は、NHK紅白歌合戦でおなじみの演歌歌手鳥羽一郎、山川豊の出身地です。」とあるのがなんともほほえましくもおかしい。
なにはともあれ、鳥羽一郎・山川豊なのである。そうか、芸名からして三重県の鳥羽であることも推量できないでもないが、彼らが“楽な暮らしをさせたくて”と歌う“たったひとりのおふくろさん”が住むという港町は、ここだったのか。なるほどねえ。
見ていると、弁天崎の南から、白い漁船がやはり白い航跡を残しながらやって来て、みるみるうちに港へ回り込んでいく。その後には後続の漁船が同じ航跡を辿ってやってきた。
これも兄弟船のように思えてくるのも、またおかしい。
海岸線沿いには道がないので、石鏡港へ降りるとまた上ってこなければならない。そのまま、パールロードをしばらく下ると、そこから細い脇道にそれて国崎の鎧崎へ向かう。その途中で振り返ってみると、もう弁天崎そのものは陰になってしまうが、まだ石鏡の岬が見える。
▼国土地理院 「地理院地図」
34度26分43.08秒 136度55分21.00秒
東海地方(2008/11/19 訪問)
タグ:三重県
地名というのはほんとに難読ですね。一概には言えないけれど、先に呼び名の音があって後から漢字が当てられたというケースが多いからではないでしょうか。
その点「スペイン村」はよくわからないながら、とりあえず読みやすい。かつて渋谷の繁華街に「スペイン坂」といふのがあって?と思ったことがある。また10年ほど前、当地の
雑木林をつぶした一角に「アメリカ住宅」と称する建売住宅が出現したときにも? また50年ほど前に杉並区で買い求めた「北欧風」小住宅は、どこが北欧風?というちゃちな建造物でした。イメージ商法というのかなあ。
by knaito57 (2008-12-26 08:18)
@それもおおいにあるでしょうね。それにしても、国語の読み方の法則自体に当てはまらないのがあるのは、なんででしょうね。
昨日は何十年ぶりかに渋谷へ行き、スペイン坂の近くまで行ってきましたよ。あそこはFM東京のスタジオがあるところなので、ラジオでは耳馴染みなのですが…。
千葉には「ドイツ村」というのもあるらしいですよ。
by dendenmushi (2008-12-27 09:25)