337 垂水鼻=東松島市宮戸(宮城県)かきひびの棚が並ぶ先に(この付近はすっかり地形も変わっているのでは…) [岬めぐり]
垂水鼻という同じ名前の岬は、能登の七尾にもあった…と思っていたら、あっちは“水垂鼻”だった。二つの岬に共通する、命名の起因となった何かがあるのだろうが、やはりここでも眺めているだけではそこまではわからない。この垂水鼻は「たるみ」ではなく「たれみず」だというから、よけいそのまんま。80メートルほどの峯をもち、やはり周囲は崖に囲まれていて、岬の上にも周りにも道はなく、小さいながら隔絶した岬といえる。
野蒜の南側一帯は、沼や池もあるような低湿地帯になっており、深い溝の水路と高い堤防の上の道が、海岸をめぐっている。そこから南に、垂水鼻は黒々と見えているが、それはひとつには逆光であるのと、ひとつにはお天気が悪いせいである。今朝、塩釜のホテルを出て、野蒜駅に降りた頃にはまだきれいに晴れていたのに…。
この入り江の山向うには、その名も潜ヶ浦(かつぎがうら)という集落が、山の蔭に潜むようにしてあり、そこらの人たちがここでかきひびでの養殖をしているらしい。たくさんのかきひびの棚が並んでいるが、広島でもこんな光景は、最近はあまり見なくなっている。広島ではほとんどが、かき筏から吊るす方式になっているからだ。
ポンプ場があって、湿地から水を汲み上げては海に流している。土砂の堆積でやっと沼地までこぎつけた野蒜側と、宮戸島は細い水道で隔てられていて、東の松ヶ島というところで一本の橋とつながっている。その間は、細いコンクリートの道が続くが、そこには網が並べて干してある。自転車で走るには、なんとも邪魔になる。
宮戸島のほうは100メートルを越える大高森を最高峰とするしっかりした山並みをもつので、もとから独立した島だったわけで、低地の野蒜とくっついていたとは考えられない。
この宮戸島の東側は、今売り出し中の観光地“嵯峨渓”で、橋のところが遊覧船の乗場になっており、東松島観光会社という名が見える。あれ、その名はこの乗っている自転車にも書いてある。
なるほど、第三セクターがなんか知らないが、レンタサイクルから遊覧船まで、トータルでやろうという、その発想は悪くない。
こういうところの遊覧船には、とくに決まったダイヤで運航しているわけではない。客が一定数に達したところで、出発するのだが、おねえさんに聞いてみると、さっき出たとこだという。
宮戸島最南端の萱野崎は、嵯峨渓の先端なので、できれば船から眺めるのがいちばんいいだろうと思ったのだが、それではいたしかたない。今日は平日だし、次の便の客が揃うまで待つわけにもいかないので、自転車で宮戸島縦断に出発!
東北地方(2008/10/14訪問)
38度21分14.97秒 141度8分27.26秒
東北地方(2008/10/14 訪問)
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地図を見るとたくさんの島が散在しているので、さぞかしと思って「データベース」をのぞいてみたら岬の数は第14位なんですね。リアス式海岸線と島嶼部でもっと上位かと思ったのですが。
このところの地理・地形への考察・推理はするどいですな。何百(千?)年にわたる日本列島の変容がうかがえてドラマチックです。伊能忠敬もここまで行き届いてはいなかった。
by knaito57 (2008-11-10 09:38)
@大地の不思議はいろいろありますが、まず誰でも疑問に思うのは、どうしてこんな変な形をしているの? ということでしょう。
でんでんむしは、そこから岬に目をつけたというわけですね。
地学というのも、おもしろかったなあ。
高校の時に、週に一時間だけあった授業の先生が新任で「山田先生」といいました。
間もなく聞こえてきたうわさは、その先生の弟が松竹の助監督をしているというものでした。
そう。その弟こそ山田洋次監督だったのですねえ。
でんでんむしの地学好きは、山田先生のおかげもあります。
by dendenmushi (2008-11-11 09:02)