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336 寺崎=塩竈市浦戸寒風沢(宮城県)浦戸諸島知られていない島の知られていないこと [岬めぐり]

 松島湾は東北の陸前大塚から南西の塩釜港にかけて、いちばん広いところで10キロもの幅がある。だが、その直線の間には島は少ない。湾の外側太平洋側には宮戸島をはじめとして大小さまざまの島が蝟集という表現が適切なほど、固まって寄り添っている。今は東松島市となっている矢本の鳴瀬川が運んできた土砂は、太平洋の波に成形されて野蒜の長い砂浜海岸をつくり、丸山崎にかけてはそれで堰き止められた広い湿地帯をつくりだしたとすれば、これで想像のつじつまがあう。
 松島湾の成立が、他のリアス式海岸と同じく、大規模な地盤の沈降によるものだとすると、ここにあった三味線のバチのような形をした半島は、その西半分がたまたま少し高かった丘陵地の頭だけを残して沈んでしまい、東の半分はもう少し高い台地だったので、宮戸島として残った、という推測ができる。
 ずっと後になって、ここにも人が住み始めたが、人間というのは妙なことをするもので、宮戸島と西側の島々との間に目には見えない線を引き、境界をつくってしまった。いちばん狭いところでは70〜80メートルもあるかないかという水道が、塩竈市と東松島市の市境なのだ。
 異議を申し立てるつもりは毛頭ないが、塩釜港からは遠く海を隔てて8キロも離れている、小さい島が寄せ集まっているところが、80メートルしか離れていない宮戸島と同じ領域には入らず、なぜ8キロも離れた塩竈市になっているのだろう。
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 いま立っているここは、東松島市の丸山の麓。南の海岸に面した小さな漁港で、かきひびもすぐそこらから広がっているが、イカ釣舟のようなランプを並べた漁船もある。
 ここから南に見えている島々が、その塩竈市に属する浦戸諸島である。
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 奥松島といわれて、最近では観光客にも人気だと、なにかで読んだ覚えがあるが、“ここも松島”と称している島の半分は、実は塩竈市なのだ。
 地図ではそうはっきりとは表示されていないが、浦戸諸島ともいわれ、少し大きな寒風沢島(さぶさわじま)、桂島、野々島、朴島(ほうじま)の四島だけに人が住んでいるが、ほかの島々は無人島だ。
 ただ、こういう地形だから、仙台藩は造船の拠点をここに置き、実際に洋式船を一隻つくっている。また、日本人で初めて世界一周をした漂流民がいたが、その津太夫が生まれ、帰ってきて死んだのもここ寒風沢島だった。彼は大黒屋光太夫ほど有名にはならず、ジョン万次郎ほど歴史に跡をとどめなかった。けれども、本人はそのことをさほど気にはしていないだろう。
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 丸山から見えているのは、右が朴島、左が寒風沢島ということになる。
 こじつけとはいえ、いちおう岬めぐりなので、ここは寒風沢島の北端の寺崎という岬を、代表としてあげておくことにした。
 いちばん近くに丸く見えているのは、大夜鳥島と小夜鳥島。もちろんここも東松島市ではなく塩竈市なのです。

▼国土地理院 「地理院地図」
38度20分54.23秒 141度7分47.37秒
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dendenmushi.gif東北地方(2008/10/14 訪問)

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タグ:宮城県
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