252 平久保崎2=石垣市字平久保(沖縄県)再びの石垣島最北端へ尖閣諸島は見えない [岬めぐり]
島の中心部となる観光港の周辺からだと、ここまでは日本最南端の国道390号線と県道を北に約40キロほど遡上しなければならない。バスは、ない。だから、石垣島には何度も来ていても、そのたびにわざわざこの最北端の岬までやってくることはないので、これが二度目となる。
これと同じような写真は、以前にも「059 平久保崎=石垣島最北端(沖縄県)この先は尖閣諸島」としてあげていたのだが、このときは古い写真が見当たらず、かろうじて大掃除で出てきたレンズつきフィルムに残っていたのをプリントしたものを掲載していた。比べてみていただくと、どいうわけか色がまったく違うことがわかる。お天気のせいも多少はあるのだが、長い間に完全に変色・退色しているかフィルムの眼界なのか…。いま読み返してみると、そこでも、書いていることは岬はそっちのけでデジカメのことだったのだが、つい最近のニュースでは、業界もついに生産統計の発表をやめた(これで実質的にフィルムカメラという商品はいよいよその歴史を終えることになった)という。
でんでんむしは、商売柄、かなり前から日本で最初にでてきたものの初期ユーザーであった。いくつかの商品やサービスの転換期を、自分でそのただ中にいて体験してきたことがあるが、たまたま昨日から読み始めた『ウルトラ・ダラー』の冒頭で手嶋龍一氏がふれている印刷製版業界のデジタル革命もそうだし、ほぼそれと並行して進んできた写真のデジタル処理とデジカメの登場と普及もそのひとつだったのである。
平久保崎もなかなか印象的な岬である。それは、細長く突き出した半島の先端にあって、たとえば宇宙からの衛星が撮った写真で見ても、明らかにそこがまぎれもない岬であるとわかる。西に東シナ海、東に太平洋を分けるように突出している姿は、堂々として立派に見える。
灯台の先には八重山では「パナリ」とも総称される離れ小島(地図では「大地離」)があり、そこを境界線に決めたかのようにサンゴ礁の白い波頭が線を引いている。このサンゴ礁の内側のエメラルドグリーンがいかにも南国らしい。
灯台と岬は、よくセットになっているが、これに薮や林ではなく、岩場と草地が加わると、いっそうそれらしくなる。この岬は、それらがまことにバランスよく配置されている。また、灯台よりも上に、岩山のコブがあり、そこに登って見ると、灯台が目線より下に見えるのも、ここの特徴であろう。
どこでも、風をまともに受けるのが岬だが、ここも相当な風にさらされている。ここから150キロほど北北西に進路を取れば、尖閣諸島の魚釣島に至る。いつだったか、中国海軍のものらしい不審潜水艦が日本の領海を通り抜けたと問題になったのも、この海域であった。ここに吹く冷たく強い風は、国と国境という人間がつくる世界のある種の不条理と隣り合わせの厳しさを示しているように思える。
つい数日前、不審船などの情報を日本海や東シナ海沿岸の地元漁船や漁民や島民から積極的に収集することにした、というニュースがあった。今までやっていなかったのかというのも不審だが、それを見たときすぐに思い浮かべたのは、司馬遼太郎が『坂の上の雲』のなかで、バルチック艦隊の接近を最初にキャッチしたのが石垣島の島民であったこと、彼らがすぐに船を漕ぎだして本島に知らせようと努力したものの結果的にはそれが実を結ばなかった、といういきさつを書いたくだりのことであった。
◉注:記憶だけで書いていると、よくないという見本だが、こう書いていたのは間違いだった。正しくは、「石垣島の島民」ではなくて、「宮古島の」で、「本島に知らせようと」は通信施設のある「石垣島に知らせようと」だった。
そうだよね。手漕ぎの船で本島まではどう考えてもちょっとムリ…。それに気がつかなかった。申し訳ありませぬ。
追記: 2010年の9月、尖閣諸島で中国の漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりし、船長を逮捕したものの、中国政府の執拗な抗議とさまざまな圧力を受けて、処分保留のまま釈放したという事件が起こった。
那覇地検の判断によって外交上の配慮をした結果という体裁をとったことを含めて、大きな国内の政治問題となるとともに、中国という相変わらず得体の知れぬ国で、しかも巨大な軍事力を持つ国の強引で横暴で、理性的な話を通用させない体質が、改めて国際的にクローズアップされることとなった。
そんな事件を受けての結果としか思えないのだが、この項目のページビューが数日間の間に一気に200件近くに迫る急増ぶりを示している。
「尖閣」とかを検索してきた人々に参考になるような内容ではないので、それは期待外れで申し訳ないことながら、ものはついでだから、尖閣諸島の地図くらいは…。
大小7つくらいの島からなり、いちばん大きい魚釣島は最高点が362メートル。島の南部に山が崖をつくり、北側は斜面になっている。全島亜熱帯性の植物(ヤシの木マーク)で覆われていて、西端には灯台の表記もあるが、残念ながら岬の名はない。(2010/09/29 追記)
▼国土地理院 「地理院地図」
24度36分37.67秒 124度19分0.42秒
沖縄地方(2008/03/05 再訪)
これと同じような写真は、以前にも「059 平久保崎=石垣島最北端(沖縄県)この先は尖閣諸島」としてあげていたのだが、このときは古い写真が見当たらず、かろうじて大掃除で出てきたレンズつきフィルムに残っていたのをプリントしたものを掲載していた。比べてみていただくと、どいうわけか色がまったく違うことがわかる。お天気のせいも多少はあるのだが、長い間に完全に変色・退色しているかフィルムの眼界なのか…。いま読み返してみると、そこでも、書いていることは岬はそっちのけでデジカメのことだったのだが、つい最近のニュースでは、業界もついに生産統計の発表をやめた(これで実質的にフィルムカメラという商品はいよいよその歴史を終えることになった)という。
でんでんむしは、商売柄、かなり前から日本で最初にでてきたものの初期ユーザーであった。いくつかの商品やサービスの転換期を、自分でそのただ中にいて体験してきたことがあるが、たまたま昨日から読み始めた『ウルトラ・ダラー』の冒頭で手嶋龍一氏がふれている印刷製版業界のデジタル革命もそうだし、ほぼそれと並行して進んできた写真のデジタル処理とデジカメの登場と普及もそのひとつだったのである。
平久保崎もなかなか印象的な岬である。それは、細長く突き出した半島の先端にあって、たとえば宇宙からの衛星が撮った写真で見ても、明らかにそこがまぎれもない岬であるとわかる。西に東シナ海、東に太平洋を分けるように突出している姿は、堂々として立派に見える。
灯台の先には八重山では「パナリ」とも総称される離れ小島(地図では「大地離」)があり、そこを境界線に決めたかのようにサンゴ礁の白い波頭が線を引いている。このサンゴ礁の内側のエメラルドグリーンがいかにも南国らしい。
灯台と岬は、よくセットになっているが、これに薮や林ではなく、岩場と草地が加わると、いっそうそれらしくなる。この岬は、それらがまことにバランスよく配置されている。また、灯台よりも上に、岩山のコブがあり、そこに登って見ると、灯台が目線より下に見えるのも、ここの特徴であろう。
どこでも、風をまともに受けるのが岬だが、ここも相当な風にさらされている。ここから150キロほど北北西に進路を取れば、尖閣諸島の魚釣島に至る。いつだったか、中国海軍のものらしい不審潜水艦が日本の領海を通り抜けたと問題になったのも、この海域であった。ここに吹く冷たく強い風は、国と国境という人間がつくる世界のある種の不条理と隣り合わせの厳しさを示しているように思える。
つい数日前、不審船などの情報を日本海や東シナ海沿岸の地元漁船や漁民や島民から積極的に収集することにした、というニュースがあった。今までやっていなかったのかというのも不審だが、それを見たときすぐに思い浮かべたのは、司馬遼太郎が『坂の上の雲』のなかで、バルチック艦隊の接近を最初にキャッチしたのが石垣島の島民であったこと、彼らがすぐに船を漕ぎだして本島に知らせようと努力したものの結果的にはそれが実を結ばなかった、といういきさつを書いたくだりのことであった。
◉注:記憶だけで書いていると、よくないという見本だが、こう書いていたのは間違いだった。正しくは、「石垣島の島民」ではなくて、「宮古島の」で、「本島に知らせようと」は通信施設のある「石垣島に知らせようと」だった。
そうだよね。手漕ぎの船で本島まではどう考えてもちょっとムリ…。それに気がつかなかった。申し訳ありませぬ。
追記: 2010年の9月、尖閣諸島で中国の漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりし、船長を逮捕したものの、中国政府の執拗な抗議とさまざまな圧力を受けて、処分保留のまま釈放したという事件が起こった。
那覇地検の判断によって外交上の配慮をした結果という体裁をとったことを含めて、大きな国内の政治問題となるとともに、中国という相変わらず得体の知れぬ国で、しかも巨大な軍事力を持つ国の強引で横暴で、理性的な話を通用させない体質が、改めて国際的にクローズアップされることとなった。
そんな事件を受けての結果としか思えないのだが、この項目のページビューが数日間の間に一気に200件近くに迫る急増ぶりを示している。
「尖閣」とかを検索してきた人々に参考になるような内容ではないので、それは期待外れで申し訳ないことながら、ものはついでだから、尖閣諸島の地図くらいは…。
大小7つくらいの島からなり、いちばん大きい魚釣島は最高点が362メートル。島の南部に山が崖をつくり、北側は斜面になっている。全島亜熱帯性の植物(ヤシの木マーク)で覆われていて、西端には灯台の表記もあるが、残念ながら岬の名はない。(2010/09/29 追記)
▼国土地理院 「地理院地図」
24度36分37.67秒 124度19分0.42秒
沖縄地方(2008/03/05 再訪)
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