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224 白崎・黒崎=鳥羽市菅島町(三重県)シロかクロかはわからない菅島 [岬めぐり]

 この付近が九鬼水軍という海賊の根拠地だったということに関連して、「誰が何を根拠にこれを“海賊”と規定するのか、考えてみればふしぎです。」というコメントを、knaito57さんからもらっていた。
 「賊」というからには悪者というべきだが、誰から見て悪であったかといえば、時の権力や支配者に対しての悪、つまりは支配者にとって都合が悪いのであった。もちろん、単なるドロボーもたくさんあったろうし、庶民がそれで難儀を受けることも多かったかも知れない。だが、「賊」にも賊の理があった。平安時代の藤原純友は、朝廷に刃向かいその支配を脅かす海賊であったし、『パイレーツ・カリビアン』のジャック・スパロウも国家や海軍に一人対抗せんとするところが受けたものだ。『海底二万マイル』のネモ船長にしても、少年の憧れを引きつける魅力をもっていたのだ。
 だが、「賊」もそれが力を持ち始めると、権力に接近したり、その一部の取り込まれたりする。「川賊」だった蜂須賀は、阿波の殿様になって明治まで続いたし、村上水軍は秀吉の海賊討伐に押されて毛利とともに衰退するが、九鬼水軍は鳥羽の城持ち大名になってしまう。
 “海上自衛隊は海賊以下である”、などというのは、浅薄で感情的な言い草に過ぎない。だが、このままだと、まさしくそうなる。間違いなく、そうなる。こんな事件を起こしても、当の当事者や責任者を、いっこうに明らかにしない。捜査中を口実にだんまりを決め込むのは、この頃では常套手段になってきた。防衛省に限らないが、役人の隠ぺい体質は、今に始まったことではないものの、そのつど「再発防止に努めます」とか通り一遍で頭を下げておいて、またぞろ何度でも同じことを繰り返す。こういう様子が、どこでも何度でも繰り返されるのを見ていると、つくづく「日本人の民度や国の力というのは落ちるとこまで落ちたものだ」と嘆かわしくなる。
 確かに世の中にはシロかクロかはっきりしないことは多いが、それをできるだけはっきりさせようとすることも、世の中をよくする力になる。役人の構造は、これも強力な意志を持った政権交代でもないと、そしてそれに20年間ぐらいは委ねないと、60年続いている政官癒着とその体質変革は望めまい。

 菅島も、九鬼水軍の勢力圏にあったはずだが、この島の集落は、答志島の和具と南北に向かい合うところに集中しているようで、その東側、島の東北端に位置するのが白崎。その南側、東南端に位置するのが黒崎である。
 なんと、白と黒がセットで並んでいる。
 白崎は、そのずんぐりした灯台の姿とともに、逆光の水道に照り映え、その向こうに黒崎が、ちょっとだけ頭をのぞかせている。

 思い出していただければ、岬・崎・鼻のデータベースで、多い名前の第一位が「黒崎」であった。そして九位が「白崎」だった。思い出せない初めての人は、こちら


 さらに、この菅島の黒崎には「長崎鼻」という別名も、地図にカッコ書きで示されている。「長崎鼻」は五番目に多い岬の名前である。この島の岬は、実にポピュラーな、ありがちな名前ばかり並んでいることになる。<
 別に、全国に多い名前だからそれにしたとか、多数決で決めたということはないはずなので、偶然というより、多くの人に共通する認識に従って、そういう名がついたに過ぎないが、それも考えてみれば、不思議なことのように思える。
 へそ曲がりを自認し、ときには吹聴さえしているでんでんむしとて、基本には多くの人と同じ共通の認識をもっている。そのつもりである。
 たとえば、昨日一昨日の二日間の行動を、日誌風に記録してみると…。
 ●2/21 有楽町一丁目シネカノンで『歓喜の歌』を観る。一部で評判らしいし、素直に感動したいところだが、なかなかそこまでいかない。志の輔落語は以前にテレビでみて、これはおもしろかったが、それを元にしたというこの映画では、多少のくすぐりはあっても、それ以上ではない。
 映画を観たあと、ビックカメラに降りて、コンピュータ売り場を歩いてみる。ケータイは携帯したくないが、PDAのいいのは欲しいと、前から思っている。これまでも、何度か買ってみたが、なかなか実用の域には達しないでいる。Appleの新製品に期待しているのだが、先の薄型にも期待外れで、Newtonをばっさり切ってしまったジョブスは、なかなかそれを出してくれそうにない。Windows搭載のものは、いくつかあるのだが、なんどさわってみても、どうもこれは使う気になれない。Sonyには、前にもちっちゃいのを買ってはみたものの、結局使い物にならなかったという前科がある。
 Sonyといえば、関係ないけどブルーレイでは、ベターの仇討ちができてよかったね。ベータユーザーだったでんでんむしは、今回は静観を決め込んでいた。とはいえ、相手が傷が大きくならないうちにさっさと降りたので、被害は拡大していなかったから、まだいい。それにしても、こういう規格競争やシェア争いほど、世の中でむだなものはない。
 それはともかく、やっぱりSonyVAIOtypeUくらいしかないのかなあ。まだ、決心がつかないでいる。
 ●2/22 銀座四丁目の甲州印伝の店へ行く。ネットで探した店で、孫のランドセルを買うためである。実に人並みである。だが、デパートでCMで宣伝しているようなものは選ばないというところが、いささか人並みではない。
 六本木ヒルズに寄ってみるが、ここはちょっとしたラビリンスそのものだと思う。なかにたくさんのカタカナ名前の現代の怪物や魑魅魍魎が巣くっているところからして、まさしくぴったりだな。
 ちょうどお腹も空いたので「中村屋」でカレーを食べることに。これがコーヒーが不味いのでがっかりだった。近頃では、まともな普通のコーヒーを出すところが減って困る。「コーヒー」といっておきながら、客の好みなどにはお構いなく、平気でエスプレッソやイタリアンかなんか知らないが、ヘンテコなものを威張って当然のように出すところがやたら増えた。いったい、なんだと思っているのだろう。抗議の意思表示に、そのまま残して出てしまった。カネは払ったよ、黙って。
 前から前売券をネットで買っていたのに、なかなか行く機会がなかった『横山大観展』をのぞきに、新国立美術館まで歩いていく。
 この頃では、ネットの前売り券は、自分でプリントアウトした紙を持って行けばいいようになっている。ちゃんと、“このプリントを入口で見せろ、記念に持って帰っていい”と説明のページには書いてある。バーコードで処理するようになっているのだ。入口でおねえさんがその紙でバーコードをピッといわせても、返してくれないので、その旨言うと「これはお返しできません」とにべもない。といって、それが格別ほしいわけでもなく、そこでごちゃごちゃもめるほどのことではないので、あっそうと引き下がった。
 だが、考えてみれば、ここで物分かりよく引き下がったことで、結局この件に関する主催者側の事務的なミス、連絡ミスとその責任と原因は、闇に葬られたことになる。ありがちなミスといって、済ませられないこともないが、これがイージス艦でも同じようなことが起こっていたとしたら、そうはいかないだろう。
 去年(一昨年?)の冬だったか、北の丸の国立近代美術館で「生々流転」全巻初公開(だったと思う)されたときに勇躍見に行ったのだが、これだけは、もう一度見ておきたかった。そこで今回も出かけたのだが、狭い会場内は芋の子を洗うような大混雑で、驚いた。まっすぐに歩くこともできない。北の丸で公開されたときには、ほとんど人もいなくて長尺の巻物の間を、何度も行ったり来たりしながらゆっくり見ることができたのに、この人の多さはいったいなんだ。係の人が“止まらずに進め。前の列に割り込むな”といいながら巡回している。それでも、いちおう目的だけ達したので、早々に退散。
 夜、ジブリと癒着している日本テレビが、またしても『耳をすませば』をやるという。今回はノーカットなので、またまた観てしまう。主人公の名が「月島雫」というこの作品には原作があるらしいのだが、アニメでしか知らない。そして、ジブリ作品の中でもでんでんむしがいちばん好きな作品であるかも知れない。こういうところは、へそ曲がりでもなんでもない。実に、すなおなモンだ。
 このアニメが気に入っている理由はいろいろあるが、ひとつには、京王線沿線の、おそらくは百草園辺りかも知れない、多摩川を見下ろす台地の住宅街や団地や坂道や石段や、そこを走ったり歩いたりする主人公の周辺で起こる、さまざまな何気ない出来事、人や車とすれ違ったりするシーンや景色を、ていねいに写し取っていることが魅力になっている。
 ふと、DVDでも買っておいて、いつか孫たちが中学生になったときに見せてやりたいような気がする。図書館の貸し出しカードで、気になる名前を見つけたりするのにも、覚えがあったりして…。
 その余韻に浸りながら、買ってきたまま積ん読になっていた平岩弓枝の『新・御宿かわせみ』を読み始める。うーむ、話を明治に引っ張って東吾や源三郎の子供たちの時代に続けるとは…。なかなか平岩さんもがんばるものだ。えらい。
 これも、もとはといえば、月島に住まいするようになってから、この物語の舞台となっている周辺を歩くようになってから読み始めたもので、佐伯泰英の磐音シリーズと同じく、「大河小説」につきあってみたいという思いからでもある。
 人生は、よく川の流れにたとえられるが、知らず知らずのうちに、白も黒も複雑に入交じって、現実にはもはやどうにもならぬ、ままならぬまま流れていくしかない。物語の中の人の生き方に魅かれるのは、そのなんともやりきれない部分を、なんとなしに仮託しているのだろうか。

▼国土地理院 「地理院地図」
34度30分10.17秒 136度54分30.71秒 34度29分21.66秒 136度54分22.68秒
224しらさきくろさき-24.jpg
dendenmushi.gif東海地方(2007/12/18 訪問)

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タグ:三重県 灯台
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コメント 2

knaito57

ほんと、陽光を反射してきらめく海面と黒い岬(島)影は絵になりますね。
『海底二万マイル』を読んでないのですが、映画はとびきり面白くネモ船長にあこがれたものです。
さすが都会暮らしは優雅ですなあ。こちらは風流だけの田舎暮らし。それもこの二、三日は強風で逼塞状態です。
by knaito57 (2008-02-25 08:40) 

dendenmushi

@風が強いですね、ここ何日か。もう春一番の程度を越えているような風で、歩いていて吹き飛ばされるとこでした。
 別に都会暮らしが優雅ということはないでしょう。田舎暮らしの方が優雅でしょう。イギリス人はカントリーサイドの生活が、なによりの理想としていますし。
 いよいよ2月も終わりです。
by dendenmushi (2008-02-28 08:06) 

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