138 遠見ノ鼻(妙見崎)=北九州市若松区大字有毛(福岡県)嵐の灯台へ [岬めぐり]
単に岬めぐりだけが目的でやってきた人間には、あまり関係がないが、九州もこのあたりは、鉄道の路線がかなり複雑に走っている。おそらくは、かつては石炭を運び出すためであったろうし、富国強兵を支える工業の近代化の先頭に立ってきた、官営製鉄所がここにあったためでもあったかもしれない。
洞海湾を越えて玄界灘(というより響灘というべきか)に出たところには、八幡岬という岬もあるので、ここにも行くつもりだったが、なにしろ、お天気も悪いし交通の便も悪い。しかたがないので、今回はとりあえず、電車とバスを乗り継いで、歩かなくても行って帰ってこられる逸見ノ鼻だけにした。
小倉駅から、鹿児島本線で(ここで鹿児島本線といわれてもピンとこないが)その官営製鉄所のなれの果てともいうべき変てこな遊園地があるところを迂回する電車を折尾で降り、ここでまた2両編成のローカル線に乗り換えたつもりだったが、これが筑豊本線だという。とにかくこれで洞海湾の北側の二島で降りると、妙見崎という別名も持つ遠見ノ鼻まで行くバスがある。
ここは、埋め立て地と島と、本州にくっついて隠れたようになっている関門の九州部分を除けば、九州では最も北に位置する岬になるはずだが、逸見ノ鼻にしても妙見崎にしても、地元ではほとんどその名前に関心が払われているようではなく、バスの行き先にもそのような名前や停留所はいっさいない。
かんぽの宿がなんとかセンターに名前を変え、それがバスの行く先表示になっており、しかもそのバスは何とかセンターでくるりと向きを変えてまた二島まで戻る循環バスだった。「いちおうここが終点ですよ」とバスの運転手さんにうがなされて降りる(またしても乗客はでんでんむしだけ)と、お天気は悪いが連休の日曜日とあって、そのセンターのなかには人もたくさんいたようだった。
そこには目もくれず(いや、目だけはくれたのか)、先端の岬へと急ぐ。自然に残された岬の地形は、しばしば観光のスポットになりやすい。ここも、付け根にできた岩屋港となんとかセンター以外は、ほぼその景勝は保たれているらしい。逆に言うと、あまり使い道のない、どうしょうもない土地ということでもある。
赤い岩場の上に、小振りな白い灯台が立っている。台風の影響で響灘も風が強く、白波がうねりとなって音を立てて押し寄せ、雨粒が横に飛んでくる。
あまり周囲をうろうろしていて、ニュースのネタになったりするのは御免だから、そうそうに引き上げることにした。
帰りは黒崎まで、ほんのわずかな間乗った電車が、なかなか首都圏では見られないような、おしゃれな電車であった。JR九州の電車には、めったに乗る機会もないが、ゆふいんなどあちこちで特徴のある電車を走らせている。ソニックもそうだったが、この頃の電車の窓ガラスには、昔とは異なるコーティングか何かしてあるのだろうか。どうも雨の粒のかかり方、流れ方が昔とは違うような気がする。
▼国土地理院 「地理院地図」
33度56分10.53秒 130度40分58.94秒
九州地方(2007/07/15 訪問)
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