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番外:原爆ドーム=広島市中区大手町一丁目(広島県)老朽化して風化して [岬めぐり]

 広島に生まれ育った者としては、長い間「原爆ドーム」という名前には、ことさらすべての感情を押し殺し心の奥底に閉じ込めなければ、とてもそれに向き合えないという思いが強かった。それがニュースなどで取りざたされる場面に接しても、ほとんど“無視”に近い聞き流しをしてきた。
 ドームの老朽化が進んでというニュースにも、廃墟が老朽化するというのはおかしいんじゃないのかと突っ込みはいれても、そんなことには関心がないという姿勢に終始し、それよりも広島市民球場の建て替えのほうがもっと重大な問題だ、と強がって見せた。通りすがりに見たりすることはあっても実際にわざにドームを訪れたことは、二三回くらいしかない。
 久しぶりに訪ねてみると、広島の観光ポイントになっているためか、市電の「原爆ドーム前」という停留所ができているし、周囲の建物が取り払われ公園化されて、トラスが入れられ補強されたドームは、相生橋の大通りから直接見えるようになっていた。

 さすが「世界遺産」効果であろうか。きれいに整備された原爆ドームは、もはやローマのコロシアムやパルミュラの遺跡ほどの、乾いたかすかな感情しか呼び起こすことがない。かつてそこであった惨劇の実態など、想像しようにもできないのだ。60年以上の歳月が経過するとはそういうことであり、あるいはそれが「遺産」たる所以であるかもしれない。そして、そのことを「風化」というのだろう。

 広島市民球場は、外側から見る以上に中はお粗末なので、新球場は長年の懸案だったはずだが、とにかくもたもたしているばかりで、遠くから見ている者からみれば、あきれて嘆くしかない。随分いらいらさせられ、当事者能力を疑った。いずれはこれも取り壊されるのだろうから、写真に撮って記録しておこう。
 そういえば、昨夜の今シーズン初の対読売戦、見ましたぁ? 「読売とやるときは相手は9人ではなく10人いる」とは、昔からよくいわれてきたことだ。今でもそれがまだ生きていることを、昨夜の「23番の球審」は、見事に実証して見せた。『侮辱した』と言って、抗議する監督を退場させることができる審判も権力である。侮辱される権力には、相応の問題があるからであるにもかかわらず、その判断を修正したりチェックしたりするしくみは、まったくないときている。権力とくに公権力に、真実を見つめ、正しいジャッジメントをする能力がないことは、国民を不幸にする。いちばん悲惨な目にあって、否応なく退場させられた者には、抗議するすべもない。
 ドームが、その沈黙のなかに雄弁に語っていることは、そういうことなのだ。

 何十年ぶりなのとこれも記録という意味もあるいはあるかと思い、タクシーの運転手さんに頼んで広島城の北にある母校基町高校の前で止めてもらい、ちょっと覗いてみたが、ものすごい驚くような立派な建物ができている。
 常に若い命が躍動する場所は、風化することもなく、変化し続けている。

▼国土地理院 「地理院地図」
34度23分43.86秒 132度27分12.83秒
103番外げんばくどーむ-3.jpg
dendenmushi.gif中国地方(2007/03/26 再訪)

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タグ:広島県
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