104 燈籠崎=倉敷市下津井四丁目(岡山県)ひょっとして石つながり? [岬めぐり]
下津井という名前も、昔から耳にしたかすかな記憶もある。だが、それがどういう場面でどのようなかかわりをもったか、まったく定かでない。おそらくは、瀬戸内海の港々をつなぐなにかなのだろう。「ええっ? そんなとこ知らないよ」という人でも、瀬戸大橋を渡ったことのある人なら、きっとこの古い港町を眺めたはずだろう。この大橋と水島のコンビナートは、今では全部倉敷市になっているこの地域周辺の様相を一変させたことだろう。
燈籠崎という名前も、きっと昔から下津井に出入りする船の安全をはかるための燈籠や灯明の存在を記憶するものだろうと思って来てみると、やはりここには燈籠堂というお堂があったらしい。今は燈籠堂の代わりに航路標識塔が立っている。
下津井の町の西のはずれにあるこの岬は、古くから石切場があったところだという。大阪城築城のとき、石垣の石をここから切り出したので、担当大名のマークを刻んだ石が今も残っているらしい。
岡山も広島も良質の花崗岩がとれる地域として、コンクリート以前にはかなり重要な役割を負ってきたのだ。大阪城でこの辺の石を使ってしまったので、国会議事堂の時には広島までいったのだ。そうか、ひょっとするとかすかな記憶は“石つながり”だったのかもしれないなあ。
岬をつくる赤茶けた崖をながめながら、はるかな父祖の地倉橋島へと、石つながりの追憶は内海のあるかなしかのさざ波の程度に広がる。
瀬戸大橋が架かる目の前の島は櫃石島で、ここはもう香川県の坂出市である。その西隣に大きく横たわるのは六口島で、ここはまだ倉敷市である。櫃石島は名前からして石だし、六口島にも大名マーク付きの石があるという。
地図では下津井の町の上の山には“鷲羽山ハイランド”というわけのわからない呼び名がついているが、そこの比較的新しいきれいなホテル(せとうち児島ホテル)に泊まった。全室オーシャンビューで、一人客でも差別はしない。ホテルはこうでなくてはならん。部屋の窓からは、瀬戸大橋や瀬戸の島々が見える。夜明けとともに、水島に出入りする船が、朝靄をついて往来を始める。
西側になにか高い塔のような柱のような物が、一本突き出た建物がある。夜になっても明かりがつかなかったそこは、廃業したホテルであるという。それにしても、この塔はいったい何だろう?
バブルというのは、とんでもないことを考え実行させるものだ。(これも、knaito57さんがコメントしていた、ほらあれ。「なんとかワールド始末記」の1ページを飾りますね。)
下津井漁協の前にバス停とベンチがあって、そこで鷲羽山を通るバスがくるのを待っていると、隣のおじさんが話しかけてきた。話好きらしく決して無口とはいえないその人は、六口島で親の代からの旅館業を営んでいたが、昨年以前の数度の台風による被害が大きくて、今は休業しているのだという。なんでも、北大路魯山人などの著名人も多く訪れたという由緒をもつ旅館で、数年前には『るるぶ』の表紙にも載ったこともあったというのだ。
「早く営業を再開できるといいですね。そのときにはぜひお伺いしますよ」
どういう事情があるのかはかりがたいが、外交辞令ではなく、本心からそう思った。
奇しくも、これを書いている前日の夕方には、どこやら瀬戸内の島のリゾート施設が売りに出されて内覧会が開かれ、業者に混じって団塊おじさんたちも集まった、とNHK-FMラジオのニュースで言っていた。(よく聞いていなかったけど、考えてみるとこれもかなりヘンなニュースだったなぁ。)
▼国土地理院 「地理院地図」
34度26分11.07秒 133度47分13.77秒
中国地方(2007/03/27 訪問)
2年近く前の記事にコメントしてすいません。
謎の塔について、
http://www7.plala.or.jp/tower/lost/larainbow/larainbowtower.html
売りに出された小与島のリゾートホテル
http://paradisestation.web.fc2.com/image/yoshima/yoshima8.jpg
※「鷲羽山ハイランド」というのは遊園地の名前であって、山の名前ではないはずです。
by NO NAME (2009-02-26 13:49)
@NO NAME さん、コメントならびに「謎の塔」に関する情報提供をいただき、ありがとうございました。
自分でも、ひさしぶりに見て、写真が赤茶色いので、変色したのかと、ビックリしました。
お天気も悪かったし、写真がうまくないせいもあるけど、でもだいたいここらは、こんな土の色ですよね。
by dendenmushi (2009-02-27 09:12)