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101 早時鼻=廿日市市大野(広島県)チチヤスもカープもがんばれ [岬めぐり]

 「早時鼻」と聞いても、おそらく地元の人でさえその名まで意識していないかもしれない。一軒の牡蛎業者が船を繋いでいるほんの小さな入江に、静かに影を落としているさまは、まるで岬の模型のようだ。

 花崗岩の石組みでできた岸壁には、ホタテか何かの貝殻をビーズ状につなげたのが並べてある。これも懐かしい風景だ。波もまったくない早朝の大野瀬戸は静かで、宮島も逆光線の中に浮かんでいる。瀬戸の南には、大野の埋め立て工業地帯も見える。

 大野瀬戸に面した大きなホテルに泊まったのは、祖父の50回忌の墓参とわずかばかりの親戚が集う都合があったためであった。墓は、宮島と瀬戸の海を見下ろす山上の霊園にある。そこに墓を設けることにしたのは、遠く離れていても、宮島をメルクマールとして、そこが自分のルーツの地だと、常にいつまでも深くこころに刻み伝えることができると考えたからだった。
 そのホテルの隣には、スポーツニュースなどでもお馴染の、広島東洋カープの大野屋内練習場があるのだ。早時鼻からホテルまで、ぐるりと海岸線を回ることのできる道はないかと、延々歩いてみたが、それは中国電力の広大で豪華な“研修所”をものものしく取り囲むフェンスに阻まれて、もと来た道を引き返さざるを得なかった。岬めぐりでは、こういうことが非常に多い。わずかばかりの敷地を人が歩けるだけでも解放するという姿勢は、電力会社という公共公益事業でさえも持ち合わせていないのだ。

 その研修所もカープの練習場もホテルも、そして山陽本線の電車も並んで走る国道2号線に面している。バイパスができているとはいうものの、それでも車の通行量は半端ではないが、早朝ならこんな車がとぎれる一瞬もある。国道をまたぐ陸橋があって、山の方へ続く道があり、そこには牛乳パックを模し「チチヤス」と書いた看板がある。ここから新幹線の線路までの間に牧場がある。
 中学に入りたての頃、遠足でこの牧場にやってきて、牛乳を飲んだ記憶がある。さすがに牛乳はないが、いまでもたまに東京のスーパーで「チチヤスのヨーグルト」がブルガリアや北海道や小岩井と並んでいるのをみることがある。そんなことが、なんだかうれしく思えるのも歳のせいなのか。

▼国土地理院 「地理院地図」
34度18分0.90秒 132度17分26.79秒
101はやときはな-1.jpg
dendenmushi.gif中国地方(2007/03/26 訪問)

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タグ:広島県
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きた!みた!印 2

コメント 4

knaito57

こちらのブログを拝見するたび、頭の隅っこに点滅する何かがありまして、それが、きょうの画像でわかりました。“入江”でした。もちろん「たか子」ではありません。『広辞苑』で「湖または海が陸地に入り込んだ部分」と説明しているあれです。つまり、岬と入江は表と裏、光と影、オスとメスみたいに、単独には存在し得ない、切っても切れない関係であり、しかも形状からいえば、入江は岬によって両側から囲まれている……ということは、入江のあるところには必ず岬があり、その数も岬は入江の2倍ある。島国日本が岬だらけなのは当然だあ。
by knaito57 (2007-04-05 09:00) 

dendenmushi

@そうですそうです。岬と入江とは表裏一体なのですね。そして、わたしの名は…? もちろん「入江たか子」…ではありませんが…?
もっとも、これは比較的海岸線のごちゃごちゃとでこぼこしたとこにいえることで、なかには入江なんて関係ない両側が海だ!…なんていう豪快な岬も少なくありませんがね。
ほんとに、日本中岬だらけです。だから、いちおう地図で名前のあるところだけにしているのですが、それでも…。
buzzmapはGoogleMapで、GoogleMapは実はゼンリンの地図を使っています。これと連動させて地図帳もつくっているのですが、これ(ゼンリンの地図)では岬の名前が出ていないところも多くって、これは問題です。
by dendenmushi (2007-04-06 08:57) 

ふかぴょん

こんにちは。
私は実家が三原だったりするので、
こういう瀬戸内の風景は懐かしさを感じます ^^
久々に宮島に行ってみたくなりました。
by ふかぴょん (2007-04-06 14:46) 

dendenmushi

@ふかぴょんさん、三原ですかあ。瀬戸内海の景色はいいですよね。でも、広すぎて大きすぎて、なかなかとらまえるのがむずかしい。
今ごろになって、はるか昔に見た緑川洋一の瀬戸の写真を、思い出します。
by dendenmushi (2007-04-08 06:50) 

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