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1424 奥尻島の岬=奥尻郡奥尻町(北海道)あの菅江真澄でさえ行かなかった北辺の離島をめぐる前に… [岬めぐり]

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 江差町の西北61キロ、せたな町の南西42キロ、と奥尻町のサイトではその位置を記しているが、せたな町の大成区大田の帆越岬から、ほぼ西に奥尻島の稲穂岬までは18キロしかない。ここが北海道本島と奥尻島が、いちばん接近しているところである。
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 本島と近い大成・久遠付近から渡ってきた者もいただろう。難破で漂着した者もいただろう。が、長くこの地はアイヌの地であった。島の名は、その人たちの言葉で「イク・シリ」が由来だという。アイヌ語で「向こうの島」という意味だそうだ。(ChinchikoPapaさんによると、oku-sir(奥尻)のokuは首・頸で、頸島(首のようなかたちをした島)という意味、の説のほうが有力なのだとか。)
 和人の進出にはやはり武田が難破でからんだりするが、1720(享保5)年に新井白石が著した『蝦夷志』で、本島に「奥尻」の文字をあてて、郡村名ともに現在にいたる。(その説によると、白石は「「イクシル(iku-sir)」と、「オクシル(oku-sir)」を混同しているのでは?…」ということになる。)
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 北の博物学者ほかなんでも屋で紀行家と言ってもいい菅江真澄も、1790(寛政2)年に『蝦夷喧辞弁』に江差から奥尻島を望んだと記しているにとどまる。(参照 「163 館山崎=男鹿市船川港双六(秋田県)菅江真澄の歩いた道」
 菅江真澄でさえ行かなかった島を、これからめぐろうとしているわけだ。
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 東西11キロ、南北27キロの南北に少し長い、ダイコンを折った下半分のような形の島は、花崗岩の段丘で台形状を成している。凸凹は多く、谷を刻んでいるので、島にしては川筋も多い。
 島内の最高点は、584メートルの神威山で、そこには自衛隊のレーダー・サイトがあるので、常駐する隊員のための官舎もある。西海岸では、かつては硫黄を産出しており、温泉もある。
 北の端の稲穂と、南の端の青苗は、似たような低く細長い鋭角に出っ張った地形となっている。1993(平成5)年の北海道南西沖地震では、島では200人余の犠牲者を出した。
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 島の中心は、フェリーが着く東海岸の中間で、塩釜川の谷間に民家が集まっている。これについで、南端の青苗地区も市街化している。青苗地区でとくに津波による被害が多かった。そのほか、主に島の海岸線に集落は点在しているが、一時は5,000人にせまるほどだった島の人口は、南西沖地震以降は3,000人を切っている。
 明治末期まではニシン漁が主体だったこともあるが、近年ではイカやホッケの近海漁業にウニやアワビの磯根漁業が主な産業になっている。
 北の離島だが、8000年前の縄文初期から人は住んでいたようで、遺跡や遺物が出土している。
 町の公式記録では、1767(明和4)年に田口九兵衛という人が漁業を営むために移住し、それ以来永住する人が増えたとしているが、100年後の1868(明治元)年の奥尻島の永住人は、11戸、男25人、女21人の計46人であったとも記している。やはり、厳しい北辺離島の環境下では、そうそう定住する人は多くなかったと思われる。
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 約84キロの島の周囲の海岸線は、ほとんど道道39号線が周回しているが、北の海岸だけは道が山の中を迂回していて、海岸には道がない。
 この海岸線に19の岬が点在しているのだが、そのうちの5つはその道がない部分にあるので、そばまで行って見ることはできない。
 奥尻島の岬めぐりも、なかなかしんどいです。
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 その海岸線は、海からすぐに山が立ち上がっているので、平地はほとんどないが、そのところどころにある集落をつなぎながら、道道をめぐる奥尻町営バスが走っているので、それに乗って回る。
 この町営バスは、西海岸のフェリーの着く港から、北の稲穂方面に向かう路線と、南の青苗方面に向かう路線がある。青苗方面行きは、青苗からは島の西海岸を北上して神威脇という集落まで行く。戦後すぐには、千島列島国後(くなしり)島の1郡2村の住民280人が入植した、という場所である。
 この神威脇は、島の中心街奥尻地区からちょうど反対の裏側にあり、路線バスで行くといちばん奥まったところになる。島を横断する道路もあるにはあるが、そこにはバス路線はない。また、海岸線を通っていない北の山中の道(神威脇=海栗前(のなまえ))間でも、バス路線は途切れていて、一周はできない。(そのためバス路線がふたつに分かれている)
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 実際の行動順に岬を並べると、ただでさえ馴染みがなく不案内な島内のどこにそれがあるのか混乱してしまう。なので、いつものようにここは島の地図の北から初めて、西海岸を下って南端の青苗を回って東海岸を北上するというルートで、岬を探っていくことにしよう。岬の順番は、島の10時のところ付近から始めて、逆時計回りで11時のところ付近まで拾って並べます。

▼国土地理院 「地理院地図」
42度10分32.22秒 139度30分30.65秒
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dendenmushi.gif北海道地方(2016/09/03〜05 訪問)

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タグ:北海道
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