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1413 門ヶ崎=敦賀市白木一丁目(福井県)三人寄っても何人寄ってもなんの知恵も解決策も出ないままの「もんじゅ」の隣の岬 [岬めぐり]

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 前日の悪天候をもたらした前線が抜けて快晴となった日の早朝、敦賀駅前から朝一番の白木行きのバスに乗る。200円均一の敦賀のコミュニティバスは、福井鉄道のバスが請け負って代替しているようだが、なぜかこの路線だけはコミュニティではなく、福鉄バスの路線なのだ。だから、料金は均一にはならない。
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 バスは敦賀の平地を抜けると、半島の尾根を関峠で越え、敦賀半島の西海岸、美浜湾の岸に出る。この湾岸を北上すると、関西電力の美浜原子力発電所を経て、白木トンネルを出た海岸に白木の集落がある。ここがバスの終点で、門ヶ崎はその小さな漁港の堤防の端にある。
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 その前の竹波付近で海水浴客がどっと降りるときに、料金は800円を越えていたかと思う。それが白木トンネルを出ると200に表示が変わった。桁が足りなくなって1200円と表示できないのかと思って、降りるとき千円札を料金箱に入れようとしたら、運転手さんが200円でいいのだという。ええっ、そうなんですか? なんか得したような気分である。だって、海水浴に来てその前に降りた人たちはみんな800円とか900円払っていたはずだから…。
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 これも、前項で述べていた敦賀市域の境界線の線引きによるのであって、白木は敦賀市、敦賀駅前から敦賀市内までだから、ここは200円なのだ。だが、海水浴場のところはすべて三方郡美浜町。なるほど、この路線だけがコミュニティでない理由が、やっとわかった。
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 門ヶ崎のある白木は、敦賀半島西岸では最後の集落で、この先北東側に海岸は続くがそこにはもう人家もない。あるのは「もんじゅ」だけ。
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 200円から急にお金が大きくなるが、日本原子力研究開発機構が、このなにも働いていない原発の維持のために使っている予算は、1日5500万円なのだそうだ。その組織は文科省の管轄らしいが、どんな組織なのかはよく知らない。もちろん、高速増殖炉についても「発電しながら同時に消費した燃料以上の燃料を生産することができることから原子力発電の燃料であるウラン資源の利用効率を飛躍的に高めることができ」るという、機構の宣伝以上のことは知らない。
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 度重なる事故や隠蔽などから、世界にひとつだけの高速増殖炉はながいこと結果も出ないまま、運転を停止したままである。原子力規制委員会は“日本原子力研究開発機構による運営では安全性が確保できない”として、新たな運営主体の具体的な特定を文科省に求めていることは、新聞で読んで知っている。
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 何も知らない素人が考えても、機構の当事者能力は大いに疑われるが、世界にひとつだけしかない(他の国ではとうに撤退しているから)のに、別に運営主体を求めることなどできっこなかろう。
 これはもう、やめるしかない。だが、やめないで懸命に延命だけをはかっている。誰がどこでどうしているからかは知らないが、これがやめられないことにこそ、現在のわが国の原子力政策の虚構と欺瞞と破綻と矛盾など、すべてが集約されている、と言っても過言ではないのだろう。
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 1960年代に生まれた“使用済み核燃料リサイクル”という構想は、90年代に動き出し、その構想を担うべきここの高速増殖炉も六ヶ所村の再処理工場もずっと失敗続きでうまくいっていない。
 ずっとうまくいく見通しもつかないのに、金だけはどんどんつぎ込んでいる。なぜ早くやめないのか。それは、これをやめることは核燃料リサイクルの破綻を意味し、それが原発をやめることにつながるからだろう。幸い、いくら金をつぎ込んでも自分の懐が痛むわけではない。
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 したがって、性懲りなく自民党政権は原発稼働をどんどん進め、出てくる核のゴミは処理する方法がないので、どんどん「使用済み燃料プール」を各地に拡大して貯めこんでおくしかない。日本が抱えこんでいるプルトニュウムの量は、核兵器転用につながるから、外国の目も厳しくなる。
 「もんじゅ」だけでも1兆円を超え、六ヶ所村にいたってはその数倍といわれるお金(これ税金ですよね)をつぎ込んでなおかつ先が見えない半世紀以上前の構想にしばられているなんて…。
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 いったい誰が責任者なのだろうか。とにかく役人は責任を取ったためしがないし名前さえも表に出ることがなく、役所の機構そのものがある意味無責任体制に守られている。そのうえに民間の電力会社の利権がからんで、身動きならない状況になってしまっている。(一説によると、このサイクル計画の破綻を認めてしまうと、いつか使えるからととっておいて使用済み核燃料を資産計上していた電力会社がたちまち経営悪化してしまうからだ、という。)
 「もんじゅ」にしろ「ふげん」にしろ、まったくこんなところに名前が使われていて、さぞ嘆いていることだろう。この菩薩の名を使って命名したのには、永平寺の高僧がからんでいたという話もあるが、永平寺はそれを否定している。
 三人寄っても知恵も出なかった「もんじゅ」のために(なるのか?)も、東京電力から電気を買うのをやめて切り替えようかと、真剣に検討中。(切り替えました。東京電力さようならです)

※ついに廃炉へ!(最新情報です)2016/09/13

もんじゅ廃炉で政府が最終調整 核燃料サイクル政策見直し必至
 福井新聞ONLINE 9月13日(火)7時55分配信

 政府は12日、原子力規制委員会が運営主体の変更を求めている日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)を廃炉にする方向で最終調整に入った。政府関係者が明らかにした。再稼働には数千億円の追加費用が必要となり、国民の理解が得られないとの判断に傾いた。核燃料サイクル政策の枠組みの見直しは必至で、関係省庁で対応を急ぐ。

 所管の文部科学省は、規制委から運営主体の変更勧告を受け、原子力機構からもんじゅ関連部門を分離し、新法人を設置して存続させる案を今月に入り、内閣官房に伝えた。しかし、電力会社やプラントメーカーは協力に難色を示しており、新たな受け皿の設立は困難な情勢。政府内では、通常の原発の再稼働を優先すべきだとの考えから経済産業省を中心に廃炉論が強まっていた。 

 政府は、もんじゅ廃炉後も高速炉の研究開発は継続する方向。実験炉の常陽(茨城県)の活用やフランスとの共同研究などの案が浮上している。

 原子力機構は2012年、もんじゅを廃炉にする場合、原子炉の解体など30年間で約3千億円の費用がかかるとの試算をまとめている。もんじゅは核燃料の冷却にナトリウムを利用する特殊な原子炉のため、一般の原発の廃炉費用より割高となる。 

 一方、再稼働するには、長期の運転停止中に変質した燃料を新しいものに交換する必要がある。 

 もんじゅ本体の施設の維持管理に年間約200億円かかり、茨城県東海村にある燃料製造工場を新規制基準に対応させる工事費も大幅に必要となる。もんじゅ本体の新基準対応費も含めると、再稼働させるためには数千億円の追加負担が見込まれる。 

 規制委は昨年11月、原子力機構に代わる組織を特定するか、できなければ施設の在り方を抜本的に見直すよう求め、半年をめどに回答するよう馳浩文科相(当時)に勧告していた。 

 敦賀市の渕上隆信市長は今月8日、松野博一文部科学相と面談し、「一定の成果が上げられないまま撤退という判断になれば、30年の協力は何だったということになりかねない。地元の期待を裏切らないでほしい」と存続を強く求めた。
 
 Yahoo! ニュース 2016/09/13 AM10:40 より

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<参考> 毎日新聞 2015年12月10日 東京朝刊から

 原子力規制委員会から運営主体の交代を求められ、存廃の岐路に立つ高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)。発電しながら使った以上の燃料を生み出す「夢の原子炉」と呼ばれる。どういう仕組みなのか。実現の可能性はあるのか。改めて探った。【酒造唯】

 自然界にあるウランのうち通常の原発(軽水炉)の燃料になるウラン235は0・7%に過ぎない。99・3%を占めるウラン238は核分裂しにくいため、そのままではゴミになる。もんじゅはこれを利用しようと考え出された。

 もんじゅの燃料のプルトニウム239は、核分裂するとスピードの速い中性子が3個飛び出す。これがウラン238に当たるとプルトニウム239に変わる。中性子1個を次のプルトニウム239の核分裂、残り2個をウラン238の変換に使うと、消費したより多いプルトニウム239ができる。「高速」中性子を使って燃料を「増殖」するのが、高速増殖炉の意味だ。

 もんじゅの炉心は、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を、ウラン238だけでできた燃料(ブランケット燃料)が覆う構成。ブランケット燃料に生まれるプルトニウムの97%以上はプルトニウム239だ。核燃料に再利用するには十分高い濃度で、核兵器にも転用できる。

 軽水炉では燃料を冷やすのに水を使うが中性子は水の中では速度が遅くなる。遅い中性子は核分裂を効率よく起こす半面、ウランをプルトニウムに変えられないため増殖に使えない。もんじゅは原子炉の冷却にナトリウムを使う。

 ナトリウムは効率よく熱を奪う利点があるが、強い放射能を帯び、水や空気と触れると火災や爆発を起こす。原子炉を冷やしたナトリウム(1次系)で直接水を温めるのは非常に危険だ。もんじゅはいったんナトリウム同士で熱交換し、放射能を持たないナトリウム(2次系)で蒸気をつくって発電する。このため軽水炉に比べて設備が非常に複雑になる。もんじゅの出力は28万キロワットと原発では小型だが、設備の大きさは100万キロワット級の原発に匹敵する。

 他にも、暴走しやすく原子炉の制御が難しい▽ナトリウムは不透明で原子炉内の点検が困難−−など多くの欠点がある。高速増殖炉は軽水炉よりも早く1951年に米国で世界初の原子力発電に成功したが、実用化した国はまだない。仮にもんじゅが成功したとしても、経済性を検証する実証炉、商業的に使う実用炉、高速増殖炉専用の再処理工場などさまざまな施設を造らなくてはならず、増殖の実現はまさに「夢」の世界だ。

 もんじゅの構造に詳しい元京都大原子炉実験所講師の小林圭二さんは「高速増殖炉は増殖を主眼にするためさまざまな無理がある。電源としては失格だ」と話す。

▼国土地理院 「地理院地図」
35度44分4.62秒 135度58分29.67秒
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dendenmushi.gif北越地方(2016/07/18 訪問)

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タグ:福井県
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