番外:底土港・そこど荘=八丈町三根(東京都)底土港にはきてみたものの2日連続で「橘丸」は欠航そこでそこど荘に泊まり… [番外]

改めて繰り返すと、今回の計画では八丈島の岬めぐりが一巡した後で、東海汽船の「橘丸」で三宅島に渡り、三宅島の岬を一巡りしてまた「橘丸」で八丈島に戻り、八丈空港からゆっくり午後の便で羽田へ帰る…というつもりであった。
そして、八丈島と三宅島を結ぶ航路が発着する港が、三根の底土(そこど)港である。
明日は底土港から船に乗ってという前日から、ホテルのフロントが情報をもたらしてくれ、天候の変化が予測され船や飛行機が欠航になる可能性が出てきたというのだ。
もともとこの計画を考えるにあたっては、ウエザーマップの10日間予報を参考にしながら日取りを選んできた。その時点では半ばでは雨っぽい予報も織り込んではいたのだ。そこで八丈島から三宅島に移動すれば雨の影響も最小限で済むというのが希望的観測だった。が、その雨をもたらす前線が西から発達し、強風を伴って列島を横断することになってしまい、全国的に影響が出た。強風かあ、それは予測してなかった…。
とにかく、17日朝の「橘丸」は、三宅島まではきたが、そこから竹芝桟橋へ引き返してしまったらしい。三宅島へのヘリコプターも満席で、八丈島から脱出する手段は完全に絶たれてしまった。
それでも底土までやってきたのは、翌日の便はあるかもしれないし、東海汽船の窓口のあるこちらのほうが、なにかと好都合と思ったからだ。初めての旅行者にはおおいに面食らって途方に暮れる重大場面だが、東海汽船などはしょちゅうのことで、お詫びもへちまもなにもまったく関係ない、天候が悪いんだから欠航で結構。ネットに欠航のバツ印をつけてしまえばそれでおしまい。なんのことがあろうかという、まことに平然とした風情なのだ。
実は、三宅島と八丈島の間にはやはり相当の距離感が立ちふさがっている。見たことも体験したこともないが、この間には黒潮が流れており、昔の貧弱な船と操船技術では、なかなかこれを乗り切ることはできなかったという。
“黒瀬川”と漁師や船乗りが呼んで怖れもしたその黒潮のせいではないが、三宅島まできた「橘丸」が、八丈島まではやってこないというケースは、めずらしくないらしい。ここも同じ東京都だが、駅で電車が遅れたとか運休だとかでも駅員にくってかかるような、中高年のバカオヤジはもちろんいない。こういうことは日常茶飯事で、誰もいちいち騒ぐに値しないのだ。

念のため東海汽船の窓口で、翌日の「橘丸」に予約を変更して、新しい予約番号をもらって、底土旅客ターミナルの屋上にでてみた。「橘丸」のこない岸壁では、クレーンが働いて盛んにテトラポットづくりをやっているようだ。

その向こう東側の海岸は、150メートルの断崖が切り立っている。大根、御正体根と地理院地図では名がふってある岩場と岩島が重なりあって見えるが、こういう風景は曇りや雨模様のほうが貫禄があるような気もする。この崖の上が、前項でふれた一周道路の最高点や登竜峠があるところになる。

さてそうなると、どこか底土で泊まるところを確保しておかなければならないが、欠航が決まった時点ですぐに電話した民宿では、飛行機も欠航になっているので前夜からの客を優先しなといけない。だからそれが確認できるまでの間は即答できないという。なるほど、そりゃまこと正しい理屈だ。


空き室もあるからだいじょうぶよとかわいい感じの女将さんが受けてくれたのは、底土港の岸壁からいちばん近い“そこど荘”という民宿。名前からしても電話番号からしても、底土ではいちばんの老舗民宿なのであろう。万事、ゆったりしている。食事の時にいっしょになるお仕事のおじさんたちのグループがあって、長期滞在の宿泊地にもなっているようだ。


広い敷地の緑の中に、平屋の建物が埋もれている。結局、翌日の朝も橘丸はやってこなかったので、都合ここに2泊お世話になった。部屋の前の廊下から中庭を挟んで大根と御正体根の断崖が見える。

底土は広く島の北西部をくくっている三根のいちばん東の端で、ここから西へ、三根の中心部へは真っ直ぐな広い道がゆっくりと上って行く傾斜路になっている。

八丈富士も雲をかぶっていて、風もさほどではないように思えるが、外洋はまた別なのであろう。

バスはこの北で漁港のある神湊(かみなと)が終点だが、貨客船の定期便が着岸する底土港にはバスはこない。それでも夏だけはバスが寄るというが、町の住民の塊の大きさでいうと、底土ではなく神湊。それは一見すると納得もできそうだが、定期船が着く(ときどきしばしば着かないけどね)港にバスがこないのはやっぱりなんか不思議感は払拭できないのだ。

▼国土地理院 「地理院地図」
33度7分22.20秒 139度49分3.71秒




タグ:東京都
2016-05-30 00:00
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