1320 ダガ崎=七尾市能登島えの目町(石川県)農業主体の地域の海岸から漁業主体の地域の岬を眺める [岬めぐり]
祖母ヶ浦からバスで走ってきた道を南に戻るとき、こんなものがあった。
しかもひとつではなく…。どうやらこれは米を袋詰めする装置らしい。建物の中ではなく外に出ているのは、車に降ろすためであろう。
今では稲の収穫も機械化されているのがどこでも普通で、刈り取りから脱穀までを瞬時にできる小型コンバインがあちこちにある。そのコンバインの間を、漏斗状になった升のようなものをのっけた軽トラが走り回っている。
ちょうど能登を訪れたのが、そのシーズンだったので、そんな光景はあちこちでよく見られた。
漁業の専業は成り立たないらしく、ここらでも米づくりが盛んで、八ヶ崎町へ向かう道の両側には田んぼが開けている。
「八ヶ崎」は町の名にはなっているが、八ヶ崎という岬の名は地図に残っていない。その代わりに“八ヶ崎海水浴場”という標識が立っている。
そこから海のほうに歩いて行くと、大きく三角に飛び出たところの東側が、きれいな砂浜になっている。きめの細かい砂が独特である。
海水浴場の東の出っ張りが、かつては八ヶ崎と呼ばれていて、ここから西にかけて七尾北湾岸にまで広がる町の、いやもともとは字で呼ばれる地域の名になってきたのだろうか。
そうだとしても、どうして「八ヶ崎」という岬の名が消えていったのか、それはわからない。
だが、この項は「ダガ崎」が主役であって「八ヶ崎」ではなかった。
そのダガ崎は、海水浴場から南東に見えている。そこは、住所の町名が変わって、えの目町になる。正しくは「鰀目」と書くのだが、フォントが対応していない場合も多いので、(MapionやYahoo!地図では「エノ目」と表記している。訓読みは「あめのうお」だというが、いったいどんな魚なのだろう。
近所のすし屋がくれる大きな湯呑み茶わんに、魚偏の字が並んでいたりするのがあるが、そのなかにある字もたいていは読めないし、どんな魚なのかピンとこない。読めない書けない字がやたら多い、サカナ偏は不思議だ。
比較的大きな鰀目漁港もあるが、富山湾の海の幸がこの漁港を成り立たせているのだろう。
漁港の北側がダガ崎なのだが、その東側は港湾の工事で埋立地が広がる。
岬の名と護岸の下に岩礁は残っているが、人家や建物などが埋立地から西の山の裾まで密集している。
ここも想像できることは、現在の岬の名は埋立地の端についているが、もともとのダガ崎は、道路の西側の丘から延びる山の下あたりから北東にあった岩礁だったのだろう。その上とその周囲が埋立てられて、現在のような形になった…。そう考えてほぼ間違いあるまい。
住所表示の件では、地理院地図のお粗末プレーでMapionに軍配があがったが、このダガ崎の表記を“ナガ崎”としているのは、どうしたことだろう。
国土地理院の地図もいいかげんなところがあることが判明したばかりで、それをあまり無条件に信用するのもどうかとは思うが、やはりダガ崎は“ナガ崎”ではなく、“ダガ崎”なのだろう。
この場合もMapionよりも国土地理院のほうを信用する根拠はとくにないが、なんとなく…。
ひょっとすると、Mapionの地図データをつくっているZENRINで作業中に、音の読みが似ているので、“ダガ崎”を“ナガ崎”と聞き間違えたとか…?
八ヶ崎町は低い山の間に広く田んぼを抱えた町域が西の海岸にまで続く農業主体の地域のようだが、鰀目町の町域のほうは東海岸の一部だけで漁港を中心とした漁業主体の地域のように思われる。
八ヶ崎から祖母ヶ浦まで引き返して次便のバスに乗り、また能登島東海岸の道を下っていきながら、次の岬を探していこう。
▼国土地理院 「地理院地図」
37度9分29.11秒 137度2分56.10秒
北越地方(2015/09/15 訪問)
タグ:石川県
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