番外：ブログネーム「でんでんむし」の由来そのひとつは「デンデンムシノ カナシミ」 新美 南吉

　なぜ「でんでんむし」なのか。その由来のひとつは、これです。美智子皇后が妃殿下時代に、ある国際会議で紹介されたこともあって、それ以降有名になりましたが…。現在の出版物は、たいていひらがな表記になっていますが、原著はカタカナです。（なぜ「でんでんむし」なのか？）

   「デンデンムシノ　カナシミ」       新美 南吉

 

　イッピキノ　デンデンムシガ　アリマシタ。

　アル　ヒ　ソノ　デンデンムシハ　タイヘンナ　コトニ　キガ　ツキマシタ。

　「ワタシハ　イママデ　ウッカリシテ　イタケレド、ワタシノ　セナカノ　カラノ　ナカニハ　カナシミガ　イッパイ　ツマッテ　イルデハ　ナイカ」

　コノ　カナシミハ　ドウシタラ　ヨイデショウ。

　デンデンムシハ　オトモダチノ　デンデンムシノトコロニ、ヤッテ　イキマシタ。

　「ワタシハ　モウ　イキテ　イラレマセン」

　ト　ソノ　デンデンムシハ　オトモダチニ　イイマシタ。

　「ナンデスカ」

　ト　オトモダチノ　デンデンムシハ　キキマシタ。

　「ワタシハ　ナント　イウ、フシアワセナ　モノデショウ。ワタシノ　セナカノ　カラノ　ナカニハ　カナシミガ　イッパイ　ツマッテ　イルノデス」

　ト　ハジメノ　デンデンムシガ　ハナシマシタ。

　「アナタ　バカリデハ　アリマセン。ワタシノ　セナカニモ　カナシミハ　イッパイデス」

　ソレジャ　シカタナイ　ト　オモッテ、ハジメノ　デンデンムシハ、ベツノ　オトモダチノ　トコロヘ　イキマシタ。

　スルト　ソノ　オトモダチモ　イイマシタ。

　「アナタバカリジャ　アリマセン。ワタシノ　セナカニモ　カナシミハ　イッパイデス」

　ソコデ、ハジメノ　デンデンムシハ　マタ　ベツノ　オトモダチノ　トコロヘ　イキマシタ。

　コウシテ、オトモダチヲ　ジュンジュンニ　タズネテ　イキマシタガ、ドノ　オトモダチモ　オナジ　コトヲ　イウノデ　アリマシタ。

　トウトウ　ハジメノ　デンデンムシハ、キガツキマシタ。

　「カナシミハ　ダレデモ　モッテ　イルノダ。ワタシバカリデハ　ナイノダ。ワタシハ　ワタシノ　カナシミヲ　コラエテ　イカナキャ　ナラナイ」

　ソシテ、コノデンデンムシハ　モウ　ナゲクノヲ　ヤメタノデ　アリマス。

　新美南吉　1913〜1943　愛知県生まれ。

　　　　　　代用教員、貿易会社勤務などのかたわら多く

　　　　　　の童話、詩作などを発表。挫折の童話作家と

　　　　　　いわれ、没後に評価が高まる。代表作『ごん

　　　　　　ぎつね』は教科書にもよく登場する。

　2013/08/31　＠DEN アーカイブス＠から収録