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998 野々崎=気仙沼市外浜(宮城県)防潮堤を高くすればもうね枕を高くして寝られるんです…か? [岬めぐり]

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 気仙沼大島の北の端にあたる野々崎は、大島と本土の間の大島瀬戸に突き出ている。その東側には唐桑半島があり、半島と大島の間にも水道があるが、こちらには名前がついていない。
 その水道の奥も、リアス式らしく入り組んだ入江と海岸線が続いている。この付近の海域では、気仙沼湾をはじめとして、至るところでカキなどの養殖漁業が盛んなようである。広島だと、カキ筏が湾内に並ぶおなじみの風景があるのだが、三陸では筏ではなくブイを使う。
 野々崎のほかにも、鎧洗崎、大明神崎、恵比須鼻といった岬があるこの海域は、幹線道路からは遠く離れたところで、アクセスが極端に悪い。いずれも、最後は延々と歩くしかない、そういう場所である。
 そんなこともあって、亀山展望台に期待をかけたわけだが、これがみごとな空振りだった、というわけ。
 しかたがないので、野々崎だけでもと、またムリをしている。
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 大島瀬戸の野々崎は、実は大島汽船のフェリーで気仙沼湾を通るとき、松明鼻と上段の間で、ちょこっと見えていたのである。
 まあ、これもふたつに分かれた岬の西寄りだけなのだが、この際厳密なことは問わないことにしよう。
 今にも降り出しそうな雲が、降りてきて山を覆う。薄暗くなった狭い水道には、一幅の水墨画のような風情がある。
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 一本の木が倒れかかっているような野々崎の背景には、大きな山が屹立しているように見える。山頂が隠れているためによけいそういう感じがするのだが、これはそんな高い大きな山ではない。唐桑半島で標高220メートルと小さいながら独立峰の早馬山であろう。
 野々崎の南、恵比須鼻のところには十八鳴(くぐなり)浜、瀬戸を挟んで北側には九九鳴き浜という小さな浜がある。いずれも、名前からすると鳴き砂の浜であろう。大小の入江が続くなかには、養殖漁業の基地となる漁港があり、わずかな平地に小さな集落がある。
 そんな集落のひとつの名に、眼が止まる。舞根。“もうね”と読む。入江を挟んで西舞根と東舞根。
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 はて、“もうね”、“もうね”…と。最近なにかで見た覚えがある名前なのだが、なんの話だったか…。なかなか思い出せない。
 もうね、歳をとるとだめですね。
 ネットで検索すると、NPO法人「森は海の恋人」というのがあった。なんか、そんな名前もあったなあ、とページを見ていくと、あった。思い出した、これだよきっと。
 気仙沼市は、この地域に高さ最大で14.7メートルの防潮堤をつくる、という計画を発表したのだ。それまで「住民の声を第一に」といっていた気仙沼市長が、「防潮堤計画高は基本的に変えるつもりはない」としたのが2012年の10月で、その後この問題をめぐって、住民とのあつれきが高まっているらしいのだ。
 だが、ついこの前みたのが、舞根の防潮堤のどういう話だったのか、それがまったく思い出せない。
 「気仙沼市全域をコンクリートの壁で覆うことを明言しました」と、このNPO法人のページでは書いているが、それは大変なことだと思う。被災後、あちこちで防潮堤の問題は生起しているようだ。けれども、この前の大津波では、防潮堤が果たして役に立っていたのだろうか。
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 そういう検討を、念入りに十二分に行なって、その結果を市民に公表し、それから計画を立てるのがスジというものだろう。そうしないと、防災の名目に隠れて大事なものを根こそぎ失ってしまうかもしれない。
 高い防潮堤をつくるということは、海を見えなくして人々や生活と海を遮断するということなのだ。集落ごと、地域ごと刑務所の高い塀のなかに取り込まれたようなものだ。気仙沼市民は、まるごと塀の中に入ることを、了承したのだろうか。
 地図でいくら想像してみても、いくら高さを高くしてみても、この海岸と防潮堤の存在が、なんとも結びつかないのだが…。
 また、次の選挙ではただの人になるかもしれない市長に、判断のすべてをゆだねることもできないし、どんなことがあっても決して責任というものをとることのない行政組織が決めることでもない。こうした問題が、災害時にはこぞってむらがる中央の全国メディアが、ほとんど知らん顔をしているのも解せないことだ。
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▼国土地理院 電子国土ポータル(Web.NEXT)
38.885125, 141.623939
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dendenmushi.gif東北地方(2013/07/04訪問)

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