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999 御崎岬・くぐい崎=気仙沼市唐桑町崎浜(宮城県)大海嘯は大海津見大神でもなんともならないものか [岬めぐり]

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 岩井崎と唐桑半島南端の御崎(おさき)を結ぶミヤコーの路線バスは、なかなか貴重なように思える。なにしろ、陸前階上から、気仙沼湾と大島をぐるっと一回りしていて、その総延長距離は約30キロに及ぶ。ただ、岩井崎からとまでの便は日に2本で、松岩付近からのが5本、市の中心部からの4本の組み合わせである。これとて経営的にみれば、楽勝のドル箱路線という感じではなさそうだ。
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 魚町から乗って、ひたすら御崎をめざして走るのだが、多少乗客の乗り降りがあるのは市街地周辺だけで、唐桑トンネルを越えて唐桑町に入ってからの長い道中は、乗客はやはり少なかった。終点まで乗っていたのは、でんでんむしともう一人白いワイシャツのおじさんだけだった。
 ところが、このおじさん、ただの乗客ではなかったのだ。
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 「御崎」には、“おんさき”とか、“みさき”とかいう読み方をするところもあるが、ここは“おさき”である。
 バスの終点は御崎神社の前の広い駐車場で、折り返しのバスが発車するまでの短い時間を使って、御崎のアカマツ林に入ってみる。
 古い歴史的な由緒を感じさせる、苔むした鯨塚もある。普通、鯨塚といえば、捕って食べたクジラの供養というのがほとんだが、ここのはそうではなく、ちょっと変わっている。
 その昔、嵐に遭難しそうになった漁船を、一頭のクジラがこの神社沖まで誘導して救ってくれたという伝説があって、そのクジラの霊を祀ったのが鯨塚で、毎年正月に御神酒とイワシと塩を供えて供養している、という。ここでは、クジラは神の使いであるから、氏子はクジラを捕ることも食べることもしないと、その説明にはあった。
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 この岬は、この付近を広く形成する花崗岩質の岩盤がつくりだす地形である。前項で、唐桑半島付け根の西にある鎧洗崎付近に、九九鳴浜(くくなきはま)という砂浜があると書いていた。唐桑半島の対岸大島の十八鳴浜もそうだが、こういう名前は、鳴り砂の砂浜であることを示している。これも花崗岩質の石英を多く含んだ砂岩性の砂が、こすれあって音を発する、というものである。これは地方によっては“泣き砂”となる。
 そういえば、この北には大理石海岸というが二か所もあるんだ。
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 御崎の特徴は、泥砂の頁岩で、ほんとにめくりたくなるような板状の岩の層が、何層にも折り重なっている。これは、中生代第三紀層で、黒色粘板岩と、ここでは呼んでいるようだ。
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 アメリカなどでは、こうした頁岩からはたくさんの巨大生物の化石がごろごろ出てくるらしいが、ここではそれはないようだ。
 日本では、こういう特徴的な地質や地形は、しばしば神話の作者に注目される。ここも、御崎神社の神が八隻の船を率いて上陸したのでここを八隻曳(はっそうびき)という、と看板が立っていた。
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 しかし、ここから上陸するのは大変そうですぜ。神様だから問題ない? なるほど。
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 御崎神社が建っているところは、岬の先端部のくびれがあるところで、東西に海をひかえた場所で、ここから先へはアカマツを中心とした森ばかり、という絶妙な位置取りである。
 いつもほとんど気にしていないのでよくは知らないが、祭神の計仙麻大嶋神というのも、あまりあちこちにあるようではない。海の神様である大海津見(わたつみ)大神らしいが、この神様が岬の東海岸にある児置島という岩島に降臨したのだという。あれ、上陸したのは岬の西側の八隻曳、じゃなかった…んですかい?
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 この神社、小ぶりながらなかなか堂々たる社殿と、雰囲気がある。
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 神社の前には、付近の案内図と唐桑町の花「椿」の看板があった。神割崎と同じで、ここもそう大きな岬ではないのに、国土地理院にはないいろいろな崎や鼻が表示してある。
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 そういえば、忘れてました。国土地理院も認めているくぐい崎という岬が、神社の西の港の先にあるのだが、これが霧でさっぱり見えなかった。
osaki14.jpg もうひとつ、灯台も忘れてたんだな。
 町の木を「椿」にしている自治体は数多いが、この看板に言うとおり、椿はやはり一重のヤブツバキ、赤い五弁のすっきりとした形が、なんともいえませんよね。
 発車前のバスでは、運転手さんとあのワイシャツおじさんが、なにやら真剣に話し合っている。
 運転中もよく声を出していた運転手さんはまだ若い新人で、実地研修中らしい。ベテランのおじさんからいろいろ指導注意を受けているのだ。それがずっと続いていたらしい。現場でのマンツーマンの指導くらい、ありがたいものはないだろう。
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 ちらりと漏れ聞こえてきた終わりのところは、停留所付近にいる人がバスに乗る人かそうでないかを、勝手に判断してはいけない、という話だった。なるほど、なるほど。いろいろな場面で応用でき参考になります、傾聴に値しますな。
 トイレの壁には、「津波用心」の看板もあった。「唐桑では、過去に幾度となく、大海嘯(だいかいしょう=大津波)による被害を受けております。」から始まる説明文では、明治29年の三陸大津波と、昭和8年の昭和三陸大津波について、記述してあったので、だいぶ前につくられていたもののようだ。

▼国土地理院 電子国土ポータル(Web.NEXT)
38度51分26.60秒 141度40分23.20秒 38度51分36.28秒 141度39分38.28秒
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dendenmushi.gif東北地方(2013/07/04訪問)

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